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理系と行きたい【テオ・ヤンセン展】

こんにちは、hanaです。

今日は、先日取材をさせていただいた山梨県立美術館についてすこし。

初めての目次付き投稿です。どうぞ、楽しんでいってくださいね。


山梨県立美術館 基本情報

まずは山梨県立美術館に関する基本情報をお伝えします。

山梨県立美術館は、1978年に開館した、甲府市にある美術館です。
常設展には、19世紀の画家"ジャン・フランソワ=ミレー"の作品が多く展示されています。

「ミレーの美術館」としても親しまれるほど。

山梨県立美術館のキャッチコピーが、「種をまく 世界がひらく」なのですが、これも、ミレーの代表作《種をまく人》に由来するものだそう。


テオ・ヤンセン展 基本情報

それでは本題へ。

現在、山梨県立美術館では、「テオ・ヤンセン展」という特別展が開催されています。2021年4月24日〜6月22日までの限定開催です。


テオ・ヤンセンとは何者か。

オランダのスフェベニンゲン出身で、デルフト工科大学で物理学を専攻。1975年に画家に転向。
「科学」と「アート」を融合させた作品を生み出していることから「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」とも称されています。


ストランドビーストとは何か。

テオ・ヤンセンの代表作とも言えるのが、今回の展示のメイン、《ストランドビースト》です。

ストランドビーストは、ヤンセンさんが産み出した"生命体" です。新しい生命体を生み出したい、というヤンセンさんの思いが形になったもの。

オランダ語で「砂浜」を意味する「ストランド」と、「生命体」を意味する「ビースト」という二つの単語をつないで、「ストランドビースト」と名付けられました。

名前の由来にもあるように、ビーストは、砂浜で生きています。ヤンセンさんは、砂浜という過酷な環境でも生きていけるように、ビーストにさまざまな機能や形を与え、進化させてきました。



ビーストのメインの材料となるのは、”プラスチックチューブ” と ”ペットボトル”。

「そんな、どこにでもありそうなもので、”生命体” なんて生み出せるの?」と思ったそこのあなた。私も初めて「ストランドビースト」に出会った時は、同じように思いました。

まずはこちらの画像をご覧ください。

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これが噂のストランドビーストです。

ボディは、プラスチックチューブ。それをつなぐものは、結束バンドやテープ。そして体の中に、ペットボトルがついているのが見えると思います。

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このペットボトル、ただの飾りじゃないのです。ビーストの「胃袋」のような役割を果たす、大事なパーツ(臓器)です。

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ビーストの羽や帆が風を受けると、その先についているピストンが動いて空気がペットボトルに溜まっていきます。風が吹かなくなっても、そのペットボトルに溜まった風を使って動くこともできちゃいます。


つまりビーストは、「風を食べて」生きているのです。私たちが食べ物からエネルギーを得るように、風からエネルギーを得ている、というわけです。


ビーストが動く原理

ペットボトルの胃袋に溜まった風を利用したり、帆や羽が風を受けることで動ける、ということ以外に、もっと根本的な「ビーストが動く原理」が存在するのです。

その原理が「ホーリーナンバー(聖なる数)(13の数字)」と呼ばれるものです。

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以下、ホーリーナンバー解説です。

ビーストの脚を構成するために、チューブの長さと位置関係を割り出す13個の基本となる数字。ヤンセンはコンピュータ上で幾通りもの組み合わせを試し、数ヶ月かけて理想とする動きに辿り着いた。ホーリーナンバーを用いた脚の各部が往復運動や円運動をすることでビーストは歩き出す。特に重要なのが脚先の軌跡である。脚先が前に出るときに描く上方向に膨らみながら回転する軌跡が、生き物らしい滑らかな動きを生み出している。

↓ホーリーナンバーの体験装置

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ストランドビーストの種類

ここまで、ストランドビーストの誕生秘話や構造に関して触れてきたわけですが、ここからはストランドビーストの種類について、いくつかご説明します。


まず、ストランドビーストは「人間」のような、大きなくくりの総称。

我々人間に、さまざまな名前・容姿・個性を持った人がいるように、ビーストにもそれそれの名前や個性があります。

そして面白いことに、苗字はみんな共通です。

英語で「動物」を意味する「アニマル(animal)」と、ラテン語で「海」を意味する「マーレ(mare)」を組み合わせた、「アニマリス(animaris)」という名称から名前が始まります。


まずは、この子。

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「アニマリス・ペルシピエーレ・プリムス」

体長7.5メートルもあるビーストです。

「ペルシピエーレ」は「知覚する」という意味があるのですが、その名の通り体の一部には”感覚器” が備わっています。


続いて、この子。

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「アニマリス・ムルス」

個人的に、展示されていたビーストの中で一番可愛いなと感じました。

体長はなんと13メートル。

帆のある「アニマリス・オルディス」というビーストと、波打つ体が特徴のキャタピラー型ビーストが合体しているようです。このように、古いビーストの一部、あるいは全部を引き継いでいるビーストも存在します。


最後にもうひとつ。

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「アニマリス・プラウデンス・ヴェーラ」

体長は9メートル。

実はこれ、2014年に長崎県美術館で行われた展示に向けて製作せれたもの。江戸時代にオランダ・長崎間の貿易を支えた帆船がモチーフ。弱い風でも動けるように、大きな帆を持っているのが特徴である。


運よく、このビーストが動くシーンを見ることができました。

展示室の中は風がないので、ビーストたちは「化石」状態なのですが、人工で風を送り込むことによって生き返ります。


ゴォォォと音が鳴った後、ゆっくりと、前進。

あまりの迫力に、恐怖心が芽生えるほどでした。逃げだしたくなりました。

人間が生み出した ”もの” のはずなのに、本当の ”生命体” だと本能が感じ取っていたのだと思います。


【テオ・ヤンセン展】をもっと楽しむために

私が展示を見ていて思ったのは「このアートはただのアートではない」ということでした。

美術館で色々な作品を見て回ることは好きなのですが、そのどれもが「考える」のではなく「感じて」楽しむものばかりでした。

しかし【テオ・ヤンセン展】は違いました。ものすごく頭を使いました。

「科学」と「アート」の融合作品なので、当たり前ではあるのですが、THE文系脳な私にとっては難解な部分が多かったのです。

展示作品数も多く、各所に物理チックな要素が絡んでいるため、1つ1つの構造や仕組みを理解するのに時間がかかり、後半になるにつれ頭が働かなくなっていきました。


「理系の人と回りたい」

ビーストの構造や仕組みをもっと簡潔に理解できていたら、もっとヤンセンさんの思考や、作品への想いを感じるゆとりができたのかなと思います。

そう考えた時に、「じゃあ次に来る時には、理系の人とくればいいのではないか!?」と思いついたのです。

きっといい感じに仕組みを解説してくれて、理解して、今回よりも、もっともっと【テオ・ヤンセン展】を楽しめそうだな、と。



というわけで、これを読んだ皆様は、是非とも理系(特に物理が得意な方)と一緒に一緒に行ってみてくださいね!


もっとストランドビーストや、テオ・ヤンセンについて知りたいよ、という方は、山梨県立美術館公式HPをご覧ください!


ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました。

素敵な1日をお過ごしください。



では、また。

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