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バイト先のおっちゃん

今日は以前バイトで働かせてもらってた酒屋さんで世話になってたおっちゃんのお通夜に行った。

以前はふくよかやったおっちゃんも棺桶の中では痩せきってた。
けど、ぐっすり気持ちよさそうに寝てるようないい顔してたな。

「俺が死んだらお通夜はみんなにいっぱいお酒飲ませたってな」って言ってはった見たいで一緒に働いてた同級生と社員さんとで久々に机を囲んでお寿司とお酒をいただいた。

配達終わりの夏の暑い日に喉乾いたなと思ってたらちょうどおっちゃんが水買ってくれた。とか嫌な顔ひとつせず俺の頼み事聞いてくれたとかみんなの思い出話がでればでるほど、おっちゃんに尽くしてもらった事ばっかりが話題に上がった。

帰り道自転車を漕ぎながら家に帰った。

風にあたってたら色んな考え事が頭をよぎった。
今日まで当たり前におるように感じてた人が明日からはおらんくなるって事がめっちゃ不思議に思えてきたり、明日からの自分の生きていく時間を頭が論理的考え始めるような感覚になったりした。

酒屋のバイト先をやめてからは色んな暮らしをしたな。

東京に出たり、コロナ禍になったり、また大阪に帰ってきては色んなバイトをしたり。普段から過ごす日常で昨日と今日にあんまり変化のない日が続くと次に待ってるように感じる明日に飽きがきては色んな場所で色んな過ごし方をしてきた。

俺がそーやってフラフラしてる間もおちゃんはあの時のまんま今生活する場所で毎日人に尽くしてはったんやろな。

老後は喫茶店を自分でやってみたいって言ってはったのが叶ったみたいで亡くなる3年前ぐらいから自分の家の下で喫茶店をしてはった。

そういや去年、そのお店に遊びに行ったな。
その時もやっぱり赤字やろってぐらいのパンとコーヒーとサービスが出てきた。

その時に「仁尾くん、焦らんとな。ゆっくりやで。大成するんやで」って言ってくれた。

焦らんとゆっくり。

自分の頭で考えて勝手に待ってるように感じる明日。
おっちゃんが健気に人に尽くして生きてきた今日まで。

ちゃんと思い出とか心に残る事ってもっとゆっくりで近くにあったりするんかなって思えた。

すごい人やったな。
おっちゃんありがとうございます。




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