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真夏の夜の侵入者

真夏になると必ず思い出す出来事がある。

私の父は思い込みが激しい。

ある夏の夜、私が夜中にリビング
水を飲みに起きて来ると
父が家の廊下に面した大きな窓に向かって
ぼんやり座っていた。
暑いから眠れないのかな?
と思いながらリビングで水を飲んで涼んでから
部屋に戻ろうとするとまだ座っている。
「何してるの?」と聞くと
「窓の向こう側に赤い光が見えるんだよ。誰か家の外でタバコ吸って奴がいる。」
と言って監視していたらしい。
ちなみにうちはみんな非喫煙者。
私もそれを聞いて
「えっ敷地の中にいるって事じゃん」と
気になって一緒になって座って見ていた。
30分くらい見ていてやっと気づいた。

父の後ろにあるベープマットの赤い光が
窓に映っている事を。

父はベープマットの光を家の敷地に侵入し
タバコを吸っている不審者だと勘違いして
1時間近くも監視していたのだ。
人生で最も無駄な時間と労力である。

思い込みの激しさからは何も得るものが
ないと言う事が本当によく分かったので
私も気をつけて生きていきたいと思う。




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