最後まで読んでもらうには〜小説のちょっとしたコツ
崖っぷち作家のニジマルカです。
小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。
今回は「最後まで読んでもらうには」です。
読者は得をしたい
まずわかっておいた方がいいのは、読者が小説を読む理由です。
なんのために読者は小説を読むのでしょうか?
結論から言うと、読者は得をするために小説を読んでいます。
得は人それぞれなのですが、たとえば以下のようなことですね。
・面白い
・感動した
・泣けた
・知識が増えた
・心が暖かくなった
・癒やされた
・考えさせられた
読者はこういったポジティブな思い(利益)を味わうために小説を読んでいるのです。
まずはこのことをはっきりとわかっておきましょう。
途中で読むのを止めるとき
では、途中で読むのを止めるのはどういうときでしょうか?
これも結論から言うと、
読書に掛かるコストに見合うだけの利益が得られない
と判断したときです。
読書に掛かるコストというのは、おおざっぱに言うと
・本を読む時間
・内容を理解するエネルギー
です。
つまり、これ以上時間やエネルギーを掛けても、予想される利益(面白い、感動したなどの思い)が得られないと判断した瞬間、読むのを止めるのです。
それ以上読むと損するからですね。
みなさんも途中で読むのを止めるときがあると思いますが、こういう判断で止めているわけです。
途中で利益を確定させる
さて、ではどうすれば途中で止めずに最後まで読んでもらうことができるでしょうか?
上で書いてきたことがわかれば、答えは簡単です。
途中で利益を確定させればいいのです。
小説は(エンタメ小説は特に)このようにピンチを繰り返しながら展開していきます。↓
全体ページの1/4ごとになにがしかの事件が起こり、主人公はピンチに陥るのです。
それを乗り越えることで話が進むわけですね。
物語にはピンチ(ヤマ)が必要なのですが、読者にとってはストレスが溜まる展開なのも確かなことです。
進もうとするのを阻まれるからです。
ですからヤマの部分は、読者に負担を強いていると言えるでしょう。
読者にコストを掛けさせていると考えてもいいですね。
ですから、ヤマを越えたら利益がなければなりません。
コストを掛けて読んでもらったのですから、それに見合う報酬を出す必要があります。
つまりどうすればいいかというと、下図のように、ピンチの後は報酬を出せばいいのです。↓
読者への報酬
利益が得られないとわかれば、読者は途中で読むのを止めます。
ですから、読者に苦労を掛けたら、ちゃんと報酬を払いましょう。
途中で利益を確定させるのです。
それが最後まで読んでもらうコツです。
読者への報酬はたとえば以下のようなシーンです。
・苦労が報われるシーン
・主人公が認められるシーン
・日常に戻ってホッと一息つくシーン
・笑いのあるシーン
・ピンチを乗り越えた達成感を表現するシーン
他にもいろいろあるでしょうが、とにかく、苦労して読んでくれた読者を労いましょう。
主人公への報酬が、読者への報酬になると考えればいいです。
とは言え、そういったシーンを書きたくない人もいると思います。
(読者に媚びている感じが嫌な人もいるでしょう)
そういう人は、せめてヤマの後は話の速度を落としてみるといいです。
なにげない会話を増やしたり、展開に直接関係のないことをさせるのです。
そういうシーンを挟むことで、読者に休んでもらいます。
苦労したあとは、主人公だけでなく、読者にも休息が必要です。
主人公がのんびりするシーンは、読者ものんびりできますよね。
そういった物語とは関係ないシーンを挟むことで、読者もリフレッシュし、また読み進める気力が湧いてくるのです。
今回のまとめ
小説のちょっとしたコツ「最後まで読んでもらうには」でした。
1.読者は得をするために小説を読んでいる
2.読むコストより、予想される利益が低くなると読むのを止める
3.最後まで読んでもらうには、途中で利益を確定させる
4.ピンチの後は読者に報酬を支払う
5.主人公への報酬=読者への報酬
6.せめてピンチの後は話の速度を落とし、読者に休んでもらう
長編は読む方にとってもマラソンのようなものです。
途中で休ませるのは、作者としてのマナーとも言えるでしょう。
それではまたくまー。
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