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Bombay Bicycle Club / I Had The Blues But I Shook Them Loose (2009)

ロンドン出身、当時平均年齢19歳の4人組インディ・ロック・バンド、ボンベイ・バイシクル・クラブ(BBC)のデビュー・アルバムは、若き才能が疾走するインディ・ロックでありながら、同時に老練なまでの完成度を誇り、実験精神にも富んでいる秀作。

「リズム・パターンから曲を作る」というとおり、複雑なリズムと独特なコードによる独自の音作りが本作の時点で早くも出来上がっている。

15〜16歳頃から5年近くかけて磨き上げたという楽曲には、ソングライティングの才能の豊かさと特徴的な歌声、確かな演奏技術、どっしりとした落ち着きがあり、合間に良い塩梅で差し込まれるエレクトロ・サウンドにはその後の音楽性の変遷の前兆が垣間見える。

UKインディ・ギター・ロックの新星でありながら、USインディからの影響も色濃く、来たる2010年代インディ・ロックの先駆けともいえる本作を筆頭に、アルバムを重ねるごとに彼らの魅力は、じわじわと確実に世間に浸透していくことになる。

まさに信頼と実績のBBC。




2000年代最後の年にデビューしたBBCは、たぶん僕と同年代。
ポップで爽やかな音を鳴らす反面、孤高のバンド感も漂う。それはたぶん、アークティック・モンキーズと同じく、彼らも彼らだけの独自のグルーヴを持っているからだと思う。

シンプルでたまに哲学的な詞に洒脱な遊び心を交えつつ、よく練られた楽曲とどこか浮世離れしたような歌唱、確かな腕前の演奏を嫌味なく聴かせる。
頭の良い人たちなんだろう。

カラフルで爽やかで疾走感もある1st、一転して哀愁のあるフォーク・ソング一辺倒の異色の2nd、バンドの可能性を拡張するとともに質も充実した3rd、そしてワールド・ミュージックの影響を取り入れつつこれまでの集大成のような完成度で初の全英1位を獲得した4thと、活動休止前の4枚のアルバムにおけるキャリアの変遷と成長は鮮やか。

この世代屈指のソングライターであるジャック・ステッドマンのソロ作品や活動再開後の5thは未聴なので楽しみ。

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