遺言書や生前贈与を考えるときには、遺留分に気をつけよう
父の死後、遺言書が出てきました。「私の財産は、すべて長男に相続させます」とあります。
父の考えは、長女には、結婚のときや、住宅の新築のときに、十分な支援をしてきたので、遺産は、後継ぎの長男に任せたいとするものでした。この説明が家族で共有されておらず、死後に突然出てきた遺言書で知ったものです。
長女から「私は何ももらえないの?不公平です!」とありました。長女としては、一円も相続できないことには不満があります。
民法では、これに対して、法律上認められた最低限度の取り分が定められています。これを遺留分といいます。この遺留分をじゃまされたときには、一年以内であれば、金銭で請求することができます。強い権利で、一方的に消滅させることはできません。
財産のほとんどを一部の相続人に承継させたいとするならば、少なくとも、遺留分侵害額請求への配慮や覚悟は必要です。
生前贈与
遺留分侵害額の請求は、遺産をもらえなかった相続人が、遺産をもらった他の相続人に対してするもので、これを金銭で清算します。そのため、遺留分対策としては、すぐに使える現金を準備しておくことが、わかりやすい方法です。
遺留分を計算するときには、亡くなったときの相続財産だけではなく、亡くなる前10年間になされた生前贈与があれば、特別受益としてそれも加算して計算します。
相続税対策として、生前贈与で遺産を圧縮することが有効でしたが、さらに、遺留分対策としては、10年以上にわたる長期間の生前贈与を計画することも有効です。相続対策は、早めに取りかかる意味があります。
遺言書を書く前に相談を
相続がもめないように遺言書を作成したつもりが、書き方に配慮がなかったために、争いごとの火種となってしまいます。
グラーティア司法書士法人では、相続対策として、遺言書作成や生前贈与のアドバイスをしております。
遺言書や生前贈与に取りかかるときには、税金のことも気をつけながら進めなければなりません。始める前に、専門家に相談することをおすすめしております。
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