1853年11月3日 —本当に来てくれ のかしら? 外を確認しても良くて? —どうぞ。 —これは美し 赤煉瓦ですね。 —君の赤髪に煉瓦の赤が映えてい よ。 かなり古い文章のようだ。 ところどころ文字がかすれている。 僕の体は、少しずつ砂のように崩れてきて いるようだ。 僕が閉じ込められている部屋は とても殺風景で、彩りはひとつくらいだ。 この間まで生えていた花も枯れ、僕を慰める 彩りは、自分自身の露出した血肉のみだ。 だんだんと、僕は自分の血を見るのに
草原の上で、レモン(人)は、友人の磁ゞを待っている。草原のすぐ隣の海からやってくるはずの海風が、レモンが磁ゞを待つ時に限って、静かにしている。レモンは、先ほど設営した、簡単なキャンプ用のテーブルと椅子に座りながら、ぼうっと海を眺めている。額についた汗を黄褐色のハンカチーフで拭っては、頭の中で、遅れてきた磁ゞにかける小言を考えていると、そもそも何故自分が磁ゞとお茶をすることになったのかを思い出し、ハッとする。「そういえば、僕が相談にのって欲しいと誘ったんだった。」 小言などと