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がん治療の意思決定は、クトゥルフ神話TRPGの意思決定と似ている。延命処置と緩和ケアの狭間で。

クトゥルフ神話TRPGの意思決定は、特殊です。

クトゥルフ神話TRPGとは、作ったキャラクターになりきって、用意されたシナリオの中で意思決定していくゲームです。
そのシナリオは、公式が提供するものもあれば、ユーザが作成したものもあり、共通するのは架空の神話であるクトゥルフ神話を世界観としているところです。

クトゥルフ神話TRPGは非常にシビアなゲームで、キャラクターが正気を保ちながらシナリオの最後まで生き残れば良い方と言われています。

その意思決定で厄介なのが、通常の意思決定では情報は多いほど良いのですが、クトゥルフ神話では知るだけで正気度(通称SAN値)が減る情報がある事です。

特に、INT(知性)のパラメータが高いキャラクターは、アイデアロール(ひらめき)により少ない情報から隠された情報にたどり着く為、コントロールが難しくなります。

また、クトゥルフ神話TRPGの戦略の一つとして、情報の取得・判断を自分以外の仲間キャラクターと分担する事があります。
その事によって、正気度の消費を避けつつ、意思決定を委ねるのです。

そこでプレイヤーに要求されるのは、「正気度を消費・回復しながら、自身の正気度を大きく減らす情報やその消費コストに見合わない情報を避けつつ、リソース管理しながら情報を集めて意思決定する。または、信頼できる人に意思決定を委ねる」事です。

私は、今まさにこのクトゥルフ神話TRPGと似た意思決定をしています。
医師の方の「脳腫瘍を取り除ききる事はできない」決定に対して、アイデアロールを成功させてしまった為、このシナリオへの参加を余儀なくされています。

このシナリオのクリア条件は価値観によって異なります。
ただ、生存定義(どのような状態が生きていると言えるか)を元に、大きくは延命処置(寿命を延ばす)と緩和ケア(幸福を感じる)のどちらをどの程度重んじるかが鍵となり、その望む状態が提供される状況にする事でしょう。

シナリオで遭遇する選択肢も、延命処置や緩和ケアと明確に分類されている訳ではなく、それぞれの選択肢がどの程度それらに寄与するかを判断する必要があります。
金銭などのリソース管理も必要です。

その為に、「正気度を消費・回復しながら、自身の正気度を大きく減らす情報やその消費コストに見合わない情報を避けつつ、リソース管理しながら情報を集めて意思決定する。または、信頼できる人に意思決定を委ねる」事をするのです。

主に医師やソーシャルワーカー、その他の専門家の方々とのコミュニケーションがその手段となりますが、正気度への配慮が欠けた対応をされる事もありますので、要望や質問は慎重に行いましょう。

医師の方がある程度その役割を担ってくれますが、本人や家族の意思を必要とする場面もあります。

価値観を共有するエンディングノートを用意する事がオススメされます。
ただ、それを使って誰をこのシナリオに巻き込むかは、その方との関係やステータス(正気度やその他の能力)によって、決めると良いでしょう。

クトゥルフ神話TRPGと違い、発狂状態(通称SAN値ゼロ)はこのシナリオにてゲームオーバーではありません。
発狂状態の中には、神々や使命への狂信者となるものもあります。
それも踏まえて、意思決定するか意思決定を委ねるのも、選択肢の一つです。

生物の末路を考えると、すべての人が同様のシナリオに参加する事となります。
その説明と私なりの対処方法は、次の記事で書きました。

全人類が患う死病を、余命者のひとりが考えれば。月ノ美兎様配信を見て。|nezuq|note

最後に、「アルジャーノンに花束を」(著:ダニエル キイス)は良い本と思います。



ご援助頂く事があれば、治療費か生活費に使わせて頂きます。