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ほっとしてハーゲンダッツ

院試はあっという間に終わり、良い感じに答えられたように思える。
というより、先生方がとてもやさしかった。私の学科の先生には私たちに知識がないことを非難することなく接してくださる方が多いのでありがたい。

もう秋だと思ったけれどやはり夏は残っていて、汗をかきながら中央線に乗りこんだ。お腹がすごく空いていて、とりあえず飴をなめた。

「院試、終わったよ!」と友人や先生に連絡する。

履きなれないパンプスが痛くて、いつもは歩く駅からの道も今日はバスに乗った。

スーツを脱いでハンガーにかけ、「暑すぎる……」とひとりごとを言いながら手を洗い、うがいをして、それからシャワーを浴びた。

やっと物を落とすたびに「落ちる」と気にしなくて良い。これは小さいころに見ていたサザエさんが原因だと思う。サザエさんが受験生だったころの話があって、物干し竿が落ちているのに気が付いたサザエさんがお母さんに「物干し竿、落ちてるよ」と伝えた。するとお母さんが「受験生が『落ちる』なんて言うんじゃありません!そういうのは何も言わずに戻すの!」と怒っていて、うわ~受験っていやだな~と怖くなった。

それから、なにか受験とか試験があるときは物を落とすことに敏感になってしまうようになった。あんな話さっさと忘れたいのに、なぜか10年ぐらいたった今も思い出してしまうから困っている。ただの掛け言葉なのに。

夜はスーパーに行ってハーゲンダッツを買った。

久しぶりに食べるハーゲンダッツはやっぱり高いんだけど、美味しかったし、どこかでハーゲンダッツはとても良い材料を使っているから高いと聞いたことを思い出して、幸せな気持ちになった。

小学校低学年のとき、算数の時間で先生がハーゲンダッツを問題文に使ったことがあった。ハーゲンダッツを知らない幼い私が「ハーゲンダッツってなに?」と聞くとその先生に「えっ知らないの」と言われたのを覚えている。なんだろな、モヤモヤする。知らなくてもいいじゃんね。

とりあえず院試が終わって後は実習と卒論と単位を取るだけになった。
だけ、と言ってもいろいろ大変なんだけどやるっきゃないな。

今回この院試に至るまで精神的にも体力的にもいろんな山を越えてきた。
そのたびに私は周りの人に助けてもらったし、何かやれば「えらいね、頑張っててすごいよ」と褒めてもらって、本当に人に恵まれていると感じた。

ハーゲンダッツなんだからいつものアイスより美味しくなきゃ困るんだけど、本当にいつもより美味しかった。

なんか、ぐっときちゃった。ありがとう。

ちょろい女子大生の川添理来です。