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【NJRPG/シナリオ】黄金ブッダ事務所襲撃

己が身に宿すニンジャソウルから超常の"ジツ"を引き出し行使する、憑依ニンジャたち。彼らはここ中国地方に限って、特定のエリアに脚を踏み入れるとき、その力が弱まる事に気がついた。原因不明の『ニンジャソウルの不調』。調査に臨む君たちは、とあるオールド・シュラインに辿り着く。

これは「ニンジャスレイヤーTRPG」に対応した、3~4人のプレイヤー向けのシナリオである。基底部は公式サンプルシナリオ「ヤクザの事務所」に準拠しているが、マップ構造に大きく手を加え、特殊なギミックを採用した内容となっている。想定プレイ時間4~5時間。プラグイン環境を想定。

用意されている特殊なギミックは、ファンメイドプラグインのバランステストや、様々なジツやスキルの体験、成長したキャラクターと他のキャラクターの足並みを揃える用途で使用されることを想定している。

◇シナリオ本文中に登場する略称
NM:ニンジャマスター、PL:プレイヤー、PC:プレイヤーキャラクター

◆特殊な作成ルール

このシナリオでは新規作成されたPCか、1~2回程度のキャンペイグンを生き延びたPCでプレイされることを想定している。全員が新規PCを作成する場合、NMは下記ルールを採用しても構わない。

1:通常通り、ダイスかスクラッチビルドで新規PCを作成する。原則ノーカラテ・ノーニンジャは選択不可とする。

2:最終的に【ジツ】値が0になった場合、1まで引き上げる。ジツやソウルの種類は任意で選択してもよい。(このシナリオの目的は、普段は使えないような強力なジツでひと暴れすることだ!)

3:元の【ジツ】値+4の状態まで、獲得予定の★ジツや●スキルを決定しておく。『●不屈の精神』など能力値を増減させるスキル等は選択できないものとする。ここで選択したジツやスキルは、シナリオ中に特定の条件を満たすことで段階的に開放される。

※ソウルサマリーの場合、本来のバフ以上に回避ダイスは増加しない。
※★★★系の力は「アーチ級のジツ」のみ選択できる。これには特定のPCだけが潤沢なリソースを得ることを防止する意図がある。

◆過剰なニンジャソウルの力(オプション)

シナリオ中に特定の条件を満たすと一時的に【ジツ】値が増加し、PCたちは身の丈以上の強力な力を手に入れる。しかしそれを自在に扱えるかと言うとまた別の話だ。本来の【ジツ】値では扱えないジツを行使する場合に限り、全てのキャラクターには次のペナルティが適用される。NMはこれを取捨的に選択しても良い。

1:特殊な発動ルール:ジツ判定は常に本来の【ジツ】値で行う。本来使用できないジツは発動難易度の下限をHARDとし、「★カトン・マスタリー」など判定不要のジツでも発動判定が必要なものとする。

2:ジツの暴走:本来使用できないジツは「ジツ拡張サイバネ」のように、『ニューロン暴走チャート』による事故が発生するようになる。このとき、【ジツ】へのバフの値だけ「ジツ拡張サイバネ」を装着しているとみなす。

3:未熟な肉体:本来使用できない「タツジン」や「ヒサツ・ワザ」系スキルによる判定は基本難易度がHARDとなり、カコミ系の能力には「2:ジツの暴走」が適用される。事故が発生した場合、拳が裂ける、目から血が流れるなど、肉体の許容値を超えたカラテフィードバックで【体力】に1ダメージを受ける。

※ジツにはソニックカラテなど、特殊な攻撃手段も含む。

◆導入

タマチャン・ジャングルに面する、人里離れたオールド・シュライン。中国地方において発生する原因不明の「ニンジャソウルの不調」を調査する君たちは、やがてこの建物へと辿り着いた。その影響力は近づくほどに強まっている。内部には看過できない厄介事が待ち受けているに違いない。

ニンジャソウルの力を弱める怪現象の中心地。PCは様々な理由からこの場所を訪れる。

例えばソウカイヤ・ニンジャなら調査を命じられた斥候部隊かもしれないし、その調査情報を元に派遣されたチームかもしれない(後者の場合、敢えてジツを持たないニンジャが選抜派遣される可能性もある)。

