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【考察・ネタバレ】ラスアス2の裏テーマ「贖罪」と「蛾」の象徴について【The Last of Us Part Ⅱ】

こんにちは、Kenです。

ラスアス2をプレイし終わってから数日が経ち、プレイ動画を遡ってみると色々と隠された部分があるんじゃないかと思いました。

普段noteを書くことはないんですが、ラスアス2のシナリオに関して自分の中で納得できる考察ができたので書かせていただきます。

ラスアス2に対して表面的な部分に関してのみで批判されるのは残念なので共感していただいた方はシェアしていただけると嬉しいです。普段は数字を扱ったりプログラミングをしているので拙い文章で読みにくいかもしれませんがよろしくお願いします。

注意点として、ラスアス2を終えた段階で考察しているので、2の最後までのネタバレがある、あくまで考察である点をご注意ください。

「復讐」の裏テーマ「贖罪」について

発売後のレビューを読んでいると、「復讐の負の連鎖」「復讐は良くないという教訓」が余りにも多く、もちろん間違いではないと思っているんですが、それだけがテーマではなく、裏のテーマが存在していると思っています。

復讐だけがテーマだと思って最後までプレイすると説教っぽく感じる方も多いかと思います。「復讐は良くない」 なんて教訓としてよくテーマにされますよね。でも、この作品はそれだけがテーマである訳ではありません。

ラスアス2の裏のテーマは、自分が考えるに、「贖罪」です。

贖罪とは犠牲や代償を捧げて罪を償うことですが、このゲームでは復讐と贖罪を同時にしているキャラクターがいます。

それは、エリーです。

エリーの復讐はもちろんアビーに対するものですが、「贖罪」はジョエルに対してのものです。ラスアス1のエンディングでジョエルはエリーに対し、許されざる行為と大きな嘘をつきました。そのことを知ったエリーは許せないまま過ごしていましたが、エンディング近くの過去の記憶で「許したいと思っている」と話していることが判明し、エリーはジョエルの罪を許す方向へと変化していたことがわかります。しかしご存知の通り、例のシーンにてジョエルは亡くなってしまうため、最後までジョエルの非を許してあげることができなかった罪をエリーは被ることになり、その罪に対する「贖罪」が始まり、同時にアビーに対しての「復讐」が始まります。こうやって、この二つのエリーの「復讐」と「贖罪」の旅は展開します。

「復讐」のテーマの裏に「贖罪」があることから、エリーの旅は「苦悩しながらもジョエルの想いや行為を理解し、ジョエルを許すための旅」でもあります。裏のテーマというより、もはや真のテーマだと思います。

旅の途中で、何度かギターを演奏するシーンがありますが、ジョエルとの接点に触れることでジョエルとの記憶を思い出していると同時に自分自身に対話していることがわかります。このことからもエリーの旅はアビーへの「復讐」だけではなく、ジョエルに対する「贖罪」の意味があったこともわかるのではないでしょうか。

果たせなかった「贖罪」は対象が変化する

エリーの「復讐」はアビーに対してのもので、アビーを追い続けましたが、最後の決闘ではアビーを見逃す形になります。

個人的な考察となりますが、見逃した理由は、「復讐が何も生まないこと」や「復讐の連鎖」などに気づいたからではなく、最後まで許せなかったジョエルの代わりに許せないような相手であるアビーを見逃した(贖罪)のではないかと思います。つまり、贖罪の対象がジョエルからアビーにシフトしたことで今後絶対に果たせない贖罪を果たそうとしたんだと思います。

エリーは「ジョエルを許してあげないままジョエルが亡くなってしまったこと」が心の奥底でずっと気がかりで、今後も許す機会がないことを悟りました。このままだとジョエルの死だけでなく、贖罪できなかったことにも悩まされることになります。実際、農場のシーンでもジョエルの記憶がフラッシュバックして深いトラウマとして悩み続けていることがわかります。

もちろん「ジョエル」に対しての「贖罪」は、亡くなったジョエル相手に果たしようがないのですが、絶対に許しがたいジョエルを許せなかった代わりに、絶対に許しがたい憎きアビーを許すことで一種の「贖罪」を果たしたといえます。

