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遺留分侵害額請求には、生命保険が効く【遺言のポイント】

父の死後、遺言書が出てきました。「私の財産は、すべて長男に相続させます」とあります。

父の考えは、長女には、結婚のときや、住宅の新築のときに、十分な支援をしてきたので、遺産は、後継ぎの長男に任せたいとするものでした。この説明が家族で共有されておらず、死後に突然出てきた遺言書で知ったものです。

長女から「私は何ももらえないの?不公平です!」とありました。長女としては、一円も相続できないことには不満があります。

民法では、これに対して、法律上認められた最低限度の取り分が定められています。これを遺留分といいます。この遺留分をじゃまされたときには、一年以内であれば、金銭で請求することができます。強い権利で、一方的に消滅させることはできません。

財産のほとんどを一部の相続人に承継させたいとするならば、少なくとも、遺留分侵害額請求への配慮や覚悟は必要です。

生命保険

遺留分対策に、生命保険を活用しましょう。

生命保険の死亡保険金は、受取人の固有の権利で、相続財産ではありません。そのため、遺産の分割の対象ではなく、どれだけ遺産相続がもめていても、相続開始後、受取人が請求することで、すぐに保険金を現金で受け取ることができます。ただし、相続税を計算するときは、遺産と合算しますので注意しましょう。

遺留分対策として、遺留分の請求が来たときにすぐに支払える現金を準備しておくことができます。また、財産の一部を生命保険にしておくことで、遺産全体を減らすことになり、結果として遺留分の対象となる相続財産を小さくすることもできます。

なお、財産のほとんどの部分を生命保険にしてしまい、他の相続人の遺産を意図的になくしてしまい、著しく不公平を招くような極端な使い方をすると、その生命保険も特別受益として遺産の中に持ち戻して合算されてしまうことがありますので、専門家と相談して計画していただきたいものです。

また、生命保険の死亡保険金には、相続税の非課税枠があるため、相続税対策にも有効です。

生命保険は、お金の名前をつけることができます。遺言書よりも使い勝手がいい場面があります。

遺言書を書く前に相談を

相続がもめないように遺言書を作成したつもりが、書き方に配慮がなかったために、争いごとの火種となってしまいます。

グラーティア司法書士法人では、相続対策として、遺言書作成や生前贈与のアドバイスをしております。

遺言書や生前贈与に取りかかるときには、税金のことも気をつけながら進めなければなりません。始める前に、専門家に相談することをおすすめしております。


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野田啓紀@よく食べる司法書士

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