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11月33日 ポケモン、うれション

11月23日

先週から夫がやっていたポケモンの新作(ダイヤモンドパールのリメイク)を私もやってみることにした。ポケモンをやるのは小学生の頃に初代ポケモン(赤)をやって以来である。最初の一匹は「ナエトル」を選んだ。捕まえたポケモンにはニックネームを付けることができる。亀っぽいポケモンなので、「かめだせいじ」と名付けた。

11月24日

集中してポケモンに取り組んでいる。手持ちのポケモンたちのレベルが上がってくると、相手を一撃で倒してしまうことも多い。夫がやっているのを見ていた時は、一撃で倒せるくらい差があるとスリルがなくてつまらないのではと思っていたのだが、いざ自分でやってみると楽しい。爽快。一撃で倒しまくりたい。むしろ一撃で倒せないとちょっとイラッとする。かめだせいじもレベルが上がって、進化という名の事変が起き、ハヤシガメというポケモンになった。はっぱカッターで敵を瞬殺しまくっている。

11月25日

ポケモンは滞りなく進んでいる。「スコルピ」というサソリっぽいポケモンをゲットしたので、「みかわけんいち」と名付けたかったが、6文字までしか入れられないので「みかわけんじ」にした。

11月26日

朝から頭痛。二日酔い以外で頭痛が起きることはほとんどない。珍しい。少し吐き気がするくらい痛い。カフェインを摂取すると血管の収縮作用で頭痛が治ると聞くので、コーヒーを飲んでみた。しばらくすると、本当に良くなった。痛みが引いたことは嬉しいが、自分の頭の中で血管がギュッと収縮したのだと思うと結構怖い。

ついに雪が積もった。例年よりかなり遅い。冬の装備を整えるため、夫と買い物に出かけた。去年まで使っていた雪かきスコップが何故か行方不明になってしまったのと、夏に車が一台増えたので、車用の雪かき道具を買い揃える必要があった。ホーマックに着くと、店の中から次々と雪かきスコップを買った人たちが出てきて、我々同様、今日雪が積もったのを見て慌てて買いに来たのだなと、雪国に住む民としての仲間意識のようなものを勝手に感じた。雪かきスコップの蛍光色が好きだ。積もった雪に突っ込んだ時、雪も蛍光になるのが好きだ。雪かきは嫌いだ。

ポケモンは順調に進んでいる。かめだせいじは立派に成長し、ドダイトスというポケモンに進化した。安定したリズムでバンドを支えるベース音のような、ずっしりと重量感のある姿になった。

11月27日

夫の親戚から洋梨が送られてきた。夫は洋梨が苦手なので、私が好きなだけ食べていいらしい。「洋梨に用無し」と言っていた。

11月28日

実家に帰ったときに母親が「めちゃくちゃおいしいから!」と持たせてくれた「ごま豆乳鍋つゆ」、まあおいしいだろうけど、そんなに? という気持ちもあって、何となく後回しになっていたが、夫と昨日「そろそろ鍋だな」という話になり、ついに今夜出番となった。今朝の夫、「今夜は鍋……」とだけ言い残し、仕事に行った。鍋好きのエイリアンに体を乗っ取られたのか。

ごま豆乳鍋は予想を遥かに上回るおいしさで、母親に「めちゃくちゃおいしい」とLINEしたら、「だろー」と返って来た。

11月29日

冷蔵庫にずっと入っている男梅サワーについて、「これ飲まないの?」と夫に突っ込まれたので、男梅サワーの口になる瞬間は突然やってくるものなので常に一本用意しておくべきなのである、などと尤もらしく語ったが、本当は少し忘れていた。

ポケモンはぐんぐん進み、伝説のポケモンに出会うところまで来た。直前でセーブし、ゲットに失敗したら電源を切って再挑戦、という懐かしいやり口を繰り返すこと三回、伝説のポケモン「パルキア」をゲットした。「でんせつくん」と名付けた。

