見出し画像

郡上に移住(5)

ここ数年、「移住」というキーワードをあちこちで目にするようになりました。しかし移住について、実際のところどうなのか、具体的なことを知る情報があまりないと思いませんか。本だと痒いところに手が届かないというか、肝心のところがわからなかったり(自分で書いてみると、これは公開できないな、って部分は確かにあります)、ブログやSNSも意外と参考になるものが少なかったりします。
自分もそうした情報不足を体験したので、少しでも誰かの参考になればと思い、書いてみることにしました。また、移住した「郡上」という場所の素晴らしさも是非紹介したいという思いもあります。

「移住」に興味のある方、「郡上」に興味のある方はもちろん、「なんで移住するの」「田舎なんて帰りたくない、行きたくない」という方も含め、読んでいただける内容にしていきたいと思っています。

前回、家を手に入れたところまでお話しをしました。今回はリフォームのお話しです。賃貸なら関係がないとはいえません。場合によっては必要となるケースもあります。

リフォームするか、しないか

まずリフォームをするか、しないか、という選択があります。

見学したほとんどの物件は水回りの改修を必要とするところが多いと思いました。なぜなら、平成以前の古い物件なので、設備が老朽化しているからです。多くは、何回か改修しているようでしたし、それでも老朽化している場合が多く見られました。トイレが別棟とか、お風呂がない、なんていう物件もありました。そうすると、どこまで改修するか考えなければなりません。リフォームしない、という選択肢も良い条件の場合は可能です。しかしそのような家はなかなか無いように思いました。うまく探し当てればラッキーです。

住みながらリフォームする方法もありますし、住みながらではできないリフォームがあります。以下の5つのパターンを考え、どこに落ち着かせるか考えました。

リフォームの5パターン

リフォームについて選択肢を5つ考えました。

1.セルフビルドする
2.壊れているところだけ改修する
3.水回りだけ改修する
4.断熱する
5.全面リフォーム

1.セリフビルドしたいけど...

リフォームを自力でセルフビルドするという案です。DIY好きなので、自分の好きなように、じっくりと作りたいですよね。2、3年かけて徐々に変えていく、なんてことができると、それは楽しいと思います。費用も、材料費と工具、機械関係で済みますから経済的に助かります。デメリットは、時間がかかることと、自分の技術で果たしてできるのか、という不安材料です。

しかし、

私的に現状、時間に余裕がありません。そこで山石古民家工社にお願いすることにしました。

2.壊れているところだけ改修

例えば、見えないところはどうしますか?

床下の状態もわかりませんし、屋根裏の状態もわからないまま住むことになります。そうなるとしばらくして傾いたり、腐ったり、屋根から雨漏りしたり、シロアリがいたりする可能性があります。
古民家は今まで保たれて来た実績があることも事実で、その実績があれば床下も屋根裏も安心できるという見方もあります。

そうなると見えないところをどうするか、判断の分かれ道となります。

壊れているところだけ改修するメリットとしては、壊れているところだけなので、短期間で修理も可能ですし、住みながら改修することもできる場合があります。
デメリットは、何か大きな異常があった時に、一時的に引越しをしたり、生活が中断したりすることがあるので、費用の多くかかる場合があることです。また、昔の造りであるため、寒かったり暑かったりを楽しむこととなります。後にも書きましたが、毎年の暖房費は結構かかります。

軽い改修なら、畳を全部変えるとか、雨樋だけ直すとか、トイレだけ直すとか、壊れた床だけ直す、なんて方法もあります。費用が抑えられ、すぐ住めるので、それができる物件であれば良いでしょう。

3.水回りは要注意

水回り改修に関して、マンションではないので、水回りに問題があると他の人に迷惑をかけるということはありません。素人でも頑張ればDIYでなんとかすることもできます。しかし、しばらく生活はストップしてしまう可能性もあるので、子育て世代にはきついと思います。例えば、トイレが使えない、となると、近くにコンビニがあるわけでもないので、生活できなくなってしまいます。下水まわりは掘ったり、アスファルトを剥がしたりしないとならない場合があるので、DIYだけでは難しいケースもあります。水道管もどの時代の状態かわからないのも不安なので、できれば新しくしたいところです。それからお風呂が使えないという物件も多く見ました。湯沸かしを変えると、結果的に風呂釜も変えざるおえない場合があり、あれよあれよと大工事になったりすることもあります。