「中国地方、タマチャン・ジャングル。お前たちに課す任務は、ここに位置するヤクザ事務所の調査だ。ニンジャのジツに干渉する、妙な何かがここで起きている。生きて情報を持ち帰れ」

◆事前調査による情報

冒頭でPCのアイサツやRPが一段落ついたら、NMは任意でダイスロールを行わせる。この結果に応じて、PCたちが事前に調査を行っていたかどうか、どのような情報を把握しているかを判定する。ソウカイヤから派遣されたチームであれば、こうした情報は既にダンゴウで伝えられているかもしれない。

◎ニューロン判定(NORMAL/ハッキング等):人里離れた立地のオールド・シュラインはその実、ゴールデンブッダ・ヤクザクランの事務所として運用されている。オヤブンはケンウェイというグレーターヤクザで、ヤクザからボンズになり、再びヤクザに鞍替えをした過去を持つ。彼にどのような心境の変化があったのかは不明。

カラテ判定(NORMAL/尋問等):人里離れた立地のオールド・シュラインにはボンズだけではなく、ヤクザが出入りしている。また以前、トレーラーがこの事務所に何か大きなものを運び込んだところが目撃されている。PCが知ることはないが、その正体はモーター・ブッダと「黄金ブッダ像」であり、これが中庭に据えられて以来ニンジャソウルへの干渉が始まっている。

「いいか、今日はテメエらでも役に立てる仕事を持ってきてやった。中国地方に行ったことはあるか?行き先はタマチャン・ジャングルだ。ターゲットはこの男、ここにふざけた事務所を構えるケンウェイってヤクザだ。怪しげな企みをしてるフシがある。情報を吐かせて、始末しろ」

◆シナリオマップ

ベース

画像2

用意されているマップは上記の通り、開始地点から進行方向が2ルートに分岐している。【ジツ】に影響するギミックはマップの4隅に配置された「黄金ブッダ小像」の数に応じて負荷が変動するが、必ずしも全ての像を破壊する必要はない。一方向から進むのか、二手に分かれてマップを攻略するのかはPLの自由だ。「黄金ブッダ像」が配置された中庭はボスエリアである。

◇移動に関するルール
今回のマップは新規PCには少しばかり広すぎるため、NMは任意で次のルールを導入して移動の処理を簡素化しても構わない。

1:非戦闘状態のニンジャは自身の【脚力】を無視して移動できる。
2:入室直後に戦闘になる場合、入室後に【脚力】分移動できる。
3:【脚力】を無視して移動する場合、一度の移動で通り抜けられるドアの数は2枚までとする(冗長だと感じるなら、一度通り抜けたドアはカウントしない)。

下記は各部屋の用途を示した簡単な見取り図だ。

見取り図

◆特殊ギミック『ソウル抑制
このシナリオでは「存在する『黄金ブッダ小像』の数と同値だけ【ジツ】値が減少するデバフ」がマップ上の全憑依ニンジャに付与される。(つまり、シナリオ開始時点では全キャラの【ジツ】が-4されている状態だ。)

このデバフにより、【ジツ】値に由来して獲得した★系のジツや●系のスキル、ソウルサマリーのボーナスダイスも一時的に失われる。処理を簡略化するため、「●不屈の精神」などのスキルによる能力値の増減は適用した状態のままにしても構わない。

NMはこれを「体の動きが重い」、「ニンジャソウルが抑圧されているように感じる」など明確な異常として描写を行うことが望ましい。

マップ(ナンバリング)

◆1:廊下(初期配置地点)

暗い木張りの床、左右には黄金招き猫。招き猫の影には、チャカ・ガンを握り見張りにつくリアル・ヤクザの姿が見える。しかし、オールド・シュラインに踏み入った君たちは、これまで以上に強い体の"鈍り"を感じている。この場所でニンジャソウルに干渉する何かが起こっていることは最早疑いようがない。先に進み、この原因を突き止めなくては。

