nice things. MAGAZINE

雑誌『nice things.』編集部がお届けするnoteです。

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最近の記事

山香「scene」に広がる風景

2021年10月末、大分県山香にあるsceneに足を運びました。 nice things.Issue63「扉を開けたいお店」で取材させていただいたsceneは佐藤恵美子さんが2020年春から営まれているお店です。 白い空間にはyasuhide onoのアクセサリーや、角田淳さんの器、〈野原〉の布の鞄や財布が並び、まるで作品たちが親しみを持ってそのsceneという場所に巡り出会ったようです。 実際、恵美子さんもお店で取り扱うものは作家が素材を大切にして作った作品や、敬意を

    • 真鶴町と、はしむらさんちのガラス展。

      先週の11月3日文化の日、真鶴出版さんで催された「はしむらさんちのガラス展」を訪れました。 真鶴町へ訪れるのはnice things.issue66の取材日以来です。 神奈川県真鶴町を、皆さんはご存知ですか。 相模湾に臨む、森が豊かな小さな港町です。 横浜駅から東海道本線で揺られることおよそ1時間。 まどろみのなか目を開けると、いつの間にか窓の向こうは一面の青に。 夢か、、?とただ目を奪われている間にだんだんと家屋の屋根や多くの緑が流れてゆき、しばらくすると町に到着します

      • 取材して記事を書くということ

        nice things.が復刊してから自分で取材して記事を書けるようになりました。いろんな場所に行って取材することの楽しさを今更ながらに感じています。 取材するということは、文字通り誌面を作る材料を取ってくる、ということです。nice things.の場合は、全ての誌面を作るのに、現地に行って人と会って取材するというスタイルでやっています。写真もその時に撮影したもので誌面を構成していきます。取材するということが誌面を作る全てといえます。 事前に構成を考え、絵コンテを起こし

        • 雑誌編集者としてできることを

          nice things.は自分で生み出した媒体ですが、号を重ねていくうちに、生み出したのではなく、「出会った」という感覚に気づきました。企画を考えているときに、取材に行ったときに、誌面構成を考えているときに、出来上がったばかりの誌面を開いているときに、それに何より読者の声や取材させていただいた方々との関係において、自分の編集者としてこれまで築いてきたものとは違うものを感じるようになりました。 それまでの自分自身の雑誌作りも、多くの雑誌編集者とたいして変わらない考えで作ってい

        山香「scene」に広がる風景

          ある日の取材のお話 ー1ー 【雨余花(栃木・茂木町)】

          6月半ば、栃木県茂木町の料理店〈雨余花〉を取材させていただいた。 この日はお店が定休日で店主の風間寛さん、麻衣子さんご夫婦がこの地域を案内しますとご提案してくださった。「それじゃあ、行きますか」と寛さんが運転する車に乗せてもらい、まずはじめに到着したのはこの地域で運営するブルーベリーの摘み取り農園だった。早朝からの作業は既にひと段落したようで、パック詰めされたブルーベリーが置かれていた。農園の方へ向かうと、地域の人たちが果樹の手入れをしていた。「食べてみるか」と摘みたてのブ

          ある日の取材のお話 ー1ー 【雨余花(栃木・茂木町)】

          私にとって編集することとは

          およそ1か月前、nice things.65号が刊行された。復刊号から1年かけて4冊刊行したこととなる。 時間が経過しても自分の中では復刊号も65号までの号も冷めない熱量で執筆した。 こうして続けることができるのは、周囲の方々の支えや、nice things.が好きという想いがあるのだろう。 以前まではnice things.の取材先にあるような暮らしや考え方とは全く無縁の人生を過ごしてきた。 幼い頃から、有名な大学に行くこと、正社員として名の知れた企業に勤める

          私にとって編集することとは

          取材を通して思うこと

          地方にある広く知られていないすてきなものを多くの人と共有したい、その思いからスタートしたnicethings.との関わり。今思えば、この時はまだ「もの」というすべてを理解しきれていなかったのかもしれない。 実際に初めて取材に同行したとき、こんなにも人の生き方や思考、価値観に直接触れられるものかと驚き、同時に使命感を感じたことを覚えている。また、この方の目にはどう映っているのだろう、何を思いそこから何を感じたのだろう?たくさんのなぜ、どうしてが自分の中に生まれた時間だった。そ

