「台湾マンガ×日本語」ビブリオバトルの仕掛け人に話をきいてみた!
(※この記事は2023年に公開された過去記事です)
2023年11月25日(土)に、台湾の東呉大学で開催予定の「台湾マンガを日本語で紹介する」ビブリオバトル。
このイベントは、京都精華大学国際マンガ研究センターと台湾・東呉大学図書館、東呉大学日本語文学科が共同で企画・運営を行っています。
これまでにない画期的な取り組みについて、発起人である住田哲郎先生(京都精華大学 共通教育機構 准教授)と、住田先生と共に審査員を務める伊藤遊先生(京都精華大学 国際マンガ研究センター 特任准教授)、お2人にお話を伺いました(於・京都国際マンガミュージアム)
台湾マンガでビブリオバトルをしてみよう
Q1. 日本語学習者の方が、マンガのビブリオバトルをやるイベントって、これまでにない試みですよね。どのようにして思いついたのでしょうか。
住田先生:授業で、マンガを含んだビブリオバトルをやってるんですけど、やっぱり教育効果が高いなと感じることが多いんですね。これせっかくだし台湾でやったらどうなるんだろうって思ったのがきっかけです。翻訳された日本のマンガをみると、失われている部分が多い。それを比較して気づいてもらうだけでも、自発的な学びのきっかけになると思います。
Q2. すでに大学の授業で実践されているのですね!台湾マンガを取り上げることになったのはどういう経緯なのでしょうか。
住田先生:今回、共同開催する東呉大学は、僕の前任校なんです。
伊藤先生:台湾では、今度国立のマンガ博物館もできますよ。
台湾は、今、国をあげてマンガを推しているのですね。台湾では、日本のマンガもかなり読まれていると聞きます。
伊藤先生:ただ、そもそも、日本のマンガが世界中で読まれてるって言っても僕らが読んでる感じと全然違うんですよ。
「マンガ=わかりやすくするツール」は間違い
そうなんですか?それは知らなかったです。
住田先生:翻訳を見ると、全然違いますよ。日本語で読まないと、キャラクターが成立しないこともあります。
伊藤先生:実は、マンガってわかりやすいものではないですからね。文字だけよりも、複雑な表現を脳で処理しないといけない。
たしかに、見せていただいた台湾マンガも、開き方やコマの感じが日本とは違っていて、ちょっと読みづらいと感じます。
伊藤先生:台湾マンガは比較的日本のマンガに近いですが、アート寄りのものもあります。そういうのはフランスの「バンドデシネ」に近いです。
(注)バンドデシネ…フランス語圏で広く読まれる、芸術性の高いストーリー漫画。
マンガを日本語教育にどういかすか
Q3. では、これからの日本語教育のなかで、マンガをどう活用していけばよいでしょうか。
住田先生:日本語教育業界には、教材をマンガにすることによって面白くするっていう発想の方が、結構たくさんいます。わかるんですけど、僕は正直面白くないって思ってて。それだったら、実際に存在するマンガに触れる形に持っていった方が、面白いですね。
伊藤先生:学習マンガは、もうそっちの方向に向かっていますよね。まず、マンガとして面白いことが大切なんだと気づいたんだと思います。
今回のビブリオバトルは、まさにマンガを読解教材として扱うような、新しい試みですよね。
住田先生:そうです。どうなるのかは僕たちにも本当にわかりませんが。
授業を飛び出し、台湾で開催される今回のビブリオバトル。
予選を勝ち残ってきた台湾の大学生たち8名による熱い戦いとなる見込みです。
当日はオンラインで誰でも視聴することができます。マンガ×日本語教育の可能性に興味のある方は、ぜひ参加してみてください!
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