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海からの贈物

今日の世界は男に対しても、女に対しても、1人になることの必要を認めないのである。
これを考えてみれば、不思議なことである。それ以上のどんなことも、これよりはいい口実に考えられていて、用事で人に会うとか、パーマネントを掛けに行くとか、お呼ばれとか、買い物とか言えば、相手は納得するが、もしその時間は自分が1人でいる事にしているからという理由で相手の申し出を断れば、そういう人間は礼儀を知らないか、我がままか、変わっているということになる。しかしそういうふうに、一人になることが何かいけないことになっていて、そのためにお詫びをしたり、口実を設けたりして、自分がしていることが恥ずかしいことででもあるかのようにそれを隠さなければならない我々の文明というのは、なんと奇妙なものではないだろうか。

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