          取材を通して思うこと

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          動画「nice things.の想い」に寄せて

          ページを捲るたびに、 暮らす場所のこと、 どんな道具と一緒に生活するか、 どんな仕事をするか、 ただ単に「情報」だけの雑誌ではなく、 誰かの気づきになるような、情緒が動くような雑誌を作っていこう。 そんな想いを新たに、復刊する際に作成した動画です。 復刊から1年。 周りのみなさまのおかげで、季節ごとの4冊を発行することができました。 一年が経ち、改めてこの動画を見ると一年前の気持ちと、nice things.に出会ったころを思い出します。 元々「雑誌」が好きでした。 ページを捲るたびに広がる、知らない世界。 華やかな芸能人、きれいなモデル、美味しそうなお店。 周りを畑に囲まれた田舎で生まれ育った私にとって、雑誌の中の世界は憧れで溢れていた。 雑誌の中のきらびやかな都会での生活に憧れ、地元を飛び出しました。 いつの間にか、自分の中で 都会には「あって」 地方には「ない」 そんなふうに決めつけていたと思います。 そんな中で偶然出会ったnice things. 初めて出会った号には私の地元で暮らす方々やお店が載っていました。 私がずっと「ない」と思って、飛び出した地元。 紙面には、その地元で楽しそうに働き、暮らす方々の笑顔。 こんな場所があったの?と驚きでいっぱいだったのを覚えています。 「ない」のではなく、自分が見ていなかったことに気付かされました。 ほんの少しのきっかけで、見方を変えれば見つかることはたくさんある。 そんな気づきをnice things.が教えてくれた気がします。 誰かの気づきになるような雑誌。 少しでも誰かの見方を変えられるような雑誌になっているだろうか。 読む方にとって何か考えるきっかけになるだろうか。 そんな想いを忘れないよう、ただ情報を提供するだけではない、これからの雑誌が果たすべき意味を考え、これからも人と紙面に向き合っていければと思っております。 編集 百瀬

          動画「nice things.の想い」に寄せて

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          雑誌の未来に奇跡を起こす。 <その2>   始まりの始まりの始まり

          どうしてnice things.のような雑誌が生まれたのですか? 最近、よく質問されます。でもなかなか短い時間では答えきれません。このことの本質を答えるにはすごく長い時間と言葉を費やさなければならないのです。ということで、このnoteには制限がないようですので、少しずつ時間をかけながらお伝えしていきます。 nice things.は自分で生み出した媒体ですが、号を重ねていくうちにある時、「生み出したのと違う、どちらかというと出会った、という感覚がしっくりくる」ことに気付いた

          雑誌の未来に奇跡を起こす。 <その2>   始まりの始まりの始まり

          初心

          上京して一番最初に住んだアパートの近くの喫茶店で『オキーフの家』という本を読んだ。 店内の所々に本が置かれていて、どれもそれなりに古い本でジャンルもバラバラ、当時はジョージア・オキーフという画家の名前も知らず、なぜ多くある中からその本を手に取ったのかは全く分からないが、とにかくその場所で出会い、読んだのだ。 タイトル通り、オキーフが住んだ家について書かれた本。 写真家マイロン・ウッドによる静謐なモノクロ写真と、看護人として晩年のオキーフに寄り添ったクリスティン・テイラー・バ

          雑誌の未来に奇跡を起こす。  <その1> nice things.の誌名はこうして決まった

          2014年の大晦日、新雑誌のタイトルを部屋にこもり一人探し求めていました。それまでにいろんな人からアイディアを出してもらい、アメリカ在住の何人かの知人にも出してもらってましたがピンとくるものがなく、また気になるものがあっても商標登録がされていたりしました。日本語の雑誌だけれども世界に通じればという考えもあって、英語のタイトルにするというのは決めていたのです。家族が紅白歌合戦をテレビ観戦しているなかで、除夜の鐘が響き渡るころにも、英和辞書の一語一句に目を通して、何度も後戻りしな

          雑誌の未来に奇跡を起こす。  <その1> nice things.の誌名はこうして決まった