薄い黄色に塗られたマスは、PCたちの初期配置マスである。NMはマップ公開後、PLに自PCをこの中の任意のマスへ配置させる。見張りヤクザは戦闘が始まるか、PCがトレジャーを回収するまで敵の存在に気が付かず動かない。

◎ソウル阻害の察知:NMは随時PCに【ニューロン】判定を促す。成功した場合(もしくは無条件でも構わない)、そのPCはニンジャソウルを抑圧する力の流れが建物の4方「黄金ブッダ小像」の設置された部屋から発せられていることを感じ取る。そしてこの流れは建物の中央部に向かっている。

トレジャー:両サイドに配置されたコモントレジャー「黄金招き猫」は、破壊することで次の「コモントレジャー表」からアイテムを獲得できる。(以降、トレジャーの外見のみ補足を行う。)

◆コモントレジャー表(1D6)
出目1−3:【万札:1】 出目4−5:【万札:2】 出目6:トロ粉末
※トロ粉末はシナリオ終了後の余暇中に【万札:D3】で売却してもよい
◆オプション:取得報酬の調整
プラグイン環境でこのシナリオをそのままプレイすると、3~4人のPCでは報酬がやや乏しい。NMはこの対策として、ランダムなトレジャーから取得できる【万札】を倍にしても構わない。逆に「サツバツ!」のボーナスと併せて多くなりすぎた場合、シナリオ報酬を減らして調整すると良い。
Y1:リアルヤクザ/チャカ・ガン
◆リアルヤクザ/チャカ・ガン (種別:モータル/ヤクザ)
カラテ       2  体力        2
ニューロン     2  精神力       2
ワザマエ      3  脚力        2
ジツ        ー  万札        1
◇装備や特記事項
 チャカ・ガン:遠隔武器、ダメージ1

マップ(ナンバリング)

◆2:応接室

スターン!縦格子の引き戸を開けた先はヤクザの応接間だった。部屋の中央には金細工の木テーブル、その左右に黒い革張りソファがある。さらに奥に続く引き戸が2つ。部屋の隅には桐製のタンスが置かれている。興味を引くが、今は目の前のクローンヤクザボンズ軍団を排除するのが先決だ。彼らはチャカ・ガンを抜いて一斉に立ち上がった! 「「「「「「ザッケンナコラーーーーッ!」」」」」」

便宜上クローンヤクザボンズと称するが、彼らはボンズ装束を着ているだけのクローンヤクザだ。通常のチャカ・ガンを使い、通常のヤクザ・スラングを発する。念仏を唱えることはできない。

部屋に設置された3つのコモントレジャーは「桐製のタンス」である。

C1:クローンヤクザボンズ(Y-10型)
◆クローンヤクザボンズ/Y-10型 (種別:モータル/バイオ生物/ヤクザ)
カラテ       1  体力        1
ニューロン     1  精神力       1
ワザマエ      3  脚力        2
ジツ        ー  万札        0
◇装備や特記事項
 チャカ・ガン:遠隔武器、ダメージ1
 ドスダガー:近接武器、ダメージ1
スターン!スターン!奥の扉が勢いよく引き開けられ、ショットガンを構えた2人のリアルヤクザが部屋へと飛び込んできた!「「ナンオラー!?スッゾコラーーッ!」」

◎増援の登場:クローンヤクザボンズとの戦闘開始から2Tの経過後、待機していたリアルヤクザ(Y2,Y3)が応接室に現れる。

Y2,Y3:リアルヤクザ(ショットガン)
◆リアルヤクザ/ショットガン (種別:モータル/ヤクザ)
カラテ       2  体力        2
ニューロン     2  精神力       2
ワザマエ      3  脚力        2
ジツ        ー  万札        1
◇装備や特記事項
 スダチカワフ・ショットガン:遠隔武器、ダメージ2

扉のハッキング:Y2が登場した通路に侵入するには、難易度:NORMALでハッキングして扉を解錠する必要がある。

マップ(ナンバリング)

