日本語教師の勉強会を見学 vol.3 日本語教師ざっくばらんミーティング
※この記事は2018年に公開された過去記事です
「もっと学びたい」「教師として成長したい」という向上心が旺盛な日本語教師たちが集まる勉強会・研究会に参加し、その様子をレポートします。
第3回は、日本語教師が気軽におしゃべりできる「日本語教師ざっくばらんミーティング」の初回の様子を、主催者である浦先生にレポートしていただきました。
日本語教師ざっくばらんミーティングとは
みなさんはじめまして、浦と申します。今回は私の思いつきで開催したイベント、その名も「日本語教師ざっくばらんミーティング」について報告いたしますので、どうぞ最後までお読みください!
「日本語教師ざっくばらんミーティング」と聞いて、どんな企画かイメージがわきますか? このイベントは、名前のとおり「日本語教師が集まって、ざっくばらんに話す」という目的の情報交換会なんです。
私は常々、日本語教師対象の勉強会やセミナー、シンポジウムは数多く開催されているのに、なかなか参加者どうしで自由に話す時間がない、と思っていました。「ああ、勉強会などで隣に座った先生に、日本語教育についての悩みや疑問を尋ねてみたい……」「ほかの日本語学校の雰囲気や働き方について聞いてみた~い」と思っても、実際にはそんなチャンスは少ないんですよね。そこで、肩肘張らず、お互いに聞きたいことが聞けて、日本語教師が楽しく話せる場を作りたい!と考えたわけです。
そんな企画をやってみたい、と思いついてTwitterで呟いたところ、ありがたいことにぜひ参加したいとの声をいただき、「ざっくばらんミーティング」は見事!実現に至りました。
第1回の概要
第1回日本語教師ざっくばらんミーティングは、2018年4月14日、東京・池袋のレンタルスペースにて行いました。当日の参加者は私を含め10名!
主にTwitter上の呼びかけで、個性豊かな日本語教師のみなさんが集まってくださいました。この企画は日本語教育にかかわっている人なら誰でも、ということで参加対象は限定していないのですが、第1回は日本語学校の専任講師、非常勤講師の方が多く集まりました。教師歴2年目というフレッシュな方から、7~8年目で数校の経験がある先生など、経歴はさまざま。また、今回はふだんオーストラリアで日本語教室を経営されており、ご自身も教師として20年以上のキャリアがある先生も一時帰国のタイミングで参加してくださいました。
10:30~10:40 ごあいさつ&30秒自己紹介
いよいよ集合時間となり、続々と参加者の方が……。いつもはネットで顔の見えない付き合いをしていたみなさんに実際にお会いして、始まる前からとってもわくわく!
私は入口で誘導していたのですが、参加者のみなさんはもう自然におしゃべりを始めていて、早くもざっくばらんな雰囲気となっていました。
そして企画スタート!
ごあいさつと、会の目的・注意事項などをアナウンスし、続いて参加者全員の自己紹介です。30秒以内で「お名前・出身地・日本語教師歴・現在のお仕事・今日特に話したいこと」について話していただきました。
みなさん30秒ぴったりでわかりやすく自己紹介をされていたので、さすがは日本語教師!とプチ感動。
10:40~11:30 グループで話す その1
さてさて次はA・B2つのテーブルに分かれて、テーマごとに話す時間です。参加者の方からは事前に「当日話したいテーマ」を募集しており、そこで出された意見をもとに、各テーブルで話すテーマを設定しました。
まずグループトークその1では、「A:教え方~初中級・中級~」「B:留学生の進学指導」について。参加者の方は話したいテーマのテーブルに移動し、交流タイム開始です!
私はこの時間、Bのグループに参加しました。今年度日本語学校で大学進学希望者に進学指導を本格的にする予定という先生から、いろいろな質問が出されました。留学生の進学指導の大まかな流れから、進学指導をスムーズに効果的に行うためのアイディア、大学・専門学校の出願準備の違いなど、次々に話題が飛び出しました。「途中まで願書を準備したのに急に受けるのをやめる」「散々悩んでなかなか動かない学生は結局友達と同じ学校を受ける」といった進学指導あるある(笑)も。
学生の母国の教育システムと日本との違いから、進学準備に対する感覚がそもそも日本人と異なっているのでは、といった話が出たのが印象的でした。うーむ、学生のバックグラウンドを意識して進学指導も行わなければ、ですね!