そんなことならと、水回りを全面的にリフォームすると、入居してすぐ安定した生活が望めます。デメリットは費用ですね。水回りのリフォームは高いです。キッチンも風呂もトイレも、装備が高い。特にキッチン。工夫しだいで安くできることもあるので、いろいろと調べると良いでしょう。

それから山奥の方だと、そもそも水道がないため、山水(やまみず)を引くところも多く見られます。山水って何かというと、山の沢から水を引く方法です。山にもよりますが、綺麗な沢の水はそのまま飲めるところもあります。それらを一旦タンクに貯め、水道パイプを山から引っ張って水道にするのです。タンクには2つの役割があって、ひとつは水圧を作ること、もうひとつはゴミを取り除くことです。2つタンクをつなげるケースもあります。定期的にタンクの掃除が必要です。空家になっていると、タンクが壊れていたり、パイプに穴が開いていたりするので、それらを直したりしないとなりません。水道屋さんも対応していない場合が多いので、大抵、自分でなんとかすることになります。DIYを覚悟しておいた方が良いでしょう。

また前回も書きましたが、山水でなくても注意が必要なことは汚水の処理です。こちらは水道屋さんに相談してみましょう。下水につなげるとか、浄化槽が必要になると、結構な金額になるため、予算を考えねばなりません。時には数10万、100万単位になることもあるので、できれば家を購入する前に確認することを勧めます。

4.断熱はするしない?

古き良き日本家屋だと、やはり暑かったり、寒かったりします。そこまで楽しむ移住ならOKだと思います。
郡上は割と涼しいので、夏場のエアコンなどの電気代はあまりかかりません。その代わり、冬場の暖房費はかなりのものです(想像を超える費用がかかります)。冬場のマイナス、夏場のプラスを考えると、トータルでマイナスになることを想定しておいた方が良いでしょう。近所の話しを聞くと、冬場は暖房費で毎月数万円というのは良く聞きます。

こうした状態を加味した上で、断熱を考えた方が良いと思います。つまり、最初にお金をかけて維持費を安くするか、維持費は高くても良しとするか。
断熱にもレベルがあるので、予算と規模により変わります。リビングとキッチンだけするような、いつも使う最小スペースを断熱する方法。サッシを良くする方法。家全体を断熱する、全館暖房のような大規模な方法まであります。DIYのレベルから、工務店にお願いする規模まで考えられるため、予算と相談になるでしょう。

さらに薪ストーブを導入したりすると楽しみが増えます。その一方で費用はかかります。こちらも予算とよく相談しましょう。薪ストーブは住んでからつけることも可能だと思うので、後に考えても良いでしょう。

5.全面改修する?

全面的に改修すると、懐は痛みますが、快適な生活を望めます。古民家を次の100年に向けて維持することが可能になることもあり、貴重なものを次世代へつなげられます。

そもそも話で、なぜ古民家を選んだのか(実際は古民家と呼べるほどではない昭和の物件ですけど)というと、現在のテクノロジーを駆使したツーバイフォー工法もライトでいいですし、ログハウスなどもがっしりして良いと思います。新たに建てると夢は広がり、理想の間取りで家を建てられます。
新築も良いけれども、古くからの建物は今にない木材と、それを利用した匠の技が使われています。こうした素晴らしいものが、空き家として放置されどんどん朽ちていく現状があり、とても勿体無いし、それをできるだけ後世に残したいと思ったからでした。もちろん太い天井の梁は素敵で見栄えの良さも魅力のひとつですし、昔ながらの生活感を空間的に体験できるのも魅力です。

画像1

日本家屋の間取りや縁側のシステムは、日本独特の住環境であり、日本だからこそ、その感覚の体験には意味があると思っています。だからこの空間を次世代へつなげたいと思ったわけです。

また、家を残すだけではなく、技術も継承しなければなりません。大工さんの技術継承のため、文化を残すため、と思えば、やはりリフォームをお願いすることも必要かなと思っています。

ということで、私たちは時間がないこともありますし、その後の生活もあるので、全面改修することにしました。冬に雪が積もる地方なので、寒さ対策も考えました。そうなると、とても費用がかかります。