「贖罪」と「復讐」の末路、ギターとの別れと未来

ラストシーンでは新たな生活へと動き始めるエリーが映し出されますが、ギターを捨てているので、ジョエルとの気持ちに区切りがついたことがわかります。このことから「復讐」を果たせなかったのにも関わらず、ジョエルとの思い出や接点ともいえるギターを捨ててしまったのは一種の「贖罪」を果たすことができたからではないでしょうか(もちろん指を失ったこともあるのですが)

最後にギターで演奏しようとした曲は「君がいなくなれば僕は狂ってしまう」「君がいるからまともでいられるんだ」といった内容の歌でした。これはまさに信頼依存といった内容です。この曲を弾けなくなったことは信頼や依存からの脱却ではないでしょうか。エリーとジョエルは従属の関係から独立した関係に変わったといえます。

また、エリーは指を失ったことと「光」ともいえるディーナとの幸せな家庭を失ったことは「復讐」の末の悲惨な末路を示していると思います。トミーは右目を失ったことでスナイパーとしての道がなくなりましたし、マリアと別居になりました。

また、アビーはジョエルに「復讐」を果たしましたが、トラウマとして深く心に傷が残っています。復讐を果たしても、夢の中で何度もあの病院の出来事が思い出され、まったく記憶から解放されていません。

この意味では「復讐」の末路として「因果応報」や「何も残らない」という考察は当てはまると思います。

ただ、アビーはレブという新たな「光」を見つけ、互いに支えあうことで罪の意識から徐々に開放されようとしています。

エリーも新たな「光」を見つける旅に出かけることで「復讐」という「闇」から逃れられるのでしょうか。

幾度となく登場する「蛾」の象徴とは

これまでは本編の大筋に触れてきましたが、ここからは「蛾」についてです。実は「蛾」の登場は何度もあります。

「蛾」が登場するのは、ロード画面、序盤のジョエルや最後のエリーの持っていたギターの模様、エリーのタトゥー、それから購入特典にもですね。

それからエリーの歌っていた「Through The Valley」という曲ですね。2020年6月にシンガーソングライターのShawn Jamesさんが同曲をリリースされるんですが、ジャケットは「蛾」なんですよ(笑)

結構多いですよね。ノーティードッグはロード画面に一見関係がなさそうで実は関係している小物を使うことが多いので、「蛾」であることも納得です。

「蛾」は暗闇の中、「光」だけを求めて無闇に飛び回り続けることから、まさにエリーのようですよね。

また、蛾には「生まれ変わり」や「再生」の意味があるそうです。(適切なソースが見つからないですが)幼虫から繭へ変わり、それから成虫に変わります。大きな容貌の変化からそう呼ばれるそうです。

日本人にはあまり馴染みがありませんが「飛んで火にいる夏の虫」という諺は英語だと「it's like a moth into the flame」となっており「「moth」は「蛾」を指します。今後の未来を示唆しているのか....

また、ファイアフライが表すのは「蛍」であり、自身が光を発するものだとしたら、蛾との対比が面白いですよね。

本当にいろんな部分に登場するので考察が捗ると思います。

最後に

本当に考察しがいのあるゲームだと思います。いろんな人が考察をもっと盛んにしてくれれば脚本家の真意に近づけるかなと思います。(感想はプレイヤーそれぞれですが)

ラスアス2で自分が印象に残っているシーンは、アビーがレブを抱えてボートに向かうシーンなんですが、ラスアス1の序盤のジョエルがサラを抱えるシーン、クライマックスのジョエルがエリーを抱えるシーンを思い出しました。ジョエルもアビーも大切な人のために生き抜く姿が本当に印象的で深く心に残っています。

物語の地獄のような世界の中で一体誰が正義なのか、正義の対義語は「別の正義」なんじゃないかとも感じました。本当に難しい。

以上、考察でした!(意見をお聞きしたいので、是非シェアお願いします!!!)

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