見出し画像

【感想】★★★★「世に棲む日日」司馬遼太郎

評価 ★★★★

内容紹介

■嘉永六(1853)年、ペリーの率いる黒船が浦賀沖に姿を現して以来、攘夷か開国か、勤王か佐幕か、をめぐって、国内には、激しい政治闘争の嵐が吹き荒れる。この時期骨肉の抗争をへて、倒幕への主動力となった長州藩には、その思想的原点に立つ吉田松陰と後継者たる高杉晋作があった。変革期の青春の群像を描く歴史小説全四冊。

感想

吉田松陰の半生から始まり、その弟子である長州藩士・高杉晋作の生涯を中心に描いた幕末小説の傑作。
吉田松陰の鋼鉄のような強いメンタルは、逆に今後の我々の人生に参考にならないくらいに強い。そこから幕末志士たちの尋常ではないマインドセットを伺い知れる。
高杉晋作の魅力的で特異なキャラクターを物の見事に表現している。彼が居なければ、薩長同盟もなければ、明治維新もなく、そもそも現在の日本地図が変わってい可能性もある日本史上トップクラスの天才革命家の生涯は、こんなにも美しく、儚く、切ないものかと‥‥。
正にドーンと行って、パーっと散るような花火のような人生が紡がれていく。
『幕末』と言う隅田川大花火大会のような幾つもの天才が打ち上っては消え、打ち上っては消えていったド派手な時代を物の見事に描き切ってくれている。
歴史小説の伝説である司馬遼太郎の数多くなる傑作の内の間違いなくトップ5に入ると思われる傑作。
例の如く、綿密な取材を基にリアリティ溢れる様々な描写は世界屈指ではないかと思う。正に今まで見てきたような世界感は、圧倒的。
特に非の打ちどころはなく、★×5でも良いような気もするが、大傑作である『竜馬が行く』と比べると‥‥。
「面白き事もなき世を面白く」という高杉晋作の辞世の句が、すべての人の心に突き刺さるでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?