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なぜ「消費税」は廃止すべきなのか

 10月1日からいよいよ「消費税」が増税される。勿論、消費増税などしてはならないし、そもそも「消費税」そのものが廃止すべき税金なのも言うまでもない。

 で、その理由も簡単。この表を見て貰えば誰でも判る。

  一応、説明すれば、これは「消費税」3%が導入された直後の1990年度、5%の2013年度、8%の直近、2018年度の税収を記した表。

 日本政府の税収のピークはやっと今年度、少しだけ上回ったが、この約30年間ずっと左端の1990年度がピーク。その後7年間は何とか50兆円台を維持するが、1998年度から2013年度までで50兆円を超えたのは、2回だけ。2009年度などは38.7兆円しかない。税収増を狙って消費税を導入したはずなのに、消費税率を上げても実際は税収は一向に増えて来なかったのだ。

 勿論、その理由もこの表を見れば一目瞭然。「消費税」の税収は確かに何度かの税率引き上げによって、この28年間で約13兆円も増えているが、「所得税」と「法人税」の税収が合計して約12兆円も減っている

   つまり、「消費税」は「所得税」と「法人税」を減税する為の財源に過ぎないし、「消費税」を導入したり、その税率を上げても国の税収が増える訳でも、財政赤字が改善される訳でも、社会福祉の予算が増える訳でもないということなのだ。

    税収額の増減には景気の動向などもあるのでもう少し詳しく、国だけではなく地方分も加えた「消費税」の税収額と「法人税(法人3税)」の減税額の関係を見ても中身はほぼ同じ。
下のグラフを見ればこちらも一目瞭然だが、1989年の消費税導入と同時に法人税を減税。以降も、私たち国民が2015年までに収めた「消費税」累計294兆円の内、その9割にあたる262兆円が「法人税」の減税の原資として使われているのだ。

   勿論、「法人税」が減って利益が増え、それこそ配当も増えるのだから大企業や大株主などの富裕層が「消費税」の導入や増税を主張するのも当然。
ただ、政府やマスコミが子孫にツケを回すなと騒ぐ財政赤字も減らず、ましてや自分たちの社会保障にも回らない「消費税」やその増税を私たち国民が受容する理由などないし、廃止を求めるのもまた当然だろう。

 これで終わりにしてもいいのだが、こんな世論調査の結果まで出ているのようなので、この「賛成49%」の人の為にもう少しだけ説明しよう (勿論、日経の調査を鵜呑みには出来ないし、日経がこうやって消費増税を推進しよとうしている事こそ、上にも書いた消費税が誰の為の税かという証拠なのだが~苦笑)。

  で、先ずは私とは反対に「消費税」が必要だという意見、その理由を見てみよう。

財務省は「消費税」が必要な理由として、『人生の様々な場面で生活を支える社会保障は、あらゆる世代の安心につながるセーフティネット。安定した社会保障制度を次の世代に引き継いでいくことが重要です。そのため、

①高齢化が進み支え手が減少していく中で特定の世代に負担が偏らない財源
②景気(経済動向)などの変化に左右されにくい財源
③事業者の経済活動にできる限り影響を与えない財源
 で支える必要があります』と書いている。

 勿論、これは大嘘か、あるいは大間違いだ。

先ず、『社会保障の財源として「消費税」』という考えからしてそもそも間違っている
誰でも知っているように「消費税」は収入が少ない貧しい人程、その負担が大きく、収入が増えて豊かになる程、負担が軽くなるという特徴、「逆進性」がある税金。

 それは当たり前で、金持ちから貧乏人、全ての人が収入の全てを生活の為に消費している訳ではないからだ。

  例えば、年収200万の人は貯蓄する余裕などないから全ての収入をモノを買ったり、家賃を払ったりで消費する。つまり年収200万分全てに「消費税」が掛かる訳で、その税額は税率10%で年間20万円になる。一方、年収2000万の人は全ての年収を消費する訳ではない。預貯金をしたり、株を買ったりする訳で、収入の半分1000万円を使って贅沢な暮らしをしたとしても「消費税」として収める税額は税率10%で年間100万円、収入に占める消費税の実質的な税率は何と5%になってしまうのだ。

 その収入が少ない人程、負担が重くなる消費税の「逆進性」は上の試算でも明らかだが、ここでよく考えて欲しいのは社会保障を必要とする人は失業していたり、病気だったり、シングルマザーだったり、働けない障害者や高齢者だったりして収入が少ない人、貧しい人だということ。
つまり、社会保障を「消費税」で賄うということは、政府が社会保障が必要な貧しい人にお金を与え、その一方、社会保障で与えたお金を「消費税」で政府が取り戻すという、全く意味のないことになってしまうのだ。

 社会保障は貧しい人ほど必要な以上、その財源は貧しい人ではなく、企業から取る「法人税」や、豊かな人がより多く払う「累進性」のある「所得税」などで賄うべきで、それを貧しい人により厳しい「逆進性」のある「消費税」で賄うというのは理屈からしてあり得ないのだ。

