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地球平面説支持者の増加について私が思うこと

本記事は、ニードスタッフが業務や趣味について思うままに書き綴るアドベントカレンダー企画「nide.inc ライトニングトーク部 Advent Calendar」の第16日目です。
nide.inc ライトニングトーク部 Advent Calendar 2020

こんにちは。フロントエンドエンジニアのふくずみと申します。

突然ですが、
皆さんは地球がどのような形をしていると考えていますか?

「球体」と答える方が多いかと思いますが、
実は近年、「地球は平面である」という説を唱える地球平面説支持者が増加しているんです。

今回は、「地球平面説とは何か」から出発し、ネットフリックスで配信されているドキュメンタリー「ビハインド・ザ・カーブ -地球平面説-」を見ながら個人的に思ったことをまとめてみました。



地球平面説とは

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地球平面説とは、地球の形状が平面状・円盤状であるという宇宙論です。
各地域で文明の発展の途中までは広く信じられていたもので、科学の登場により地球が球体であることが証明され、反証されました。

地球平面説では以下のような仮説が唱えられています。

・ 地球は北極を中心とした丸い円盤、外側の円周の部分というのは、南極の氷
・重力は存在しない
・その円盤外に出たら別の端にワープする
・月や星、太陽は偽物で、映像である
・地球というのは神様が完璧な形で作っているが、黒幕的存在が球体であると人々に信じ込ませている

このような仮説群は発生の要因は様々ですが、神様というキーワードからもわかるように宗教的な世界観などと結びついていることが主な特徴です。

現代では陰謀論者やキリスト教原理主義者の間で権威的な科学を「世界的な陰謀」として否定する議論の中で地球平面説が語られるようになったとされています。


残念ながら、
地球平面説は私たちの生活の中でも簡単に反証が可能です。

・月食
・水平線の先から現れてくる船が帆先から順番に現れてくる現象
・観測地点によって見える星座に差異が生じること

など、地球が平面であれば起こることない現象を確認することができます。
下記のサイトに10の反証が掲載されています。

地球は丸いということを確認するための10個の簡単な方法

やはり、ちょっと考えてみれば平面であると主張することは合理的ではないと私は思います。
下記の動画のように、実際に観測のために気球を飛ばしている方もいるようです。


支持者の増加

前述のように地球平面説は明らかに反証されてしまっています。
しかし、近年アメリカなどで支持者が増加しているのです。

2015年頃からSNSや動画共有サービスを通じて一般の人々の関心を集めており、調査会社ユーガブがアメリカの成人8000人以上を対象に実施した調査によると、地球が丸いという確信を持てない米国人は6人に1 人に上ったそうです。
マイノリティではありますが、思ってたよりたくさんいますね。
2019年11月には3回目の国際会議も開催されるなど、インターネットを通じでコミュニティが拡大しているんですね。

ドキュメンタリーの中でも非常に熱心な方が多く、コミュニティに参加している方々は誇りを持って平面説を唱えています。反証されても挫けません。人々は騙されており、科学そのものが陰謀であることを主張し、結束しています。

これはもう「平面 vs 球体」の議論を超えて、何か別の要因や状況がある気がしませんか?


別の視点から

ここからはもっとミクロな視点から支持者の増加の背景を見ていきたいと思います。
支持者個々人の精神状態や行動心理にはある程度の共通点が見られます。
3つのキーワードをご紹介します。

確証バイアス
仮説や信念を検証する際に、それを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のことです。
地球平面説支持者は反論されても、自らの論を説得する証拠を次々に繰り出します。

ダニング=クルーガー効果
自身の能力を過大評価して物事を知っている気になるという現象。
つまり、自分の主張を疑うことなく自信過剰になることですね。

エコーチェンバー現象
同じ意見を持った人達だけがそこに居ることを許される閉鎖的なコミュニティで、彼らと違う声を発すると、その声はかき消され、彼らと同じ声を発すると、増幅・強化されて返ってきて、「自分の声」がどこまでも響き続けるというような現象。
SNSとアルゴリズムの進化によって加速してる現象です。皆さんのタイムラインはどうですか?

これらを踏まえて考えると…

「自分が信じたいものしか信じない。
自分が見たいものしか見ないし、見えない。」

という態度と、個人の置かれている状況が浮き上がってくるのです。
そして現代では、そのような態度をブーストさせる装置がインターネットによって実装されています。


昨今の政治状況と私の危惧

間も無く任期を終えるアメリカの大統領は自分に不利な情報をフェイクニュースとして扱い、自分に有利な情報は真偽を検証することなく拡散します。

日本でも、ここ8年間で政権のとった行動の中で目立つのは
データ破棄・改竄、説明責任の放棄、エビデンスなしでの政策決定
などです。

このように政治状況を見渡しても、「見たいものしか見ない」という態度が蔓延しており、常態化しています。

データ・証拠・真実、ルールなど、実証性と客観性を持った物事は、個人の信条や前提の違いを超えてコミュニケーションのするための基軸になるものです。
これらが軽視されるような状態がすでにあり、民衆はそれにもう慣れてきてしまっています。この先に何があるのかを私は危惧しています。


最後に

地球平面説支持者の増加について、私が思うことをざっくりとまとめてみました。
社会・政治的な接続をして少し暗いお話を展開しましたが、我々の常識や置かれている状況を疑い、考え直すという発想は必要なものだと思います。
しかし、科学という枠組みそのものの否定に繋がる地球平面説は非合理であって、私にとっては支持できるものではありませんでした。

結局、言いたかったのは
「ある物事が自分が信じているものと違った時にどういう態度を取るか」
の話だったんじゃないかなと、書き終わって思いました。

ネットフリックスには興味深いドキュメンタリーがたくさんありますので、オススメです。

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