#0020 人事の読書の困りごと(定着と活用)-ビジネスパーソンの読書実態調査より-
こんにちは。「人事千壺」編集の島居慶美です。気づけば暗くなるのもすっかり早くなり、秋の到来ですね。秋と言えば…「読書の秋」ということで、今回は、株式会社壺中天で過去に実施した「ビジネスパーソンの読書実態調査」より、昨今のビジネスパーソンの読書における現状、ポジション別の傾向、そして「人事」の読書に関する特徴などにフォーカスしてお伝えしたいと思います。
1)ビジネスパーソン全体の読書の現状
まずは、全体の傾向からです。こちらは、ビジネス系のNEWSや記事等でも触れられたことのある内容かも知れません。「月にどれくらい本を読むか」を調査した結果、本を読まない人は42.4%、1冊以上読む人は57.6%となりました。さらに、3冊以上読む人は24.2%と、およそ4人に1人でした。
2)読書に関するポジション別の傾向
次に、ポジション別の傾向も違いが見えていましたのでシェアさせていただきます。
月に1冊以上読書をする人の割合は、管理職が約8割で最多!
月に1冊以上読書をする人は、メンバーが52.6%、管理職が79.0%、経営者が66.6%と、管理職が最多となりました。さらに月に3冊以上読む人は、メンバーが18.1%、管理職が43.0%、経営者が38.3%と管理職以上がメンバーと比較して20ポイント以上高い結果となりました。
経営者や管理職はメンバーと比較し「隙間時間」の活用度が10ポイント以上高い!
では、皆さんはいつのタイミングで書籍を読んでいるのでしょうか。こちらもポジションごとに違いが見えたので共有させていただきます。
読書のタイミングに関して役職別でみていくと、経営者、管理職はメンバーと比較して「朝起きてから」が10ポイント以上高く、また「仕事の休憩時間」「家事・育児の合間」などの隙間時間の活用も10~20ポイントほど高い結果となりました。さらに、読書を月に1冊以上する管理職のうち半数が「仕事の休憩時間」を活用し、読書をおこなっていることが明らかになりました。一方メンバーは「休日」に読書をする人が、経営者や管理職と比較し10ポイントほど高い傾向でした。(想定外?だったのは、経営者で「入浴中」の読書も他と比較すると10ポイントほど高いんですね!入浴中は自分の世界で没入でき、短時間でも最も集中力も高まり、個人的にも共感です…!)
3)読書に関する人事の傾向
では、ここから「人事」の傾向を見ていきたいと思います。調査項目の中でも、部門別に違いが比較的明らかに出ていたのは、読書における課題でした。
人事は、読書後の「定着」と「活用」の課題感がいずれも高い!
読んだ内容の「定着」と「活用」のいずれも課題感が高いのは、情報システム、企画・広報・マーケティング、人事・労務部門で、課題感が低い部門と比較すると20ポイントほど高い結果となりました。
読書における課題のなかでも、読んだ内容の「定着」と「活用」は部門間の乖離が大きく、環境変化のスピードが速く随時知識をアップデートする必要性が高い職種や企画系の職種に課題感が高い傾向がみられました。
皆さまはいかがでしょうか。調査では、「記憶の定着」のために皆さんがどのような工夫をされているのかも聞いてみました。
人事は、知識の定着のために「読書中に印をつけながら読む」が高い!
人事・労務の方は、全体の傾向と比較して「読書中に印(マーカー・付箋など)をつけながら読む」が高く、「読書後に読んだ内容をSNSやWEBなどで発信する」「何度も繰り返し読む」が低い結果でした。
実際に人事系の読書会などに参加すると、部門のくくりのない読書会に参加した際よりも、付箋が沢山飛び出している書籍をよくお見かけします。先日もある企業を訪問させていただいた際、人事のお手元にあった『図解 目標管理入門』は、上だけでなくサイドにも付箋がびっしりと、さらに中ページには要所にマーカーも多数ひかれていて、印をつけて確認しながら読んでいただいている様子が伺えました。
別部門だと、販売・営業部門は様々な工夫において全体より高く、中でも「読書前に目的・ゴールを決めてから読み始める」が非常に高く、「何度も繰り返し思い出す」や「読書後に感想やまとめを手元に残す」も高いことから、ご自身の中で反芻されながら知識の定着を図られる傾向がみえました。
なお、ポジション別だと「読書前」や「繰り返し」の取り組みに関しては、役職別で大きな差はみられませんでしたが、「読書中」の取り組みにおいては経営者および管理職がメンバーより10ポイント以上高い結果でした。さらに、経営者は「読んだ内容を誰かに話す」では20~30ポイントほど、「読んだ内容をSNSやWEBなどで発信する」では10ポイントほど管理職およびメンバーより高く、読書後の「アウトプット」を記憶の定着に活用している傾向が明らかとなりました。
リスキリング・アップスキリングや生涯学習など大人の学びについて関心が高まるなか、ビジネスパーソンの約4割は読書習慣がなく、一方約6割は働きながら様々な工夫を凝らし読書を行っていることが明らかになりました。
読書における課題感は全体でも「時間の確保」に次いで、読んだ内容の「定着」や「活用」でした。人事・労務部門の皆さんにおいても、「定着」や「活用」の課題感が高いことに注目し、この課題に対する解決方法や読書そのものをより愉しめて充実した時間としていただけるような情報を、様々な角度でお届けしていければと考えています。
調査のサマリーや概要は、以下の調査リリースにて詳細をご覧ください。