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新潟には "サードドア" が開いている 釣果共有×ゲーム体験「FishRanker」の谷川奨さんが感じる、起業家にとっての新潟の可能性
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新潟には "サードドア" が開いている 釣果共有×ゲーム体験「FishRanker」の谷川奨さんが感じる、起業家にとっての新潟の可能性

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新潟県にゆかりのある経営者や起業家、行政を中心に構成する新潟ベンチャー協会(NVA)主催の佐渡合宿ピッチイベントで、釣果共有とゲーミフィーションを掛け合わせたアプリ「FishRanker」について発表したSIIG株式会社(新潟県柏崎市)CEOの谷川奨さんが最優秀者となりました。

同サービスの立ち上げの経緯や、新潟を拠点に活動することへの思いなどについて、谷川さんに伺いました(敬称略、インタビューはオンラインにて実施しました)。

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<プロフィール>
谷川 奨(たにかわ・しょう)1991年新潟県佐渡島生まれ。Webデザイナー・ディレクターとして国内外のクライアントワークを経験後、SIIG株式会社を創業。サイバーエージェントで新規サービスのUI/UXデザインを経験。

FishRankerの詳細はこちら:https://fishranker.jp/

地元に新潟に根ざし創業

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NVA佐渡合宿最終ピッチで発表する谷川さん(新潟県佐渡市で)

ーー谷川さんはどのような経緯で起業したのですか?

谷川:私は出身が佐渡で、父親の仕事の関係で長く住んでいた柏崎市で起業しました。

もともと趣味でウェブ制作をしていましたが、高校中退後の2009年に個人事業主、いわゆるフリーランスとして柏崎で活動を始めたのがキャリアの始まりです。学歴も社会経験もゼロ。一般的なキャリアパスからはかけ離れたスタートでした。

初めて仕事として制作したのは、友人を通じて依頼があった輸入雑貨のECサイトでした。デザインからコーディングまで一人で行いましたね。ありがたいことに、当時のお客様とは現在でもお付き合いがあります。

地元でのウェブ制作のお仕事が順調に増え、軌道に乗ってきたタイミングの2016年に法人化しました。お客さんの要望をくみとり、受注から納品まで一人で完遂できることに大きなやりがいはありましたが、やはり一人でできることには限界があるなと感じ、チームプレイでもっと大きなプロジェクトを手がけたいと感じたからです。

ーー会社の特徴はどんな点にありますか?

谷川:やはり地元の新潟・柏崎に根ざしていることですね。SIIGでは県外や海外のお客様との取引もありますが、特に地元に根ざした釣り船とか管理釣り場といった釣り事業者様のウェブサイトの制作・管理運営を数多く手がけています。

釣り関連のウェブサイトを運営の知見や経験を組織として蓄積してきたことは、今回のピッチイベントで最優秀の評価をいただいたアプリ「FishRanker」の着想にもつながっています。

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FishRankerのスクリーンショット(提供:SIIG株式会社

ーーFishRankerを着想したきっかけは何だったのですか?

谷川:きっかけは2つあります。”ウェブ制作・運用で得た知見”と、”父との思い出”です。

海に近く釣りが盛んな柏崎という地域特性もあり、SIIGでは釣り船や管理釣り場など釣り関連のウェブサイト制作・運用を現在に至るまで数多く手がけています。

釣り関連サイトを運用する中で気づいたのが、釣果情報のニーズの高さです。各地の釣果はいわば地元の”ニッチな情報”であり、ユニークユーザー数はそれほど大きくないにもかかわらず、その何十倍というレベルでアクセスがあるんです。

「釣果情報は、釣りを深く愛する人々にこんなにも必要とされているのだ」と現場の生のデータで感じ、釣果情報へのニーズが高いという知見が蓄積されていきました。

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FishRanker公式サイトより:https://fishranker.jp/

もうひとつのきっかけが、私の父です。父は釣り歴50年の大ベテラン釣り人です。大物を釣って帰ると、決まって私に写真を撮らせていました。父親とのコミュニケーションの中ですごくポジティブな感情が、釣果写真とともに共有されているんです。

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谷川の父・正義(まさよし)さんの釣果写真(谷川さん提供)

そんな父とのコミュニケーションを通じて、感じました。釣り人は釣果を語るときは熱いし、やっぱり自慢がしたいんだと。その温度感や熱量を共有できるサービスがあったらいいなと思うようになっていきました。

実は父は5年前に発症した脳梗塞が原因で片腕に麻痺が残り、釣りができなくなりました。壁一面に貼られた写真がこれ以上増えないことに寂しさを感じました。

父にとって釣果写真は、50年も釣りをしてきた、人生の一部です。消費されていく一過性の釣果情報としてではなく、釣り人の自己表現や歴史としてポジティブに積み上がっていくサービスが作りたいといつしか思うようになりました。

「答えがアプリ」はポケモンGOから

ポケモンGoの公式YouTubeチャンネルでのアプリ初公開映像

ーーそのサービスの答えとして、なぜアプリに至ったのですか?

