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青春18きっぷでめぐる日本遺産 首都圏編 JRだけで行ける日本遺産まとめてみました

執筆:日本遺産普及協会編集部 平嶋

皆さん、夏休みはいかがお過ごしでしょうか。どこかに出かけたいけれど、まだ行き先が決まっていない方もいらっしゃるかもしれません。そこで今回は、お手頃な価格で日本全国を旅することができる夏の風物詩「青春18きっぷ」を利用して訪れることができる日本遺産をいくつか紹介したいと思います。このきっぷを活用して、ぜひ歴史と文化に触れる旅を楽しんでみてください。

青春18きっぷ

首都圏編として、東京駅を朝8時に出発し、JR線の普通列車のみでその日のうちに往復できる日本遺産を3件リストアップしました。これらの目的地では、日本の歴史や文化に触れながら日帰り旅行を楽しむことができます。さらに、中京編と関西編も順次公開予定ですので、そちらもどうぞお楽しみにお待ちください。


青春18きっぷとは?

青春18きっぷは、JR全線の普通・快速列車が乗り放題になる特別乗車券です。春・夏・冬のシーズンごとに販売され、5回分の乗車が可能です。5日間一人で使うことも、友人や家族と分け合って使用することもできます。価格は12,050円で、1回あたり2,410円と非常にお得です。このきっぷを使えば、日本全国をリーズナブルに旅行でき、学生や旅行好きに特に人気があります。

青春18きっぷの購入方法や使用方法・ルール等については、日本遺産普及協会のインターンメンバーが執筆した別記事をご参照ください。

プラン① 大谷石のまち・宇都宮へ

大谷石とは?

青春18きっぷを利用すると、日本遺産「地下迷宮の秘密を探る旅 〜大谷石文化が息づくまち宇都宮〜」にアクセスすることができます。

宇都宮市大谷地域では、約1500年前の海底火山の噴火により、膨大な凝灰岩の地層が形成されました。この地層が石の文化の源となり、長い間、人々は石に祈りや願いを「彫り」、また石材として「掘って」きました。この独自の文化が評価され、日本遺産に登録されています。

大谷石資料館では、大谷石の採掘が本格的に始まった江戸中期から昭和34年頃までの手堀り時代の道具や採掘方法、運搬の変遷などを展示しています。この資料館へはバスで移動する必要がありますが、市街地には大谷石を使用した石造りの建物や歴史的建築物も多く見られ、町の歴史と文化を感じることができます。

大谷石資料館

市内のバス路線や大谷資料館の入場券、大谷観音の拝観券がセットになった「大谷観光 一日乗車券」(2,000円)を購入すると、お得に楽に宇都宮市内をまわれて便利です。

大谷観光 一日乗車券

街中にも大谷石!

宇都宮の中心街に位置し、神話時代に創建されたといわれる宇都宮二荒山神社はおすすめのスポットです。この神社は、標高135mの小高い丘・明神山に鎮座しており、戦国時代以降、幾度も戦乱の舞台となり、幕末には戊辰戦争の攻防も繰り広げられました。江戸時代に神社の石垣を組む際に使用された大谷石は、現在も見ることができ、その歴史的価値が魅力です。

宇都宮二荒山神社

宇都宮でグルメも堪能

宇都宮は「餃子のまち」としても知られており、観光と合わせて地元グルメを満喫することができます。宇都宮二荒山神社の向かいにある「来らっせ 本店」では、さまざまなお店の揚げ餃子や水餃子を気軽に味わうことができます。

宇都宮へのアクセス方法

【モデルプラン】
08:02 東京駅発(JR上野東京ライン)
09:54 宇都宮駅着
※平日ダイヤ想定

東京から宇都宮へは、JR上野東京ラインを利用すると、乗り換えなしでアクセスることができます。また、別途料金を支払うと、普通列車グリーン車で快適に移動することも可能になります。


プラン② 近世日本の教育遺跡群へ

どんな日本遺産?

日本遺産第1号として知られる「近世日本の教育遺跡群-学ぶ心・礼節の本源-」は、茨城県・栃木県・岡山県・大分県の4つの自治体にまたがりますが、青春18きっぷを使えば、そのうちの2つの街を日帰りで訪れることができます。

我が国では、近代教育制度の導入前から、武士階級のみならず多くの庶民も読み書きや算術ができ、礼儀正しさを身に付けるなど、高い教育水準を示していました。これは、藩校や郷学、私塾など、様々な階層を対象とした学校の普及によるもので、明治維新以降の迅速な近代化の原動力となりました。

この伝統は、現代においても学問・教育に力を入れ、礼節を重んじる日本人の国民性として受け継がれています。この歴史的背景が評価され、弘道館(茨城県水戸市)・足利学校(栃木県足利市)・閑谷学校(岡山県備前市)・咸宜園(大分県日田市)を軸に日本遺産として認定されています。

