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かわいいパの受難 ~ポケモンSVランクマッチシーズン1環境振り返り~

2020年2月、男はガラル地方に居た。
ジョウト地方以来およそ20年ぶりに勝負の舞台へと戻ってきた男は、彼のその半ば病にも似た拘りによって見た目のかわいいポケモンのみを携え初のランクマッチに挑んだ。

滑り出しは意外にも順調であった。
当時はエルフーンやミミッキュ、トゲキッスなど見た目に反して性能が全くかわいくないポケモンが環境を蹂躙していたこともあり、周りをブラッキーやラプラス、カビゴンなどの耐久に寄ったポケモンで固めるだけで簡単にマスボ3桁まで到達することができた。

───ポケモン、チョロいのでは?
男はそう思った。

暗雲が立ち込め始めたのは同年11月。彼はシリーズ7で解禁される準伝カプ・テテフを軸にパーティを準備していたが、勝率は明らかに悪くなっていた。
何故か?
シリーズ7から環境に流入したポケモン達が強く、かわいくなかったからである。自分に刺さらぬポケモンを手持ちに加えられない制約を負った男に勝機はなかった。

そして翌2月、禁伝の解禁と共に男は息を引き取った。

男は己の無力さ、ガラルという狭い環境に助けられていたことを知った。彼はランクマに潜ることをやめ、YouTubeの対戦動画を見て過ごした。
2年が経った頃、彼は立派なエアプ勢だった。

───新作が出て環境が狭くなったら、またかわいいポケモンだけで環境をのし上がってやる…

エアプ勢の男には野望があった。
来たる、2022年12月。

男はパルデア地方に居た。

最終順位

とてもつらい

何がつらかったのか?

  • 対策必須級ポケモンが多かった
    てんねん三兄弟を筆頭にキョジオーン、キノガッサ、モロバレル、キラフロルなど対策を怠った場合に1匹でこちらのパーティが全壊してしまうタイプのポケモンが多く、これらの対策として必ず何枠かを割かなければいけないのが大変でした。

  • 環境の回りが速かった
    今期は流行のポケモンあるいはテラスタイプが週替わりペースで激変する環境で、パーティに調整を入れなければならない頻度はそれはそれは高いものでした。
    これは別にかわいいパの縛りとは関係なく、そもそも上記必須対策+流行への対策を両立できるパーティを毎週のように作り直すこと自体が大変なことだったと思います。

  • 種族値の暴力に勝てなかった
    上記2点を踏まえやんわりと皆が形成していったS1における結論は対策範囲が広すぎてカバーしきれないなら数値で受け止めればいいじゃないというものでした。S1後期、大600ドラゴン時代の訪れです。
    ここまで来るともう私には手も足も出せませんでした。中期まで私を5桁に押しとどめてくれていたハッサムやデカヌチャンの姿はどこにもなく、先発ガブリアスはHB極振りでパーモットのれいとうパンチを耐えるようになりました。一時期には大変な猛威をふるったアマガドオーも生息数を減らし、代わりになんか意味不明に硬いカイリューが炎の渦に閉じ込めてくるようになりました。おしまいです。ついでに後期ではなぜかヘイラッシャやキョジオーンが復権しており、対策を怠っていた私は順当にボコされました。

最終パーティ紹介と雑感

コンセプト

  1. マスカーニャ or パーモット or マニューラ が先発で露払い

  2. ドラパルトが壁を張る

  3. ニンフィア or ドオー が積む

という積み構築です。環境最強のステルスロックに対する回答がサイクルしないことだと思ったのと私はかわいいポケモンが火力でゴリ押していく様を見るのが好きなのでこうなりました。

マスカーニャ

151-162-91-90-90-192
ようき A252 B4 S252
しんりょく / きあいのタスキ / テラス草
トリックフラワー / はたきおとす / ふいうち / けたぐり

先発要員その1。迷ったら出す。かわいい。
けたぐりは挑発との選択かと思いますがやはりセグレイブ、ドドゲザン、をけたぐり+ふいうちで倒せるという点が大きく、また鋼テラスが多いサザンドラに対しても強く出られることからけたぐりを採用しています。

その他採用しなかった技:
- じゃれつく … 当たらないので
- かわらわり … 最近のオーロンゲはみんな殴ってくるので

パーモット

145-167-91-81-80-172
ようき A252 B4 S252
てつのこぶし / いのちのたま / テラス電気
インファイト / ほのおのパンチ / れいとうパンチ / でんこうそうげき

先発要員その2。主に先発ガブリアスやデカヌチャン、ハッサムを読んで出す。かわいい。
S105という数値が現環境においては非常に偉く、ほとんどのポケモンを上から殴ることができます。逆に耐久は紙なので基本的にどんな相手にも1発殴られたら倒れます。頑張って1発で倒しましょう。

1発で倒せる相手:
ハッサム(炎パンチ)、HB極振りではないガブリアス(冷パンチ)、アーマーガア(テラスタル電光総撃)、ドヒドイデ(テラスタル電光総撃)
HCニンフィア(テラスタル電光総撃)、無振りサーフゴー(テラスタル電光総撃)

1発では倒せないが有利な相手:
デカヌチャン … 炎パンチでミリ残りますが1ターン目はどうせステルスロックなので大丈夫です
キョジオーン … ボディプレが68~80なので先発なら耐えます

