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【日本遺産認定地域インタビュー】 石畳道や杉並木を歩いてほしい 箱根町

執筆:日本遺産普及協会編集部

箱根町観光課の方にお話をうかがいました。

箱根町の旧街道は2018年5月に日本遺産「旅人たちの足跡残る悠久の石畳道 ~箱根八里で辿る遥かな江戸の旅路~」に認定されました。 この日本遺産の魅力を教えてください
「箱根八里」は神奈川県・小田原市から静岡県・三島市まで続く道です。江戸時代に多くの人が往来した東海道で小田原宿から箱根宿までの四里(約16キロ)と箱根宿から三島宿までの四里を合わせたものです。
この日本遺産の魅力は体験できるストーリーになっていることです。
江戸時代にタイムスリップしたような景色を実際に見られること、 また歩くことで江戸時代の人や物の往来がいかに険しいものであったかを体験できることが大きな魅力だと思います。
ぜひ旧街道の石畳道や杉並木を自分の足で歩いていただきたいです。江戸時代に思いを馳せながら、草鞋(わらじ)をはいて歩く方もいます。

構成文化財にもなっている伝統工芸「寄木細工」を体験できる施設もあるので、歩きながら、見て、触って楽しめる日本遺産として、日本人はもちろん歩くことが好きな外国の方にも人気です。

日本遺産の認定に関して、苦労した点などがあれば教えてください。
認定から6年が経過したので、日本遺産再認定のタイミングが来ていて先日協議会で審査を受けたところです。近日中に再認定の結果が出ます。合格か、指摘された修正点を修正することになります。
「箱根八里」は、事務局の静岡県三島市と、神奈川県の箱根町・小田原市、静岡県・函南町にわたる日本遺産ですが、自治体によって取り組みに温度差がありました。令和4年度までは三島市がメインで活動し、毎年11月頃に行われる「日本遺産フェスティバル」にも三島だけが参加していました。認定地域間の連携が取れていなかったため、過去の実績では悪い印象を与えてしまう可能性があります。しかし令和5年度から協力していこうという流れが生まれ、イベントなどにも各地域が積極的に参加するようになってきました。令和5年の「日本遺産フェスティバル」には箱根町と小田原市も参加しました。無事に再認定され際には令和7年度以降もイベントへ積極的に参加する予定です。

日本遺産に認定されて変わったことはありますか?
小田原・箱根・函南・三島と繋がる旧街道(東海道)を日本遺産といった大きな枠組みで確立したことで、観光交流客数の増加へ繋げることができたと思います。また、日本遺産のイベントに参加することで、箱根の構成文化財である「寄木細工」や「箱根関跡」等をPRできる場面が増えたので良かったと思います。

今後、日本遺産をどのように活用していく予定ですか?
たとえば小田原からスタートして箱根町を訪れ、三島がゴールとなるような、日本遺産ファンが「箱根八里」全体を体験できるようなコンテンツやイベントができたら良いと思います。小田原、箱根、三島にはガイド協会もあるので、全体を通して英語でガイドをするといったことも考えられると思います。

教育機関や地域の事業者と連携して行っている日本遺産の取り組みがあれば教えてください。
町内の小学生を対象に江戸時代に使用されていた「草鞋(わらじ)」を作り、履いて箱根八里を歩くといった体験を行っています。地域の事業者では、株式会社やまぼうしさんがExplore Hakone(エクスプローラー箱根)というブランド名で「箱根八里」を体験できるツアーを訪日外国人向けに提供しています。このツアーは観光庁の「サステナブルな旅AWARD」を受賞しています。また、旧街道にある甘酒茶屋さんは普段からお店で「箱根八里」の歴史を語って日本遺産普及に取り組んでいただいています。

現在箱根町地域がかかえる観光の課題とそれに対しての取り組みがあれば教えてください。
「オーバーツーリズム」、「交通渋滞」、「働き手不足・後継者不足」といった課題があります。
取り組みとしては「箱根観光デジタルMAP」があります。旅行者が、観光スポット・レストランの交雑状況や、タクシーがいまどこにいて何分待つかなどを確認して密を避けながら行動できます。また、パーク24社と連携して「はこねカーシェア(愛称・はこシェア)」を開始しました。箱根町役場等でカーシェアを利用できるサービスで、公共交通機関で訪れた観光客の2次交通手段を拡充することで交通機関の混雑を緩和することが目的です。箱根町観光課の産業振興係では働き手不足に対応する事業を行っています。

日本遺産普及協会が行っている「日本遺産検定」をご存じですか?「日本遺産検定」や合格者が「日本遺産ソムリエ」として活躍できる取り組みについてどう思われますか?
「日本遺産検定」の存在は知っていました。日本遺産自体をご存じでない方がまだまだ多いので、日本遺産を勉強し、合格者が有資格者として活動できるこういった取り組みは、日本遺産の知名度を上げるために欠かせないと思っています。今後に期待しています。

「日本遺産ファン」に対してメッセージがあればお願いします。
「日本遺産フェスティバル」で「日本遺産ファン」の方にたくさんお会いし「箱根八里」に訪れたことがある方や、これから訪れるという話を聞きました。ブログやSNSで情報発信をしてくれている方もいました。実際に訪問して体験していただき、人に語っていただくことが日本遺産の普及につながると思いますので、ぜひ日本遺産ファンを続け、日本遺産を幅広い世代へ伝えていってほしいです。「箱根八里」の旅路の中では個人的には杉並木が好きです。杉の木と木の間から光が差すような幻想的な光景をぜひ見に来てほしいと思います。

「旅人たちの足跡残る悠久の石畳道—箱根八里で辿る遥かな江戸の旅路─」(ストーリーNo62)

運営:日本遺産普及協会


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