まずは旧弘道館へ

弘道館は、水戸藩主の徳川斉昭が教育を通じて人心を安定させ、国を興すために設立した日本最大規模の藩校です。水戸藩には歴史書『大日本史』を編集した彰考館があり、学問・教育が昔から盛んでした。弘道館は歴史だけでなく、医学、兵学、武芸などの実用的な科目も備えた総合大学ともいえるもので、その教育方針や施設、運営方法は松代藩校文武学校や庄内藩校致道館など他藩の藩校にも大きな影響を与えました。

弘道館

一方、偕楽園は勉学の休息の場として設けられ、弘道館と対をなしています。偕楽園の梅は、非常食としての実用的側面と、学問を好む「好文」という異名を持つことから斉昭が植樹を奨励したもので、水戸藩の学問興隆の象徴となっています。また、郊外には個性重視の教育を行った日新塾などの私塾も建てられ、多彩な人材を輩出しました。

偕楽園

そのまま足利学校へ

栃木県足利市にある足利学校は、イエズス会宣教師フランシスコ・ザビエルが「日本国中最も大にして最も有名な坂東の大学」と称した学校です。創建については諸説ありますが、15世紀に上杉憲実が学規を定め、現在国宝となっている漢籍を寄進するなどして再興し、戦乱の時代にも全国から多くの学徒が集まりました。

儒学を中心に、易学、兵学、医学など多岐にわたる教えが行われ、日本最古の総合大学と呼ばれました。江戸時代には、貴重な書籍の宝庫として幕府から保護されました。足利学校の自由で開放的な学びと自学自習の精神は、近世の学校の原点と言えます。

足利学校

水戸・足利へのアクセス方法

2つの日本遺産認定地域を経由して関東をぐるっと1周するコースとなっています。自由に途中下車することもできます。

【モデルプラン】
08:02 東京駅発(JR上野東京ライン)
※上野駅でJR常磐線に乗り換え
10:29 水戸駅着
〈水戸散策〉
13:04 水戸駅発(JR常磐線)
※友部駅でJR水戸線に乗り換え
※小山駅でJR両毛線に乗り換え
15:42 足利駅着
〈足利散策〉
17:28 足利駅発(JR両毛線)
※高崎駅でJR上野東京ラインに乗り換え
20:39 東京駅着
※平日ダイヤ想定


プラン③ 歴史感じる北総4都市へ

北総4都市とは?

青春18きっぷを利用すると、日本遺産「『北総四都市江戸紀行・江戸を感じる北総の町並み』ー佐倉・成田・佐原・銚子:百万都市江戸を支えた江戸近郊の四つの代表的町並み群-」の4都市を訪れることができます。

江戸時代、大都市江戸に隣接する地域では、豊かな土地と魚場から得られた資源や商品を利根川水運を利用して江戸に輸送していました。銚子で作られた醤油や水揚げされた海産物は江戸の食文化を支え、水郷佐原は利根川水運により商家が栄えました。利根川水運を利用した物流は江戸の生活を支え、この地域を豊かに発展させました。

佐原の街並み

また、江戸と北総地域を結ぶ街道も地域の発展に重要な役割を果たしました。佐倉にあった佐倉城は江戸防御の要であり、佐倉城と江戸を結ぶ佐倉街道の整備により、人々の往来が盛んになりました。さらに、江戸時代には成田参詣が流行し、佐倉城から成田山新勝寺までの参詣客が増加しました。

成田山新勝寺

この四都市、すなわち城下町の佐倉、門前町の成田、商家町の佐原、港町の銚子は、江戸との交流の中で江戸の影響を受けつつも、それぞれ独自の特色を持って発展しました。現在でも江戸時代から変わらない町並みや祭礼などの伝統文化を見ることができます。

残念ながら、1日で全ての都市をまわるのは現実的ではありませんが、2つ以上の都市を訪れることで、おおよそ切符代の元を取ることができます。

各都市へのアクセス方法

4つの都市それぞれの東京駅からのアクセスは以下の通りです。東京からは佐倉が最も近く、銚子が最も遠いです。

【モデルプラン】
それぞれの都市へのアクセスは以下の通りです。

―佐倉―
08:09 東京駅発(JR総武線快速)
09:07 佐倉駅着

―成田―
08:09 東京駅発(JR総武線快速)
09:24 佐倉駅着

―佐原―
08:09 東京駅発(JR総武線快速)
※成田駅でJR成田線に乗り換え
10:10 佐倉駅着

―銚子―
08:09 東京駅発(JR総武線快速)
※成田駅でJR成田線に乗り換え
10:56 佐倉駅着
※いずれも平日ダイヤ想定


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