 それなのに財務省は「消費税」を社会保障の財源に最適だといい、更に「消費税」の税金としての素晴らしさをこう強調している。

1.【負担を分かち合う】
消費税は物やサービスを購入する際、国民の誰もが負担します。
そのため、現役世代など特定の世代に負担が偏らず、国民全体で広く負担を分かち合うことができる税です。

 これも大嘘。そもそも多くの人が勘違いしているが、公平な税金というのは国民誰もが同じ金額を負担する「一律の負担」ではなく、国民それぞれが自分の収入に見合った負担をする「応分の負担」であり、この「応能負担原則」こそが政府が税金を課す場合の大原則なのだ。

 上の記事にもあるように、この「応能負担原則」は憲法13条、14条、25条、29条からも導かれる国民の負担を公平にする税金の大原則だし、これに反して一律の税金を課す「消費税」はそれこそ違憲と言ってもいいぐらいだろう。

  更にいえば、そもそも国家が税金を課す目的の一つが「富の再分配」にある以上、逆進性があって、「応能負担原則」にも背く「消費税」は国家の役割放棄と言うべきかもしれないのだ。

  2.【税収が安定的】
消費税収は、経済動向等の変化に左右されにくいという特徴があります。そのため、皆さんの生活を支える社会保障制度を安定的で持続可能なものにするための財源としてふさわしい税です。


 これも大間違い。確かに「消費税」の税収自体は景気に左右されにくいのは事実だが、国の税収は「消費税」だけではない。

 「消費税」の割合が増えて来たとはいえ、まだ7割は景気の動向に左右される「所得税」や「法人税」などに頼っている訳だし、冒頭でも言ったように、その「所得税」や「法人税」を減らした結果、そもそもの税収自体がほとんど増えていないのだから社会保障の財源になどなりようがないのだ。

    また、「消費税」の税収が景気に左右されにくいというのも、見方を変えれば、景気が悪くなっても私たち国民が買うしかない、それこそ生活必需品にまで政府が税金を掛けて「消費税」を集めている証拠ともいえるのではないだろうか。

3.【経済活動に中立的】
消費税は、貯蓄・投資を行う意欲や勤労意欲に対して中立的であり、経済成長と親和的です。また、輸入品には課税される一方、輸出は免税となるため、事業者の国際競争力に中立的です。

 そして、この最後の財務省の理屈に至っては、大間違いや大嘘どころでなく、詐欺と言っていい。

 「消費税」が景気の動向に左右されないのは前の項目でも言ったように事実だが、逆にいえば「消費税」は法人税や所得税などと違って、景気が悪い時にも一律で政府がむしり獲っていく税金と言っていい。
これは景気の悪化で消費が落ち込んでいる時に更に消費を落ち込ます効果しかないし、事実、消費税の税率引き上げの度に消費が落ち込み、景気が悪化している。これが『経済活動に中立的』などといえるのだろうか?

    景気がいい時に政府が税金を沢山取るのはいいが、景気が悪い時には税金をむしり取ったりせずに逆に景気がよくなるように使う、これはここでも何度も取り上げて来た「MMT」の理論でもあるのだが、それ以前に誰でも判る理屈だろう。

  事実、上のグラフでも判るように、日本は「消費税」を導入した1989年から全く経済成長していない。日本の名目GDPのピークは「消費税」を導入する前の1987年度で、その数字は統計方法の見直しで何と30兆円も上乗せした2016年度まで更新できていなかったのだ。

   名目GDPの成長率で見ても、消費税導入直後の1990年度をピークに日本経済は急激に減速し始め、5%に引き上げた翌年の1998年度にはマイナス成長に陥る。以降2012年度までの15年間は基本的に低迷する。財務省の言う「消費税」が『経済成長と親和的』などというのは全くのインチキに過ぎないし、それこそ日本経済のこの30年間の低迷と衰退を招いた元凶の一つが「消費税」と言ってもいいだろう。

  因みに、財務省の説明で嘘ではないのは、この最後の部分の『輸出は免税となるため、事業者の国際競争力に中立的』という、「輸出戻し税」で輸出大企業は損しませんよ、という部分だけだと言ってもいい。

 長くなって来たので、ここではこれ以上は触れないが、この「輸出戻し税」の問題の他にも、優越的地位の濫用、税額控除やインボイス、免税事業者、納税義務者、非正規雇用との親和性、消費税の滞納など、「消費税」にはこの他にも様々な欠陥や問題点がある。

 こんな「消費税」を上げることなど勿論、論外だし、「消費税」を一刻も早くマレーシアのように廃止して、まともな税制、まともな経済の国にする。これは誰が考えても当たり前のこと。

 最後にもう一度だけいえば、日本の成長も栄光も30年前、「消費税」を導入する以前にあった事をぜひ思い出して欲しいのだ。

  

                                                      ※Photo by invest-online.jp

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