1発で倒せるが気を付けたい相手:
マリルリ … アクアジェットが火力アップアイテムなしで57~67入るためさめはだ+ゴツメでこれ以下に削れている場合は勝てません

1発で倒すことができるが先発で出てきた場合は大概裏に引かれる相手:
ドドゲザン、サザンドラ、セグレイブ

余談ですがS2ではどうしても絶妙に足りないリーチを伸ばしたくて
マッハパンチ / ねこだまし / れいとうパンチ / でんこうそうげき
に変更したところHB極振りのガブリアスやマスカーニャ、キノガッサ、更にはカイリューまで見れるようになって大変強かったので今からパーモットを使いたい方はこちらの技構成がおすすめです。

パーモットは大きい子と小さい子で違ったかわいさがありますよね

マニューラ

145-172-86-58-105-194
ようき A252 B4 S252
わるいてぐせ / こだわりスカーフ / テラス草
アイススピナー / つじぎり / けたぐり / どくづき

先発要員その3。剣盾の頃はそんなにだったけどSVでかわいくなりました。
基本的には先発のマスカーニャかドラパルトに上からアイススピナーを打ってお疲れ様、時々眠らせてくるキノコたちがいるので草テラスを切って胞子を耐える、そんなもんだろうな~と思っていたのですが使ってみると意外にもハマるポイントが多く、特に竜舞を積んだセグレイブやカイリューを更に上から殴れるのがめちゃくちゃに助かりました。
目立った活躍はしないもののマニューラで拾った試合は数知れず。いぶし銀です。

Q. スカーフ持ちなのに悪い手癖なのは何故?
A. 通常特性であるプレッシャーは場に出た際画面上に表示が出るため画面上に表示が出ない=悪い手癖であることが分かります。悪い手癖は通常タスキと組み合わせて使うことが多い(殴られる→タスキ発動→悪い手癖で相手のアイテムを盗むという処理の順番であるため)ので、スカーフマスカーニャがタスキを割ってから帰ろうとトンボを打ってくれる可能性が高くなります。そこをスカーフアイススピナーで逆襲するというのが狙いです。

ドラパルト

163-172-95-152-85-179
むじゃき A252 C252 S4
のろわれボディ / ひかりのねんど / テラスフェアリー
ドラゴンアロー / シャドーボール / リフレクター / ひかりのかべ

壁要員。ドラゴンアローの専用エフェクトが没収されるという超絶弱体化を受けた彼ですが強さは健在…というかむしろガラルにいた時よりも強くなっています。大体テラスタルのせいですね。ドラパルトの型って200通りあんねん。

技とステ振りについてはパーティのパワー的に自主退場している余裕がない + 物理受けのポケモンが多い + Sが全体的に遅い環境という3つの事情を考慮して両壁両刀としています。これでもSは実数値179と最速110族(ゲンガー、エーフィ等)抜きまであるのでやっぱり600族ってすごいです。

一時期採用していた技:
かえんほうしゃ … 特殊炎技という存在が偉すぎるのは変わらずですが最近はゴーストタイプも増えてきたのでシャドボと入れ替え
かなしばり … みんながこだわり系アイテムを持っていた時代は自身のHPを削らずとも相手に交換を迫れる優秀な技でしたが最近はこだわりが減ってきて使いづらくなりました。同様の理由から呪われボディも変えた方がいいのではと思っています。

ニンフィア

171-63-117-178-150-80
ひかえめ H4 B252 C252
フェアリースキン / おんみつマント / テラス水
ハイパーボイス / テラバースト / ねがいごと / めいそう

積みエースその1。かわいさもエース。
テラス水はラウドボーン、ウルガモス、イルカマン意識、隠密マントはサザンドラ(悪波怯み)、キョジオーン意識です。
積みエースとしてはこの型が強めかなと思ってはいるのですが、そもそもニンフィアを積みエースとして運用することが強かったかと言われるとうーん…みたいなところがあります。というのも最近

ドラゴン + ドラゴン + ドラゴン + コノヨザル
ドラゴン + ドラゴン + コノヨザル + ドドゲザン

みたいな並びが増えていてニンフィアを先発で出さざるを得ない状況が多いんですよね。また素の耐久が微妙 + 高速回復がないため場を整えたとて結局積めないという場面が多かったです。

ニンフィアちゃんをもっと活躍させたい。精進します。

ドオー

237-95-123-58-121-40
わんぱく H252 B252 D4
てんねん / たべのこし / テラス飛行
ボディプレス / どくどく / たくわえる / じこさいせい

積みエースその2。エクレア。
強いです。文句なし。一時期はHDに鈍い+地震で運用していたのですがこちらの両受け+ボディプレ型の方が圧倒的に見れる範囲が広かったですね。弱みとしてはキョジオーンとドヒドイデが絶対に突破できなくなること、キラフロルに弱くなることですが他の子たちがそのあたりはカバーしているので問題ありません。

反省点

  • 積みエースの一角であるニンフィアを活かしきれなかった

  • 紙4枚構築であるためサイクルしないというよりは引き先がないという場面が多かった

  • 相手のマスカーニャにひたすら弱かった

さいごに

なんやかんやひと月フルで参加して400戦近くもバトルしたのはこれが初めての経験だったのであの時何を考えていたのか?を記録に残しておきたくて初の構築記事を書いてみました。構築記事と言えば最終○位!最強!みたいなイメージですがたまにはこういう弱かった構築の記事もいいのではないでしょうか?よければ皆様のかわいいパの話もぜひ聞かせてください。

それではまた3年後!

集合写真難しい


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