熱狂は最強の精神安定剤~「死ぬこと以外かすり傷」と同人活動にみえる共通点~

「死ぬこと以外かすり傷」を読んだ。

本はこちら

一時期書店で豪快にアピールがされており、職場の社長も読んだ上でその感想を社内メルマガで熱く語っていたので、以前から書籍名は知っているという点でちょっと気になっていた本だった。

この度会社の図書館(…と言うと大げさだが、実際は社長が読了した本が陳列されている棚。自由に読んでも良いと言われている)に「死ぬこと以外かすり傷」が並んでいたので、「おっ」と思い借りることにした。

だが読めば読むほど、得も言われぬ既視感のようなものを感じた。

「これ、同人誌作っているときの私なのでは……」

「死ぬこと以外かすり傷」あらすじ

この本は、著者が編集者へ転身し、新しい手法や著名人との関わり・口説きを経て本を出版。本はどれも大変売れ、最終的にはその実績が著者自身の市場価値に繋がり、今は出版社に勤めながらも副業のオンラインサロンで本業以上に収益を上げている、というストーリーだ。それに沿って、著者の仕事への姿勢が語られている。

著者の姿勢は一貫している。一言でいうと、「仕事に熱狂しろ」だ。

本能のまま動け。スピードをあげろ。量をこなせ。周りの顔色を伺うな。何かに狂えば、多少の失敗なんて意に介さずハイになった状態のまま走り続けられる。まるでマリオの無敵モードのように。

これは仕事熱血人間のぶっ飛びエッセイだ。この手の本は「残業なくしてワークライフバランス充実!」「業務効率化のコツはこれ!」のような、一般的なビジネス書の文脈とは別次元で話が展開される。

なので、自分の今の仕事で悩んでいることへの参考にするというよりは「こういう人もいるんだ~世間ヤベエな」という、ある種ファンタジーを楽しむような構えで読んでいた。

ところで冒頭で既視感のようなものを感じたと書いたが、実際私は著者のように仕事をバリバリやるデカい人間ではない。だが私は、この著者の語る感覚に似たものを感じたことがあるような気がした。それは、同人活動している時だ。

同人活動は狂っている

何冊か同人誌の発行をしたことがあるが、この趣味は本当に気が狂っているとつくづく思う。

本能のまま性癖を晒し、寝れなくても食べなくてもひたすらに描き続ける。実は傷だらけになっているのに、ハイになっているもんだから痛みも苦しみも感じないまま脱稿まで駆け抜けることができる。(※これは私のような原稿ギリギリ人間のパターンだ。計画的な人はこういう風にはならない)

イベントに参加し、性癖を晒した本を本人が自分の手で売る。「この野菜は私が育てました」ならぬ「この性癖は私が晒しました」だ。これも大概狂気だと思う。でもイベントって楽しいんだな…

本が余ったら在庫は自分の家の押し入れにしまう。押し入れを開けたら自分の性癖を晒した本が何冊も鎮座している。これも正気の沙汰じゃない。

極めつけはカネのことなんて度外視だ。作ることが目的なので、それを達成したら満足してしまう。

冷静に考えると最初から最後までとんでもねぇなと思うのだが、あの達成感と高揚、一度経験すると癖になってしまうあの感覚、経験したことある方には伝わるのではないだろうか。


狂うことで小さな躓きを帳消しにする

「死ぬこと以外かすり傷」と(私の思う)同人活動から考えるに、狂うことは最強のチートモードだ。確固たる熱狂があれば、些細な失敗も後悔も大したダメージにはならない。

例えるなら狂うことは何かにがっつりピントがあっている状態だ。逆にそれ以外の事象は激しくピンボケしてよく見えない。だが、「見えないこと」が精神衛生上良く作用することもある。

私は仕事で、小さな失敗をしては凹んでしまう。「できなかったこと」がずっと気になってしまい、良い気持ちで働けないことがある。

でもそれは、着手している仕事のもっと先を見据えることが出来ていないから、自分のなりたい姿が明確化できていないから、究極「狂う」ことができていないから、小さな「できなかったこと」にフォーカスを当て続けてしまうのではないかと思う。

狂っているときは「できなかったこと」など考えている暇はないのだ。

同人活動でもそうだ。原稿で徹夜し、翌朝起きれなくて大慌てで家を出ても「まぁ脱稿した今の私は最強だしいいか」となる。(私は)
これが普通に何もしないまま寝坊してたら、普段の私の性格からして「やってしまった…」と後悔していることだろう。

少し話が脱線した気もするが、雑談なので許してほしい。


熱狂は最強の精神安定剤

趣味を仕事にするのは難しいし、仕事を趣味化するもまた難しい。

私は同人活動が好きだが、漫画を描くのを仕事にするのは技術的にも自分の気持ち的にも絶対に無理だし、逆に今の仕事に対し同人誌制作並みに熱狂して取り組めと言われても、多分できない。

でも、狂うことで得られる濃密な快感は身を持って体感している。

あれは本当に麻薬だ。

今の仕事で少しでも夢中になるものがあれば、もしくは自分が夢中になるよう今の仕事を持っていけるようになれば、または絶対に実現したいことを見つけられれば、多少の躓きや嫌なことなんて屁でもない無敵モードになれる。まさに「死ぬこと以外かすり傷」状態になれる。

会社へ貢献するためでなく、自分が図太く生きるために、積極的に狂うきっかけを探そうと思った。

はやく自由にイベント行ける世の中にならねぇかな~

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