11月30日

車に乗っていたら、すれ違い様にめちゃくちゃ可愛い犬がいて、あまりの可愛さに夫と目を見合わせた。でっぷりと肉感のある柴犬で、飼い主の押すカートのようなものに乗り、前を向いて座ったまま微動だにせず、日差しに目を細めていた。あの犬のLINEスタンプがあったら買う。

道中、「スーパー コンビニエンス たかはし」という看板の店があった。「スーパーでありコンビニでもあるたかはし」なのか、「スーパーなコンビニであるたかはし」なのか、気になった。

12月1日

鶏の手羽中でコーラ煮を作った。母方の祖母の得意料理で、以前にもレシピを詳しく聞いて何度か挑戦したのだが、どんなに綿密にレシピをなぞっても同じようにほろほろ柔らかく作れた試しがなかった。おかしいなと思い祖母によくよく話を聞いてみると、祖母はコーラ煮を作る時、わざわざデパ地下の精肉店で手羽中を買っているのだと判明した。この前祖母に会った時にその高級な手羽中を持たせてくれたので、本日、満を持してコーラ煮に再チャレンジした。めちゃくちゃ柔らかく出来た。コレだよ、コレ。結局は素材か。

ポケモンはついにストーリーのクライマックスへ。全ての町のジムリーダーを倒し、ポケモンリーグ四天王、そしてポケモンリーグチャンピオンに挑む。しかし、どうしても最後のチャンピオンに勝てない。ポケモンには草タイプだとか飛行タイプだとか、ポケモンごと、技ごとにタイプ分けがされていて、それぞれタイプ同士の相性がある。結構入り組んでいて、まだ把握しきれていない。それが敗因。ここにきてポケモン歴が浅さが露呈した。我らが主将であるかめだせいじも一撃でやられてしまって絶望。スマホで相手ポケモンのタイプと相性を調べながら戦えば勝てるのかもしれないが、そのような行為は無粋の極みである。自分の力で勝利してみせる。私はゲームの中の主人公としてポケットモンスターの世界を冒険しているのだ。そこにGoogleは存在しない。

12月2日

ポケモンリーグチャンピオンへの四回目の挑戦。疲れ果てた私はついに夫を召還した。Googleは存在しないが、夫(と書いて”なかま”と読む)は傍にいるのだ。夫はポケモンに関して歩くGoogleであり、タイプ同士の相性をしっかり把握しているのは勿論のこと、「毒をあびると防御が下がるから~」だとか「こいつなら一撃は耐えるからその隙にこっちを回復して~」などと知識だけでなくバトルにおける立ち回りも初心者である私の比ではなかった。なかまの協力もあり、私はついにチャンピオンに勝利し、ポケモンリーグ新チャンピオンとなった。達成感。

夜、寝る前に夫と話していた時、私がふいに「うれション」という言葉を使ったら、夫が「うれション」を知らなくて、「犬が嬉しさのあまりおしっこしちゃうことだよ」と説明し、「例えば飼い主が帰って来た時とかに、ご主人様~~~!!!!!キャンキャンキャンキャン!!!!しょわわわ~~~!!!!!」と激しく頭と両手を動かし、しょわわわ~~~のところは人差し指を股間の辺りで振り振りしてうれションを表現したところ、夫に死ぬほどウケたので、「そんなウケる? キャンキャンキャン!!!!しょわわわ~~~!!!!だよ」と言ってまたやると、夫は完全にツボに入ったようで何度も爆笑するので、10回くらいやった。カメラに笑顔を向けるのが苦手な夫から「写真撮る時これやってくれたら絶対笑う」とお墨付きをもらったが、写真撮影するような公共の場で犬のうれションを全身で表現しようものなら、夫の笑顔の写真は得られても人として尊厳を失いかねない。

12月3日

夕方、夫が帰って来るのを玄関で待ち構え、ドアが開いた瞬間に「キャンキャンキャンキャン!!!!しょわわわ~~~!!!!!」とやったら、夫は一瞬ポカンとなって、「あ、うれションか、アハハ」っておい。昨日あんなに笑ってたのに、一瞬うれションのこと忘れてたらしい。うれションで恥かいた。

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