11:30~12:20 グループで話す その2
続きましてグループトークその2。
「A:教え方~助詞・精読など~」「B:日本語教師のキャリア形成」という2つのテーマです。「えー、どっちも参加したい~」とのお声もありました。そうですよね。私もです。迷いつつも今度はAのテーブルへ!
こちらはまずは「初級での助詞の教え方」から話がスタート。「行きます・来ます・帰ります」を教えるとき、「場所+へ/に」の扱いをどうしていますか!?という悩みが出されました。「初級ではどちらもOKでいいのでは」「教科書が『へ』だから『へ』にしなさい、というのはおかしいんじゃない?」「ドラマの台本を調査したある論文で、『へ』はほとんど使われず、『に』の使用が95%というのを読んだ」といった意見が。自分の学校での教え方が当たり前になりがちですが、こういう場でいろんな日本語教師の方と話をしてみて、うーむ、日本語教育って奥深いぜ!と改めて思いました。
教え方のことから話が膨らみ、「校内での教材のシェア」「先生の質の管理」「未経験の教師への対応」といった内容も。いろいろな話をしているうちに、「教師が創意工夫できるから、この仕事は楽しいんだよね」との言葉が出てきたのが印象的でした。そうそう、悩みも多いけどやっぱり楽しいぞ、日本語教師!
12:20~13:25 フリータイム(昼食)
テーマについて話す時間はここで一区切りとして、残りはフリータイム兼お昼ごはんです!
それぞれ持参したお弁当を取り出したり、コンビニに買い出しに行ったり。
お昼を食べながら、ますますざっくばらんな空気に。それぞれの日本語学校の雰囲気や働き方、授業のスケジュールの組み方、学校行事などに話が及び、その違いに時折「えーー!」というびっくりした声が上がったり、「いいな~」とうらやましがったり(笑)もうみなさん初対面とは思えないほど話が弾んでいました!
13:25~13:35 まとめ
楽しい時間もそろそろ終わり。ここで参加者の方からの提案で、お互いのTwitterアカウントをフォローし合うことに!
私は主催者なので、どの方がどのアカウントなのか知っていたのですが、参加者の方々はこの時間に初めてそれがわかり、「あ、このアカウントの人だったのか!」「すでにフォローしてた!」といった反応があり、最後にまた盛り上がっちゃいました。
最後に「これからもこの会を続けていきたいです!」とごあいさつ。
参加者のみなさんの笑顔と拍手をいただき、無事に第1回日本語教師ざっくばらんミーティングが終了しました。
終了後、みなさんからいただいた感想をご紹介します。
テーマからそれてしまったりしましたが、肩肘張らずざっくばらんにみなさん楽しんでいらっしゃったのではないでしょうか。このような会がこれからも続いていったらいいなぁと思います!
あっという間の時間で、聞き損ねてしまったこともありましたが、他校の様子が直接知れてとても良い機会になりました。
思ったよりスムーズに初対面の方々とお話でき、いろいろと興味深いことがお聞きできました。
「ベテランの方も同じように悩むんだなぁ、日々勉強だなぁ」と思い、良い刺激を受けました。
おわりに
私自身は日本語学校の教員で、1つの学校で働き続けてきましたが、日本語教育の世界はもっと広くておもしろいはず。
それを実感できて、自分たちの仕事がますます楽しくなるようなイベントをやりたいと思ってきたので、今回の企画でその一歩を踏み出せたような気がします。
また、参加者のみなさんの笑顔&真剣な顔を見ることができ、開催できて本当によかったと感じています!
何より自分が楽しかったので満足です~。
【募集】
現在、日本語教育の勉強会をされている団体・方で、「日本語教育いどばた」を通して紹介してほしい!拡散してほしい!など、取材にご協力いただける方は、ぜひ連絡いただけますと幸いです🙇♀️
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