【のんびりすることの困難さ/後編】

さて、前半ではのんびりどころか、財布を置き忘れるというよくわからない事件が解決したことで一旦幕引きとなった。
引き続き、のんびりを求めて旅をした日のことを書いていく。

結局、財布は車の中にあった。時計をみると12時半を過ぎており、私のお腹は空腹を訴えていた。
まぁ、気を取り直せよと自分に言い聞かせながら、再度コンビニまでの道を20分かけて歩いた。歩きながら何度も財布を確認したのは秘密だ。

駐車場とコンビニを1往復半して、ようやくコンビニの中に入り、お弁当とお茶(リュックに入っていた分は歩きながら消費済み)を手に入れた。
公園に入ってすぐのベンチに腰掛けてお弁当を食べた。風が吹くと少し肌寒いが、風がないと太陽の光が心地よいというこの上ない良い天気の上、無駄に歩いて疲れた体には普段の2倍くらいお弁当がおいしく感じた。
遠足のお弁当がおいしい理由も同じようなものかもしれないなと、何十年も遠足に行ってないおじさんは思ったのであった。

お弁当を食べ終わり、予定外のアクシデントも旅の醍醐味かもな等とさきほどまでの憂鬱な気持ちはどこへやら、テンションは上がり始め、ようやく今日の目的地である芝生を目指す塩梅になった。

お弁当の空容器とお茶をリュックに入れて、再び公園の道を歩き出した矢先、見たことない小道が右手に見えた。
目的の芝生は左手であり、右手に行くと確実に違う方向だとわかってはいたが、小道がなんとなく気になってしまいそちらに進んでしまった。
これが間違いの始まりであることは当時の私は知る由もなかった…。

左手の湖を見ながら小道を進んでいくと少し大きめの道に合流した。道の両側には木がたくさん立っており、木洩れ日が良い感じで降り注いでいた。
ちょうど昼間ということもあってか、ランニングしている人が数人私を追い抜いたり、すれ違ったりした。
そのまま道なりに進んでいけば行き止まりになるかな等と考えながらとぼとぼと歩き続け、30分ほど歩いたところで道の隅に看板があることに気付いた。

その看板を見て驚いたのだが、どうやら湖を一周するコースとなっているようだ、その看板があった地点は、目的地の芝生から約2km、そのまま歩くと約4kmあると記載されている。
普通なら戻るかとなるのかもしれないが、愚かなおじさんは回れ右をすることなく、あと4km程度かと勘違いして進んでしまった…。

何度も書くが、この旅の目的は芝生でのんびりすることであり、湖を一周歩くことではないのである。
当時の私が判断を誤った理由は謎だ…。今思えばとても愚かな選択だったとしか思えない。

結局、湖一周コースを歩き続けたのだが、途中で花や野良猫、奇妙なオブジェに湖に浮かぶカモの集団などで癒される一方、平坦な道ではなかったのでグネグネ曲がったり、上り下りを繰り返したりして、
目的地まで残り1kmとなった時には心身共に疲れ切っていた(足痛い…)。

目的地の芝生に到着した頃には14時半を過ぎており、2時間近く歩き続けた結果となった…。
芝生に座り込んで大きめの雲と湖を眺めながら、ここに何しに来たんだっけと考えていたが、予定では3時には公園を出発しなければならなかったため、10分ほどのんびり(のんびりではなく、休憩だと思う)して駐車場に向かったのであった。

のんびりするには様々な誘惑やアクシデントを回避する必要があることを学んだ一方で、実は自分がのんびりすることが苦手な人間なのではないかという疑問を抱いた出来事でした。
ただ、旅の結果としては大変満足なものとなった。

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