谷川:釣り人のパーソナリティーに紐づいたポジティブな釣果情報の共有をどうやったらサービスとして展開できるのか、その答えがアプリだと確信したきっかけは、実は「ポケモンGO」でした。2016年にポケモンGoの公式YouTubeチャンネルでアプリの初公開映像を見た時、実際に街中にいるポケモンを捕まえるというゲームの行為と、釣りの体験がシンクロしました。

ゲーミフィケーションを生かし、アプリで釣果情報を釣り人個々人のパーソナリティーに紐づく記録として楽しみながら蓄積できれば、単純な地域の釣果情報アプリとしてでなく、数百万人もの釣り人の自己表現とコミュニケーションを実現するアプリに昇華されると確信しました。そこでようやく、アプリを軸としたサービスとビジネスとしての形が見えてきました。

2018年10月の新潟起業チャレンジというビジネスコンテストの合宿で一連の構想をビジネスプラン化し、本業のウェブ制作・運用を手がけながら仲間を募って開発をスタートしたのが2020年3月でした。

ーーアプリの開発・運用は初めてだったのですか?

はい、その通りです。デザインから運用まで一人で手がけてきたウェブ制作は、これまでの経験や知見の蓄積で全ての工数も見えますが、アプリはまさに未知の領域。どの工数にどれくらいの時間がかかるのかが直感的にわからないことが多く、最初の計画を立てるのが非常に難しかったですね。

どんな機能を優先して搭載していくのかについても現在進行形で試行錯誤しています。「釣果共有」というユーザーに提供する機能的な価値がある中、ただ便利なだけだなく、既存のサービスにない独自性を生み出すための機能の優先順位を決めるのに、今もチャレンジを続けている状況ですね。

試行錯誤の末、2020年11月にiOS版をローンチしました。現在はウェブ制作事業の新規受注は縮小し、2月のAndroid版リリースに向け、人や時間といったリソースをアプリに集中しています。釣り人という属性に限っていうとAndroid端末の利用も多いため、まさにここからが勝負といった感です。

新潟には "サードドア" が開いている

ーー新潟県に根ざして起業や企業活動をするメリットはどこにあるとお感じになられていますでしょうか?

ちょっと視点を変えてお答えしたいなと思います。「サードドア」という本をご存知ですか?著者である18歳の大学生が、ビル・ゲイツ、レディー・ガガ、スピルバーグといった米国各界の著名人に「成功に向けたキャリアがスタートしたのは、何がきっかけだったのか」をテーマにインタビューした本です。

同書では人生やビジネスの”成功の入り口”は3つあると説きます。

”ファーストドア”いわば正面入り口です。99%の人が実際に入れるかどうか分からない長い行列に並びます。

”セカンドドア”は億万長者、セレブ、名家に生まれた人だけが利用できる、VIP専用の入り口です。

そしてこの本のタイトルでもある”サードドア”は、「いつでも開いているのに誰も教えてくれないドア」のことです。

正攻法で人と同じことをするのではく、かといってVIPしか使えない特別な方法でもない、この”サードドア”が今、実は新潟で起業したい人の目の前に開いている状態なのです。

ーーといいますと??

新潟ベンチャー協会(NVA)のような起業家、経営者、投資家、行政を横断した組織の存在や、行政の支援体制が、まさに”サードドア”にあたります。

NVAには新進気鋭のスタートアップ経営者や地域に根ざし長年県民に愛される老舗企業、起業家からすれば錚々たるメンバーが揃っています。

これまでは新潟県内にいてもそもそもそういった方々に直接アクセスするチャンスがなかったのですが、NVAの設立や県のスタートアップ支援拠点の開設により、起業コミュニティー醸成の機運が今、ものすごく高まっています。

そんな状況の新潟に起業家が飛び込んでいけば、チャンスを掴める可能性が飛躍的に上がるんです。

これは東京などの都市部の起業家とは明らかに違う戦い方で、起業や創業に向けた”サードドア”を開けるチャンスが新潟にあるということだと私は思っています。

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佐渡合宿でアプリについてNVA会員に相談する谷川さん(右)

ーーなるほどですね!

私自身がサードドアそのものの重要性に気づいたのは、フリーランスになった当初に柏崎観光協会の青年部に加入したときです。

ビジネスだけでなく、地域を盛り上げたいという気持ちのもとに無償で集まる独特のプライベートな交流を通じて、通常のビジネスとは違う場で自分を知ってもらい、社会経験もない自分がさまざまな仕事に結びつけることができました。

私自身が地元での人とのつながりにサードドアを見出し、事業を成長させてきた体験が土台にあります。

それだけに、地元である新潟で起業を取り巻く大きな人のつながりが生まれつつあることが、新潟で起業する大きな魅力だと感じています。

「釣りをするならFishRanker」を新潟で実現したい

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FishRanker公式サイトより:https://fishranker.jp/

ーーこれから新潟でどんな展開を考えていますか?

SIIGではいま、佐渡での事業展開を検討しています。佐渡は行政が釣り人にフレンドリーで、新潟県佐渡振興局が佐渡の釣り場の空撮ガイドまで発行しているんです。

釣りと佐渡のブランディングの可能性は大いににあると思います。サービスの拠点として佐渡を軸に大会などのオフラインイベントや、釣り人のコミュニティー作り、釣りのマナー啓発活動など、さまざまな展開が広がるのではと見ています。

何と言っても私は生まれも創業もアプリのきっかけもすべて新潟です。新潟なしではここまでたどり着けなかったのは間違いありません。「釣りをするならFishRanker」を新潟で実現したいです。




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