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「あなたへ」4年 岩倉 恋



22年間。この長いようで短い人生には、多くの苦難があり、物語がありました。
その中で14年間のサッカーという物語を言語化してみました。
JFAアカデミー福島出身、スポーツ科学部競技スポーツ学科の岩倉恋です。
ご無沙汰しております。
いつもおちゃらけた私ですが最後くらい真面目っぽくサッカーに手紙を綴ってみようかな。
是非読んでみてください。

サッカー様

拝啓

 初秋が訪れ、そろそろ選手たちの頭上から湯気が立ち上ってくる季節となりましたね。
いつも大変お世話になっております。
先日も適当にシュートを打った際に、いい感じにゴールの隅の方に飛んでいってくださりとても助かりました。お陰様で味方からは、ナイスというお褒めの言葉をもらいました。
その節は、ありがとうございました。

さて本題です。
大学4年生の10月が過ぎ、4年生引退の日が少しずつ近づきつつあります。そして僕にとっては、14年間続けてきたサッカーの引退の日でもあります。
とうとうお別れの時が来てしまいましたね。今まであなたと過ごした14年間を振り返ると色々なことがありました。

あなたと出会ったのは、たしか小学3年生で、友人の誘いから仲良くなりましたね。でもその友人はすぐに野球と仲良くなっていましたね。せっかく一緒にやれると思ったのに(笑)でも今では感謝しています。そこからすぐに誰よりも仲良くなりましたね。小学生の頃は、放課後学校の校庭に行くのが日課で毎日、日が暮れるまで遊んでいましたね。試合では、点決めて勝って、M V Pとってと楽しい思い出ばかりでした。苦い思い出と言ったら初めてイエローカードを貰い号泣していたくらいです。

中高の6年間は親元を離れ、今までとは全く違う環境の中で初めて大きな挫折を味わいました。高円全国3位などを経験した一方で、試合に出られない時期や度重なる怪我、家族の恋しさからのホームシックを経験し、寮の誰にも見つからないところでよく涙を流しました。
そして大学の4年間。順風満帆といった4年間ではありませんでした。自分のプレーを貫き、肯定され、否定され多くのことを学びました。
正直、中高の時よりあなたと真剣に向き合う時間が減っていたかもしれません。自分の喜怒哀楽をあなたにぶつけていたかもしれません。様々な感情が交差し乗り越えてきた大学4年間でした。

こうして14年間振り返ってみると、あなたには謝らなければいけないこと、感謝しなければいけないことが沢山ありました。

まずは、スパイクの紐を結ぶのに毎回お尻で踏んですみませんでした。僕が下手くそなせいで何度も草むらに突っ込ませてすみませんでした。守備はサボるくせに攻撃の時だけ呼んですみませんでした。上手くいかへんくて八つ当たりでキックしてすみませんでした。自分の喜怒哀楽をあなたに全部ぶつけてすみませんでした。
本当に反省しています。すみませんでした。

次に全国、世界各地にいる沢山の方々と出会わせてくれてありがとうございました。あなたを通じて出会った仲間たちと同じ夢を持ち、切磋琢磨して過ごした14年間という時間は、何にも変えられないものであり僕の一番の財産です。
こんなにも大きな情熱を持たせてくれてありがとうございました。かなりの情熱を持たせて頂いたせいか審判や監督、仲間に攻撃的なことを言ってしまうなど悪い方向に向いたこともありました。しかし、この情熱のおかげで幾度とない苦難を乗り越え、一つのことに14年間も夢中になることができました。

こんなにも綺麗で真っ直ぐな青春を味合わせてくれてありがとうございました。仲間みんなであなたに夢中になりあなたについて語りあなたのために過ごしてきました。あなたのおかげで仲良くなれた時もあれば、あなたのせいで喧嘩した時もありました。良くも悪くも全てあなたのおかげです。悔しくてみんなで流した涙。嬉しくてみんなで抱き合って流した涙。どれも透き通っていて美しいものでした。

勝負の世界の厳しさと努力することの大切さを教えて頂きありがとうございました。勝負の世界はそんなに甘い世界ではなく、どれほど努力をしても追いつけない、報われないこともあるということ。しかしその追いつけない人たちは、想像を絶するほどの努力をしているということを肌で感じることができました。お陰様で、自分でも知らない本気が見れました。

14年間、僕に「夢」とそれを追う「活力」を与えて頂きありがとうございました。練習はもちろんのこと、ご飯を食べるのも、寝るのも、リフレッシュするのも全て「あなたのため」でした。今はあなたがいない生活が考えられません。本当に感謝しています。ありがとうございました。

あなたにとって僕と過ごしてきた14年間は楽しかったですか。それとも物足りなかったですか。色々想うことはあると思います。でもこれだけは言わせてください。

僕はあなたが大好きでした。そしてこれからも大好きです。未練たらしいかもしれません。またすぐに戻ってくるかもしれません。そのときはそっと優しく迎え入れて頂けませんか。
引退までの時間、思う存分楽しませてください。もう少しの時間だけよろしくお願いします。

ありがとう、サッカー。

                   敬具

日本大学保健体育審議会サッカー部
4年岩倉恋


noteを書いていると今までのサッカー人生がフラッシュバックしてきて涙が溢れてきた。
あの時楽しかったな。あの時はあかんことしたな、あの時は…って、サッカー人生凄まじく濃かったな〜。

今まで自分の子供には、できればサッカーはやらせたくない。って頑なに思ってきたけど初めてサッカーをやらせてあげてもいいかもしれないって思えた。もちろん楽しいことばかりじゃないし、辛くて逃げ出したくなる時なんて数え切れへんほどある。でもそれ以上に得るものが大きいし価値がある。なんと言っても、全国各地にありえへんほどおもろい最高の仲間ができ、友達ができる。これ以上の見返りはないと思う。
自分の子供は、サッカー好きになってくれるかな。みんなの子供たちが同じチームだったらみんなでまた戦いたいな。


今までの14年間を振り返ると、感謝しなければいけない人が数え切れないほどいる。
一人ずつ少しずつでも恩返ししていけたらいいな。

これまで岩倉恋に関わってくださった全ての方々、応援してくださった方々、本当にありがとうございました。



最後に…
家族へ
これまで俺の好きなことを思う存分やらせてくれてありがとう。そして心配と迷惑ばかりかけてごめんなさい。
12歳から家を出てごめんね。自分で決断して行くって言ったのに帰りたいってわがまま言ってごめんね。
俺が試合出ないってわかってても毎週のように応援に来てくれてありがとう。嬉しかった。数え切れないほどのごめんねとありがとうがあるけど本当に心の底から感謝しています。
寡黙な父やけどたまに言ってくれる「あのプレーよかったやん」って言葉が何よりも嬉しかった。「笑顔が出せんようなったら帰ってきたらいい」って母の言葉に何度も救われた。そして兄姉、本当にありがとう。そしてごめんね。二人にもやりたいことがあったはずなのに、一番に好きなことさせてもらってごめんね。色々なとこで我慢させてしまってごめんね。本当にありがとう。こんな心の広くて頼りになる兄姉を心から尊敬しています。

ほんまにありがとう。これからもよろしくね。

サッカー楽しかった。
やりきった。

岩倉 恋 (いわくら れん)
出身 滋賀県近江八幡市
〈経歴〉
馬淵SSC→JFAアカデミー福島U-15→JFAアカデミー福島U-18→日本大学

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