心が潤う1分間ショートストーリー
こんにちは
いつも読んでくださり
応援して頂いてありがとうございます
さて、今日はいつもとガラッと変えて
物語を創ってみました
短いストーリーですのでよろしかったら
楽しんでいただけると幸いです
◆心が潤う物語◆
私の名前は川口小春
超エリートとは呼べないが
まあ、女子にしてはそこそこ稼いでいる方だし
外資系の商社ということもあり
割と恵まれている方だと思う
今は時代的にも色々あって先行きは不安定だけど
今は誰だってそうだ
でも私はこれから先を見据えて
投資の勉強も始めている
トーフー(お豆腐屋さんの笛の音)
自転車の後ろの荷台に
お豆腐をいっぱいに詰めたおじいさんが
小春の横を通る
正直、あのお豆腐屋のおじいさんのように
一丁何十円の世界には住めない
一日に何十個売りさばけば
私の一日のお給料を稼ぎ出せるというのか
やっぱり、稼げないと意味がない
おじいさんがとある家の前で止まった
家の中から、ボウルを持った中年の主婦が
待っていましたと急ぎ足で出てくる
何か一言二言笑顔で会話をしながら
おじいさんは豆腐をボウルの中に入れる
その一連の流れがとても美しかった
『あの~、下さい!』
『私にも、豆腐下さいっ!』
小春は思わず、おじいさんに駆け寄りこう叫んでいた
その日、小春は久しぶりに
自分のために豆腐の味噌汁を作った
それは、本当に心が喜ぶ
ホッとする味噌汁だった
今までそういう時間を
なぜか自分に与えられずにいた
ふと父の姿がよぎった
毎日、朝早くから夜遅くまで働き詰めだった父
それでも家計は厳しく
家の中は貧しかった
私は貧しさを憎んだ
そしてそんな父をいつしか見下すようになっていた
確かにお金はあった方が良いに決まってるが
やりがいとか喜びとかつながりとか
お金に変えられないものもこの世界にはあるのかもしれない
そうした心意気が組み合わさって
この世界は回っているのかもしれない
今日、この味噌汁が教えてくれた事は
私の心の奥に染みわたっていった
おじいさん、教えてくれてありがとう
そしてお父さんごめんね
これからは、もっと親孝行するね
本日もお付き合い頂いてありがとうございました
また、お会いしましょう!
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