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“仏都会津”の魅力大解剖!東北地方の知られざる仏教文化「会津の三十三観音めぐり」

日本遺産の知識を深める機会、各地域の取り組みを知る機会として、日本遺産普及協会では、「日本遺産勉強会」を定期開催しています。5月の勉強会のテーマは、東北地方でいち早く仏教思想が花開いたと言われている、福島県会津地方の日本遺産「会津の三十三観音めぐり」

会津地域には、歴史、自然、食文化、工芸、そして人々の信仰を感じることができる素晴らしい体験が揃っています。今回は、極上の会津プロジェクト協議会(事務局 会津若松市観光課)の田部彩乃さんに、日本遺産「会津の三十三観音めぐり」の歴史と楽しみ方をお話しいただきましたので、その一部を要約してお届けします。

喜多方ラーメン、赤べこ、鶴ヶ城だけじゃない!
まだまだあった会津の魅力


会津地方は福島県の西部に位置し、17市町村で構成されています。会津の日本遺産の話に入る前に、会津地方の魅力をお話しいただきました。

「北エリアは喜多方ラーメン、南エリアは尾瀬の絶景、西エリアは赤べこなどの伝統工芸品、東エリアは五色沼などの観光スポットがあり、エリアごとに異なる特色を持っています。また、四季折々の自然美があふれる会津では、春は桜、夏は川の渡し舟、秋は紅葉、冬は雪景色など、季節によって様々な顔を見せてくれるのでいつ来ていただいても楽しめます」

有名な鶴ケ城(会津若松市)では、お城の周りのお堀でボート漕ぎなんかも体験できるらしいです。そして会津地域といえば、独特の伝統工芸品が数多く存在しており、赤べこをはじめ、花などが描かれた和ろうそく、からむし織などの工芸品に触れ、体験できるワークショップがあるのも嬉しいところ。


「温泉や食も充実しており、たとえば、温泉水を煮詰めて作った「山塩」が有名で。すこし甘みがあってコーヒーにちょっと入れると美味しいと評判です。山塩の塩ラーメンなんかも美味しくておすすめです」

「それから最近は日本酒の名産地としても話題になっており、2023年度 全国新酒鑑評会では入賞数全国1位となりました。また数多くの金賞もいただきました。会津若松市の旅館やホテル宿泊者限定で専用リーフレットを配布し(※配布していない宿泊施設もあります)、対象の居酒屋などで会津の食材を使用した料理や郷土料理とお酒が1,000円(税込)で楽しめる「極上のはしご酒」という企画も行っていますので。地元の美味しいお酒を楽しんでみてください」

▼「極上のはしご酒」詳細はこちら

「会津の三十三観音めぐり」はどのように始まり、なぜ広まったのか


会津地方の魅力をお話しいただいたところで、日本遺産「会津の三十三観音めぐり」の歴史についてお聞きしました。

「会津の三十三観音めぐりのはじまりは、平安時代に遡ります。会津には噴火の多い山として磐梯山(ばんだいさん)があり、恐れの対象であり、かつ、信仰の対象でもあります。当時、奈良から修行のためにやってきた徳一上人が、磐梯山のふもとにお寺を建立したことが始まりです。徳一上人は会津の各地に仏教を広め、多くのお寺や仏像を建てました。この活動により、会津は東北地方で最も早く仏教が根付いた地域となりました」

「江戸時代に入り、全国的に「伊勢参り」や「西国三十三観音めぐり(日本遺産のひとつ)」が流行する中、会津藩の藩主保科正之氏は地域の経済振興を図り、地域内での観音巡りを奨励しました。地域に点在する観音堂を結びつけ、会津の三十三観音めぐりが形成されました。この巡礼は会津の7市町村にまたがり、多くの庶民が参加する一大イベントとなりました」

「その後、会津の三十三観音めぐりは、地域の人の娯楽として定着し、多くの人々が巡礼に参加するようになりました。特に女性の間で「観音講」というグループを作り、定期的に御詠歌を唱えながら巡礼を楽しむ文化が根付きました。現代でも、多くの人々がこの巡礼に参加し、地域の歴史と文化を感じながら旅を楽しんでいます」

“令和版” 会津の三十三観音めぐり
7色のコースから自分に合った楽しみ方を見つけよう


こうして、現在もなお、多くの人を魅了する会津の三十三観音めぐりですが、現代版・会津の三十三観音めぐりと称して、ユニークな取り組みも行っているとのこと。

「地域のイベントや講演会などを通じて、昔ながらの巡礼の様子や、歴史・文化に触れていただく機会を作っています。観音堂には、「観音講」のメンバーが奉納した品々や記念の品々が残されており、それらを見ることができます」

「さらに、会津の三十三観音めぐりをみなさんにもっと楽しんでいただこうということで、現代版の会津の三十三観音めぐりを企画しました。観音めぐりに合わせて、食べ物・絶景などの観光も一緒に楽しんでいただきたいと思っています。たとえば「癒しの緑のコース」「幸せの黄色のコース」など、七色に分けてコースを設けているので、みなさんそれぞれの観音めぐりをしていただけたら嬉しいです」

▼ 七色めぐりの詳細


いかがでしたか。会津の三十三観音めぐりは、平安時代から現代に至るまで、仏教信仰と共に生活に深く根付いてきた巡礼文化です。豊かな自然、美味しい食べ物、伝統工芸、そして深い歴史と信仰心が融合した魅力的な会津地方に、ぜひ、訪れてみてください。

Fin

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【お知らせ】会津で開催!
今年の秋は日本遺産フェスティバルに行こう

全国の日本遺産が集まる日本遺産のお祭り「日本遺産フェスティバル」を2024年10月26日・27日に会津地域で開催。ぜひ紅葉のシーズンに秋の会津を楽しみながら、参加してみませんか? 全国の日本遺産、そしてここでしかない体験に出会えるかも!

協力:極上の会津プロジェクト協議会(事務局 会津若松市観光課)
レポート:日本遺産普及協会

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日本遺産検定のご案内

8/23(金)24(土)25(日)日本遺産検定を実施します。

日本遺産普及協会


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