◆3:ブッダルームA

スターン!縦格子の引き戸を開けた先は薄暗い瞑想室だった。中央の祭壇には小さな黄金ブッダ像が安置され、周囲のロウソクだけが細々とした明かりを放っている。その正面で念仏を唱えていたボンズは、突然のニンジャのエントリーにNRSを発症した。「ア、アイエエエ!?ニンジャ!?」

『黄金ブッダ小像』が安置された部屋、即ち「ブッダルーム」は全部で4箇所あり、それぞれ右上から時計回りにA~Dと文字記号を振って識別する。

◆ギミックオブジェクト『黄金ブッダ小像』
建物の4隅に配置されたこのオブジェクトこそ、【ジツ】値を減少させる『ソウル抑制』の原因のひとつである。NMはPLへそのことを伝えて破壊を促すと良いだろう。カラテにより『黄金ブッダ小像』が破壊されると、中からは燃えるマキモノが吐き出される。超常の炎はマキモノを即座に跡形もなく焼き尽くしてしまうが、同時にソウルへ超常の力を注ぎ込む。

『黄金ブッダ小像』を破壊するたびに次のような効果が発生する。

1:『ソウル阻害』による【ジツ】値へのデバフ値が1減少する。(開始時点でのデバフ値は-4。像を1つ破壊すると、これは-3に軽減される。)

2:【ジツ】値に+1の一時的なバフが与えられる(永続ではない)。これはディセンション時のソウルブーストに近い現象である。(像を1つ破壊すると、デバフ値の減少と併せて、【ジツ】値は本来の値から-2された状態となる。)

各部屋で念仏を唱えるボンズは実際ヤクザクランとは無関係であり、金で雇われている、脅されている、拉致されて強制されている、などの理由から定期的にブッダ像に念仏を唱えることを繰り返している。大した情報は知らないが、彼はネンブツを捧げるブッダ像に妙な違和感を覚えている。

「わ、私はただ雇われているだけです!ブッダにネンブツを唱えよと!い、いや……話します!その像はブッダのようで、何かが妙なんです。何か肝の冷えるような……まるで、ニンジャ……?ニンジャ!?ア、アイエエ……!」
◆レッサーボンズ (種別:モータル/聖職者)
カラテ       1  体力        1
ニューロン     2  精神力       2
ワザマエ      1  脚力        1
ジツ        ー  万札        0
◇装備や特記事項
 カルマ【善】:殺害するとDKK+1

マップ(ナンバリング)

◆4:電算室

「スッゾコラー!」「アイエエエ!」君が引き戸を開けた途端、待ち構えていたヤクザがチャカ・ガンの引き金を引く!その隣では大型UNIXの前で、小汚い男が頭を抱えている。恐らくは労働を強いられていたハッカーと、お目付け役のヤクザといったところだろう。

ハッキングで扉のセキュリティを破った後、先にこの部屋に入った場合、チャカ・ガンを装備したリアルヤクザとの戦闘に入る。逆に「ブッダルーム」へ先に入った場合、ヤクザはPCの後を追って襲いかかって来る。

この部屋のコモントレジャーは「UNIX端末」である。ここからは固定で、ゴールデンブッダ・ヤクザクランの取引記録が保存された「記憶素子(売却価格:万札5)」を入手することができる。ただしヤクザがPCの後を追うケースでは、ハッカーの男がこの素子を持って逃げてしまう。

◆ハッカーを尋問する
この男は【万札:1】の他、少しだけ違った情報を持っている。尋問を行うと、彼は最近事務所に納品されたモーターヤブのシステムメンテナンスを命じられていることを明かす。(具体的には言語AIの「敵」というワードを「仏敵」にひたすら置き換える作業などだ!)この部屋のUNIXを経由して作業しているため実機の位置は彼にもわからない。

もし「ヤブをハッキングしたい」というPLがいた場合、ハッカーを脅すか難易度:HARDのハッキング判定に成功することで、ヤブの敵味方の識別AIを初期化することができる。これに成功すると、ボスエリアに登場する「モーターブッダ」は敵味方関係なく最も近くの相手を攻撃するようになる。
◆難易度オプション『黄金灯籠マシンガン
ボスエリアに設置されたアンコモントレジャーと灰色のマスは「黄金灯籠」であるが、NMは任意でこれをオムラ・マシンガンが搭載された防衛機構としても構わない。ヤブは敵のままにしておきたい!という場合は、代わりに黄金灯籠マシンガンの情報を出し、この設備を遠隔でシャットダウンすることが可能であるとPLに伝えよう。(実際は難易度に変わりはないのだが、PLは戦略的アドバンテージを得られたと感じるだろう。)

