まぁそいつが悪役だとしても
こんにちは。ちんちんむしです。皆さん、悪役ですか?
状況によりますよね。
今わたしはお盆休みで10連休くらいを手に入れてしまい(一度仕事の研修みたいなのはあったけど、3時間で終わったので仕事ではない)、自由に過ごしております。追われていた締切も落ち着いていてこれと言ってやらなければならないことはなく、フォトショやイラレの今まで使ってなかった機能の勉強をしたり、脚本の書き方の本を読み始めたり、絵を描いたり・・・今までやりたかったけど優先順位に埋もれていたことに目を向けつつ、ほぼ酒を飲んでいます。幸せ〜
そんな夏休み、「やっぱり開幕はハイスクールミュージカル2でしょ!!!」と思い、開幕と同時に鑑賞しました。ハイスクールミュージカル2は、夏休みにみんなでバイトしたりみんなでミュージカルをやるお話です。ミュージカルなだけあって、夏休みに対する喜び方がわたしの5億倍くらい嬉しそうです。わたしは「へへっ」って笑ってただけですからね。
去年は別に夏休みらしい夏休みは過ごしてないので、今年久しぶりに見ることになり、ちゃんと見たのはもう10年前の学生時代の夏ではないでしょうか。久しぶりに見ると、今までとは全く違う感情が芽生えたりするものですよね。物語に直接関係ないところにいちいちツッコミ入れたりね。「夏休みは何があっても一緒に過ごそう」ってウザくない?なんて汚い大人になったんだろう。
昔から好きな海外アニメや映画の大半が、「金持ちで自分に自信のある奴」を悪役としていることが多いなと思います。ハイスクールミュージカルならシャーペイ、アンジェラアナコンダならナニーちゃん、パワーパフガールズならプリンセス・・・まぁ明らかに人を見下したような態度をとるから嫌われるのは仕方ないんでしょうね。「庶民にはわからないだろうけど」とかすぐ言いますからね。ぐぎぎ。でも大人になると素直に「金があって自己肯定感の高い人のなにが悪いのかな」とかは思ってきます。嫌味を言って見下すのは良くないと思うけど、みんな金持ちで自己肯定感ある人間にはなりたいですよね。これだけ世の中みんな「5兆円くれ〜!」とか「自己肯定感を高める方法」とかツイッターに書いてるのに、「なりたくないよ」と言われたら嘘だと思う。
昨今、「自己肯定感の上げ方」「生きてるだけで偉い」みたいな風潮がかなり注目されていますよね。それで救われている人ももちろん沢山いるだろうし。でも、自分の今まで見てきたものたちを思い出すと、「今まであんなに『私って本当に最強〜!』って高笑いしてる女王様キャラを悪者みたいにしてきたのに・・・」という気持ちになります。あちらを立てればこちらが・・・というのか、「今までみんなが反対して見向きもしてこなかったものに注目すると、既に存在はしたのに新鮮に見えるからね」と思います。
ハイスクールミュージカルのシャーペイは実家の太い金持ちで数々のミュージカルのショーを受賞していて、プライドも高くて「私が一番、私って特別」と言葉に出して言えるような人です。なんの苦労もなさそうで、なんでも上手く行ってるように見えて、人を小馬鹿にするので結構嫌われていそうに描かれています。でも、本当にそうなのかな。小さい頃から「ショーで一番になりなさい!」って親に言われていたとして、周りのみんなはショーなんかなくて学校が終われば好きな遊び方をしていて・・・いくら金持ちでも、裏金を使っていないのだとしたら子供が頑張ってショーを獲るのには相当な孤独との向き合いと努力があったと思います。そのまま思春期まで育っていったら、そりゃあ周りの何にも考えてなさそうに見える人たちのことなんて、「悩みのなさそうなバカ」とか映っても仕方ないかもしれない。もちろん、周りの人にもそれぞれ何か悩みがあると思うけど。もう最早生きてきた世界が違う。
ハイスクールミュージカル2の山場のシーンで、主人公のトロイが金持ちのシャーペイと一緒にいて裕福で特別な世界に生きるか、学校のバスケ部やミュージカルの仲間たちと平凡な毎日を過ごすかの選択を迫られるシーンがあります。トロイは考え気がついて、「僕が大切なのは友達にどう思われるかだ。そして自分がどう思うかだ」とシャーペイに伝えて、シャーペイの思い通りにはならないけど、最後にはシャーペイもクラスのみんなも仲良くミュージカルを終えて終わります。
いやー、トロイに共感しねぇな。友達は大事だけど、友達にどう思われるかって考えてたら結構なんにもできない気がする。自分もだけど、シャーペイも自分でやりたいことを一人ででも成功させたくて周りからどう思われたって気にしない、というタイプの人間には相容れない。よっぽど好きな人間でない限り嫌われてても別にいいもんな。アラジンのジャファーとかも、ジャファー自身は悪者だって言われてたとしても自分の力であそこまでのし上がってきたのに、特になんの能力もなく努力もしてきてない、自分の能力でもない魔法を使ったポッと出の奴に閉じ込められて可哀想だなと思ってます。トロイもアラジンも、なんか仲間携えてしか上手くいかないんだろうなーと思うと、自分は断然悪役側に共感します。
シャーペイは他人を見下すようなことを言わなければ、結果も残していて「自分は特別だ」と言葉にして言えて素晴らしい。もし嫌味を言わなくても嫌われるのだとしたら、それは庶民の妬みなのではないか?「自己肯定感を高めよう」という風潮がいくらあっても、本気で自分が特別だと言っている人を白い目で見る人も別にいなくならない。それは勝手だけど。
一人で成功を掴もうとしてたら、自己中になって周りの目も周りの気持ちも無視して、孤独に自分の思い描く世界に向き合わないといけない。冷たいかもしれないけど犯罪をしてるわけじゃないのならなにも間違っていない。「あの悪い奴!消えちまえ!主人公が正義だ!」という前に、その人が主人公だった場合を考え始めると、悪役にだって悪役のストーリーがある。全てのキャラクターの人生に光が当たればいい。ヴィランにも幸あれ。
さて、スピンオフの「シャーペイのファビュラス・アドベンチャー」も見ようっと。