海の味

魚介類が苦手だ。貝類、イカ、タコ、青魚、その他諸々全てダメ。寿司屋で食べられるものといえば、前まで正直たまごとツナと後はもう魚ではないものくらいしかなかった。鮪とサーモンという素晴らしい魚に出会ったのもまだ一年と少し前くらいのことである。
そんな私が大きな成長を遂げたのは昨年の大晦日。この日の夜ご飯はいわゆる、「ちょっと高級な回転寿司」だった。2年前の大晦日にも同じお店でご飯を食べたのだが、残念なことに「高級なツナ」と「高級なたまご」を堪能してた記憶しか残っていない(この時には一応鮪とサーモンは食べられるようになっていたはず)。そこで今回、必ず新しい魚を1つは食べられるようになるという目標を持って店に入った。
目をつけたのは三種盛りのメニュー。名の通り特定のジャンルのものを一貫ずつ、三種類載せてあるものだ。本来の食べ方をすれば三種類食べるには計画六貫食べる必要があるので胃の小さい私にはとても有難いメニューなのである。ツナは必ず食べるとして、とりあえず鮪三昧と炙り三昧なるものを頼んでみた。鮪三昧の方には漬け鮪、炙り三昧の方にはえんがわがあると書いてあったので、これが食べれれば目標クリアとなる。最初に来たのは鮪三昧。絶対おいしいと分かっている鮪を1つ。安定の美味しさ。次に中とろというものを食べてみた。…なんだこれは。今までとろシリーズ≠鮪だと思っていた自分を殴りたい。旨い、旨すぎる。脂?太る?そんなこと今は気にしない。そして本題の漬け鮪。漬け、というだけあって味はついているから醤油はいらないよと言われ、そのまま食べてみた。
..........。美味しかった。というか、ノーマルの鮪よりこのとろシリーズと漬け鮪の方が美味しい。とろ万歳。
続いては炙り三昧。こちらもまずは炙りサーモンから。おいしすぎた。美味。サーモンってなんでこんなにおいしいの?もっと早く食べれればよかったのにと、サーモンが食べられるようになって以来思う。次は鰤。そう、この小学生並みの舌の持ち主はなんと、祖母の作る鰤の照り焼きだけは魚介類の中でも唯一最初の頃から食べられるものだったので、鰤はオッケーなのだ。無論、刺身もである。
やはり残るのはえんがわ。寿司に限らず、未知のものを食べるときはほぼほぼ最後にする。どうしても警戒心を抱いてしまうのだ。父に、えんがわはサーモンとは違う食感だよ、と言われて余計に不安が増した。それでも食べなければ。
一口。半分まで食べて、一度咀嚼してみた。なるほど、確かにサーモンとは別物だ。ごりごりとしたような食感。でも、悪くない。気づけばもう半分も口に入れていて、完食していた。目標を達成した私はいざご褒美とばかりにツナを食べた。よく行く一皿100円を謳う回転寿司で食べるツナも大好きだけど、やっぱり高級なツナって贅沢で良いなって思った。
私が次々に魚が食べられるようになるものだから、私の魚嫌いを知っている祖母は何回も驚いていた。すごいねえ、偉いねえ、と言って笑顔になる祖母を見られて幸せだ。
もし、今年も同じようにまた行けるのなら。食べられるものを1つずつでいいから増やしていきたいな。お寿司はおいしいね。