Peter Pan 2024 note ネバーランドの作り方
「ブロードウェイミュージカル ピーター・パン」。
いよいよ今年も様々なアップデートを経て開幕した。
「ネバーランドの作り方」。
これ、案外Googleに聞いてもわからないので、今後御担当される方の為にも我武者羅に走って来た初年度と違い深めていけた今年を振返り、此処に少し備忘録として自分の意思を書き綴っておこうと思う。
一般的に皆さんはこの作品にどんなイメージを持たれているだろうか?
まあ大抵の方の印象は、脈々と続いている夏の風物詩、ファミリーミュージカル。と言った所だろう。
私もそうだった。
私にとっては、そのタイプの作品の多くは今迄、観なくても良い、とカテゴライズされるジャンルだった。
あくまで私にとってはだが、こういう様なイメージを持たれている方は決して少なくはない、と思う。
だがそんな人間がピーター・パンを作る事になった。
他の演出家はどうかは知らないけれど、私は私が観たいものを作りたい。
では自分が観たい、かつ子供も観たくなる、とは一体何だろうと考えた。
そもそも海外の子供向け演目というものの中には、何歳から何歳まで、など推奨年齢が明確に指定されている演目も多い。
だが日本に於いての子供向け演目は、「大人も子供も楽しめる」という常套句がつくことが多い。
その常套句は、結局大人というスポンサーを連れて来る為の口実に過ぎない事が殆どだ。
只、本気で大人が楽しめる事に向き合えば、子供だって必然的に楽しめる。
じゃなければ涼しい屋内でサブスクリプションでクオリティの高いアニメーションでも観ていた方が良い。
そもそもピーター・パンは、敬愛するウェストサイドストーリーの演出・振付であるジェローム・ロビンスが上演していたものだ。
これは一筋縄で行くものではない。
ならば自分が想像だにしていなかった(普段は何故か湿度の高い殺伐とした作品が多い)このオファーに対して全力を尽くそう、と考えた。
まず作品を作る際にはいつも、実現するかどうかは除いて、イメージを出す為に沢山のドローイングも書く(下記参照)。
何ならダーリング邸の間取図面も書いた。
それらのアイデアを美術家と揉んで、次第に方向性が決まって来る。
到底実現不可なアイデアもたまにその話から新しいものが産まれて来るのであながち無駄でもない。勿論無駄も多くある。
そして、初年度は過去のテキスト・映像を観ながら傾向や年度毎の違い等を兎に角予習させて頂き、先人の智恵をお借りしたりしながらもアップデートを試みた。
本作には様々な謎が散りばめられていたので、まずはピーター・パンに於ける謎に正面から向き合う事にした。
何故ピーター・パンというものは存在していて、
彼が常用している薬、ダーリング邸でも飲まれている薬とは何なのか、
ネバーランドに於けるワニとは何の象徴か、
あのフックの片腕を失った経緯とは。
様々な事柄に向き合った。
作品内で明かされる謎も明かされない謎も含めて、大人の鑑賞に十分耐え得る作品にしたつもりだ。
それを具現化するハイクオリティなキャストとクリエイター達。
それが去年2023年より上演をされているピーター・パンだ。
キャストには、
自分が小劇場でやってきたコミュニティで知り合った人から、ミュージカルというジャンルに携わる事になった時から続けて出て貰っている人、オーディションで知り合った才能ある新人からベテランキャストまで。
クリエイティブも、日本の舞台業界の屋台骨とも言える方から、業界外のクリエイターまで、とんでもないレジェンド達が真剣に創造に向き合ってくれた。
そんなこのネバーランドも御存知の通り、例年では数年経つと演出家の交代によって解体される。
その際には新たな演出家による新たなネバーランドが建国される。
ネバーランドは何度も再構築されて来た。
つまり「このネバーランドを観られるのは今ここだけ!」だ。
なんだか専属契約をしている週刊少年漫画の出版社の様な口調になってしまうのだが、これも事実だ。
大人になってしまったウェンディが、もうネバーランドに行けない様に、この公演を何処か宝物にして持ち帰って欲しい。
そんな想いで作ったネバーランド。
秋からは上海で新作を作りにいくので日本で演出する作品は今年はこれで最後(日本というかネバーランドだけれども)。
私達一同が心血注いで構築した国に、どうかいらして頂ければ幸いです。
青山メインランドファンタジースペシャル
ブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』
<キャスト>
ピーター・パン:山﨑玲奈
フック船長:小野田龍之介
ウェンディ:鈴木梨央
ダーリング夫人:壮 一帆
タイガー・リリー:住 玲衣奈
【パイレーツ】
スミー:今村洋一、ヌードラー:荒川湧太、マリンズ:加瀬友音、チェッコ:鈴木真之介、スターキー:鳥居留圭、ジュークス:渡部又吁
【ロストボーイズ】*
カーリー:小熊 綸、ラブル:梶 みなみ、ニブス:田代 明、スライトリー:徳岡 明、トートルズ:松尾音音
【モリビト】*
ASUKA、石原詩月、伊藤 奨、児玉彩愛、小宮海里、七理ひなの、古澤美樹、森田駿介
ジョン*(Wキャスト):畠中一花、三木美怜
マイケル*(Wキャスト):杉山穂乃果、須田麗央
スウィング*:島野知也、三井夕萌
*五十音順
<スタッフ>
原作:サー・J・M・バリによる作品を元にしたミュージカル
作詞:キャロリン・リー
作曲:モリス(ムース)・チャーラップ
翻訳・訳詞:福田響志
演出・振付:長谷川 寧
音楽監督:宮川彬良
美術:BLANk R&D
照明:齋藤茂男
音響:井上正弘
衣裳:高橋 毅
ヘアメイク:河村陽子
アクション・パルクール:HAYATE
映像:anno lab
フライング:松藤和広
歌唱指導:板垣辰治
パペット操演指導:黒谷 都
振付助手:仙石孝太朗/溝上瑞季
アクション・パルクール助手:島野知也
稽古ピアノ:中野裕子
演出助手:坂本聖子/玉置千砂子
舞台監督:小澤久明/瀧原寿子
エグゼクティブ・プロデューサー:堀 威夫
主催・企画制作:ホリプロ
特別協賛:青山メインランド
東京公演詳細
<スケジュール>
2024年7月24日(水)~8月2日(金)at 東京国際フォーラム ホールC
主催・企画制作:ホリプロ 特別協賛:青山メインランド
ツアー公演
<愛知公演>
2024年8月11日(日)~12日(月・祝)at 御園座
主催:御園座/中日新聞社
問合:御園座 052-222-8222(平日10:00~18:00)
<広島公演>
日程:2024年8月17日(土)~18日(日)at 広島文化学園HBGホール
主催:TSSテレビ新広島
問合:TSSイベント事務局 082-253-1010(平日10:00~17:30)
<魚津公演>
日程:2024年8月24日(土)~25日(日)at 新川文化ホール 大ホール
主催: 公益財団法人富山県文化振興財団 新川文化ホール
問合: 公益財団法人富山県文化振興財団 新川文化ホール
TEL:0765-23-1123 FAX:0765-23-0534 E-mail:info@miragehall.jp
http://www.miragehall.jp/
<大阪公演>
2024年8月31日(土)at 梅田芸術劇場メインホール
主催:梅田芸術劇場/ABCテレビ
問合:梅田芸術劇場06-6377-3800(10:00~18:00)
https://www.umegei.com/schedule/1196/
公式X= https://twitter.com/peterpanjapan
公式HP= https://horipro-stage.jp/stage/peterpan/
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