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いま何が起きているのか~続々・新型コロナウイルスは安倍政権の息の根を止めるのか…

      前回は新型コロナウィルスの治療薬として使われようとしている「アビガン」の問題点について書いたが、その動きの中で興味深いニュースも流れている。

  加藤厚労相の発言の内容は「アビガン」を新型コロナウイルスの感染者に使っていく、という、とんでもない主旨の発言なのだが、その一方で、同じ抗ウイルス薬の「レムデシビル」もちゃんと使うし、忘れていませんよ、とさり気なく言及している点に注目してほしい。

    日本でも株価が暴落する中で「アビガン」のメーカーである富士フイルムの株だけが暴騰した訳だが、米国でも実は同じ事が起こっていて、その注目の薬品が「レムデシビル」。

   元々はエボラ出血熱の治療薬として開発された「レムデシビル」は同じRNAウイルスであるコロナウイルスのSARSやMERSでも使われた経緯がある。勿論、今回の新型コロナウィルスでもすぐに使われ、中国でも「アビガン」よりも実用化に向けて一歩先行している状況。

   勿論、安倍政権としては前回の記事でも紹介したように、この機会に日本の抗ウイルス薬の「アビガン」を使いたいが、米国は「レムデシビル」を使わせたい。それこそトランプから安倍に電話があったのかどうかは知らないが、安倍政権が米国に逆らう訳にも行かず、だから加藤厚労相も「レムデシビル」も使います、と会見で言わざるを得なくなったのだろう。

    「ショックドクトリン(惨事便乗型資本主義)」という言葉もあるが、地震や津波などの自然災害や戦争と同じく、今回のようなパンデミックも大企業などにとっては大きな利益を上げる千載一遇のチャンス。その中の一つとして、うまく行けば莫大な利益に繋がる新型コロナウイルスの治療薬でも製薬企業、それに関連した人々や各国政府などの思惑交錯しているのだ。

   で、ここにはさらにもう少し複雑な状況が存在する。

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    これが「メガファーマ」とも呼ばれる、世界の巨大製薬会社トップ10のランキングなのだが、見て判る通り、「レムデシビル」を作っているギリアドもちゃんと9位にランキングしている(最新、2019のデータでは減収続きでついに12位にランクを落としているが、それでも日本最大の武田薬品でさえ16位なので足元にも及ばない)。

    こういったメガファーマはその豊富な資金力と人脈で、各国の医学者や研究機関、政治家や政府などにも強い影響力を持っている訳で、例えば米国では政治家に献金をするロビイ活動でもっとも多くの資金を出しているのが製薬業界だし、今回の大統領選でもブダジェッジがメガファーマから多額の選挙資金の提供を受けていることをサンダースなども批判している。

  少し話がそれたが、このメガファーマの影響下にあるのは、「WHO(世界保険機構)」も例外ではない。そう考えると『WHOのエイルワード事務局長補は北京での記者会見で「現時点で新型ウイルスへの効果が期待できそうな薬はひとつだけある」と述べ、ギリアド社の抗ウイルス薬「レムデシビル」を挙げた。』というCNNの記事、富士フイルムの「アビガン」ではなくギリアドの「レムデシル」だったという理由も納得出来るだろう。

    WHOだけではなく、各国、そして日本国内だけを見てもこの構図は変わらない。やはりメガファーマの力は圧倒的だし、事実、日本でも先日、「武田薬品」の株式時価総額をついに「中外」が抜いたが、「中外」は世界最大のメガファーマ「ロシュ」の子会社に過ぎない。

  昨日、「ニュース23」に出演した上昌広が日本政府が新型コロナウイルスの検査を増やさないことに激怒していた問題について、こうツイートしたが、事実、彼はロシュの検査キットを使わない事に怒って、こんな原稿を書いている。

  そう、安倍ども日本政府が新型コロナウイルスの検査をしたがらないことを前々回、このnoteで私も批判したが、公表する感染者の数を減らして東京五輪などへの影響を減らしたい、というだけではなく、検査キットを巡る利権、ロシュなどメガファーマと国内企業の関係も、富士フイルムとギリアムの関係と同じように、ここに影響を及ぼしていることは否定できない。

  で、更に言えば、問題は日本政府が実は一枚岩ではないことにあるのだ。

   薬品や医療を所管する厚労省は当然、ずっとロシュやファイザー、ギリアドなどメガファーマとの関係は強かった訳だが、医薬品では新規参入に近い富士フイルムなどとの関係はさほど強くない。そして、そもそも「アビガン」のような新しい薬品や新型コロナウィルスの検査キットなどを日本で作る創薬やバイオ産業の育成に熱心なのは厚生労働省ではなく、経済産業省なのだ。 

 そう、ここには日本と世界、日本企業とメガファーマの対立というだけではなく、厚労省と経産省の対立・縄張り争いも存在するのだ。

    事実、新型コロナウイルスに「アビガン」を使う、という話は厚労省からではなく首相官邸から最初に出て来た話で、加藤厚労相も記者に訊かれて知らなかったとも言われている。これも今井尚哉など経産省官僚が牛耳っている今の首相官邸を考えれば合点がいく話の筈。

   そしてこの経産省と厚労省の対立が根底にあるからこそ、そもそもはメガファーマなどの医薬産業や厚労省側の“御用学者”に過ぎない上昌広や岩田健太郎までもが安倍政権のやり方に激怒したと考えれば、色々な面で納得出来るのではないだろうか。

 新型コロナウイルスへの安倍政権の対応を巡っては、この手の御用学者だけではなく、勿論、現場の医療関係者からも不満や批判の声は上がっているが、安倍側近の加藤大臣は別としても厚労省自体が今回の経産省主導の安倍政権のやり方に不満を持ち、サボタージュというか、どこかでまともに働いていないことがこの新型コロナウイルスの感染拡大を止められない大きな要因になっていると、私は考えているのだが。

 いずれにしても今回の新型コロナウイルスの感染拡大は安倍政権の責任というしかないし、安倍政権が東京五輪の中止にも繋がりかねないような国際的信用を失っただけではなく、同時に見えない所で米国、WHOやメガファーマ、さらに身内の厚労省や官僚に対しても不信や不満を与えたのも確か。

 そして、何よりも安倍ポチに過ぎなかった百田尚樹までもが安倍や政権を批判しているように、検査も受けられず、感染拡大の不安に怯えている国民には大きな不信と不満を与え続けている。そんな中、ここまで指摘してきたように、安倍どもは国民の生命を守ることではなく、富士フイルムのようなお友達の利益や自分たちの利権や都合しか考えていない以上、この新型コロナウイルスが安倍政権の息の根を止めることになるのは確実だと思うのだが…。

                   

                  ※Photo by Forrester Research 


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