ちなみに賃貸といえども

賃貸は前に人が住んでいるならば、そのまま使用可能な場合があります。しかし数年放置された賃貸は手を入れない訳には行きません。都会と違い賃貸は「改修は自分でしてください」という場合が多いです。家賃は1万円とか3万円とか安いものが多い代わりに、「修繕や改修はご自分でお願いします」と言われます。都会の賃貸では画鋲ひとつ穴の修理が掛かったりしますが、田舎は自由にできて薔薇色です。ただし、水回りとか驚くほどお金のかかるケースもあるため、賃貸といえども本当に要注意です。ある程度予算を準備しておくと良いでしょう。

ローン問題

さてここで困ったことが起こります。住宅ローンについてです。詳細はネットでは控えますが、ヒヤヒヤしました。移住する前にローンの残っている方は注意してくださいね

予算内で改修するか、ローンの準備をして改修するか。移住した周りの方を見てみると、多くの方が、予算オーバーで苦労されています。予算はかなり余裕を持った方が良いと思います。ぴったりだと足りなくなるケースをよく聞きます。だいぶ余るくらいの余裕のある予算が良いかと思います。

住宅ローンは、なんの問題もなければ1ヶ月以内に終わる話なのですが、銀行をまわって、相談して、を繰り返していたら結構時間がかかりました。そのおかげで、リフォーム期間がどんどん短くなってしまいました。不動産屋が入っていない契約だったことも足を引っ張りました。(汗汗)

助成金

お金の話が出てきたので、ここで紹介しておきます。各都道府県、あるいは市町村にて移住促進の助成金制度があります。郡上に関して、詳しくは以下の「ふるさと郡上会」のページを見ていただければと思います。

空家活用の補助金や、県産材や市産材の補助金、薪ストーブの補助金、別のページには就職に関する補助金など、いろいろな補助金があります。是非市役所などへ相談してください。

ただし、賃貸に関してはあまり助成金は期待できないので、その点は注意してください。

これまでのスケジュール

そんなこんなで、大々的にリフォームすることとなりました。それも踏まえ、これまでの大まかな移住のスケジュールは以下の通りです。

・物件購入決断から契約まで(5ヶ月)
・リフォーム計画(3ヶ月)
・ローン関係(3ヶ月)
・リフォーム工事(6ヶ月)

物件が決まってからリフォーム終わるまで約1年半かかったことになります。本を読んだりして、それなりにスケジュール感を持っていましたが、スケジュール通りそんなにうまくいく訳はなく、押し押しになり、ちょっと甘かったと反省しています。決断から契約まで時間がかかったのは、売主が遠方におり、日程調整が難しかったため時間がかかりました。物件の契約までに、リフォームとローンの話しをしておけば、もう少し時間の短縮をできたと思います。移住を考え始めたところからすると約2年半ですね。

物件探しが長くなると、どんどん長くなりますから、3年や4年は考えておいた方が良いですね。そう考えると、4年もあれこれするならば、さっさと賃貸を借りて移住してしまうのが、スケジュール的にはやはり良い方法と思います。移住をしてから本格的に家を探す方がスマートですね。

そして引越し問題

家も決まり、リフォームも進み、いよいよ引越しです。長い道のりでした。リフォームがギリギリになり、3月の引越しとなりました。しかも2018年の3月は、働き方改革とか、流通業界の人不足、レオパレス問題など、引越し需要に対して、業者不足で引越ししたくてもできない、引越し難民の年だったのです。費用も高騰するだけでなく、そもそもお金を出しても業者が見つからないという事態になりました。そんな時、これはまずいと思い、12月のクリスマスに業者と契約することができました。3ヶ月前でもギリギリでした。2社見積もりを取り、1社は2倍の見積もり。とにかく忘れてならないのは、引越しは時期が肝心。もし3月にするなら手続きは早くということですね。

まとめ

どこまでリフォームするか非常に悩みました。段取りも考えなければならないし、そもそもお金をどうするか。リフォームを考えるのは、一番楽しい瞬間なので、なるべく時間をかけてじっくりできると良いと思います。

そんなこんなでリフォームも引越しも、なんとか無事終わり、いよいよ移住ライフが始まります。ここからは移住ライフについてのお話をしていきたいと思います。

#移住 #郡上 #岐阜 #ライフスタイル #田舎暮らし #リフォーム #住宅ローン #古民家

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?