マップ(ナンバリング)

◆5:ブッダルームD

スターン!縦格子の引き戸を開けた先は薄暗い瞑想室だった。中央の祭壇には小さな黄金ブッダ像が安置され、周囲のロウソクだけが細々とした明かりを放っている。その正面で念仏を唱えていたボンズは、突然のニンジャのエントリーにNRSを発症した。「ア、アイエエエ!?ニンジャ!?」

この場所は「ブッダルームA」と全く同じ構造をしている。強いて言うならば、2体のクローンヤクザボンズが隅に正座してボンズを見張っている。

また通路の突き当りにはチャカ・ガンを持ったリアルヤクザが見張りとして待機している。

マップ(ナンバリング)

◆6:ヤクザトイレ

ここはトイレだ。突き当たりには小綺麗な小便器があり、左手奥の個室からは何者かがブッダに念じる声が聞こえてくる。ボンズが鍵をかけ、内側に立てこもっているに違いない

個室のドアロックは【カラテ】か【ワザマエ】で解除することができる(難易度:NORMAL)。立て籠もっているボンズは脱走を企てており、PCが扉の前で思案したり声をかけたりした場合、こちらを追手のヤクザと勘違いしてアンブッシュを試みてくる(回避難易度:NORMAL)。

彼にインタビューすると、ケンウェイが邪悪ブッダ信仰をしているらしいこと、また『ニンジャになる』と吹聴しているという話を聞くことが出来る。

「あの男、ケンウェイは狂っている。サイバーサングラスに隠されているあの目。底なしの暗黒に取り憑かれたあの目を見て、もはや取り返しのつかないことが分かった!何が奴をブッダの道から踏み外させたのか……!」
B6:脱走ボンズ
◆脱走ボンズ (種別:モータル/聖職者)
カラテ       2  体力        2
ニューロン     2  精神力       2
ワザマエ      1  脚力        1
ジツ        ー  万札        1
◇装備や特記事項
 ドスダガー:近接武器、ダメージ1
 カルマ【善】:殺害するとDKK+1

マップ(ナンバリング)

◆7:風呂

君がフスマを開けた先は風呂、ではなく脱衣所だった。「アーレエエエエエ!?」突然のニンジャの出現に、ユカタを半分羽織った姿のオイランが困惑する。騒ぎに慌てて出てきたのか、濡れた髪と上気した肌が艶めかしい。

オイランはターン進行に伴って、現在位置の風呂から扉を隔てた脱衣所へと移動する。

「ヤクザの事務所」と同様、ここでPLに与えられる選択肢は「放置する」「殺す」「確保しておいてシナリオ終了後に売却する(【万札】D6)」の3択に大別されるが、重要なのはこのオイランがケンウェイの女であるという点だ。PCがケンウェイの敵であるとはっきりした場合、もしくは彼女を確保しようとするなど害意を見せた場合、彼女はカンザシを握って拙いカラテで抵抗してくる。

そうでなければ、彼女はケンウェイの抱える闇の一端について少しばかりの情報を漏らしてくれる。これはあくまでもストーリーテリング上の演出であり、NMが特別そうした要素は不要と判断するならカットしても良い。

「ケンウェイ=サンは……ブッダを憎んでいるドスエ」オイランの語るところによると、ケンウェイは人の裏切りを切り離せない人生を送ってきたようだ。観るだけのブッダを憎む彼はしかし、ある日突然奇妙な悟りを開いた。真のブッダとは……ブッダが成すこととは……。

再びヤクザとなったケンウェイは『セイエ
と名乗るボンズと出会い、この事務所を立ち上げた。コガミは『セイエと一度しか対面していないが、どこか恐ろしい雰囲気の人物だったという。カタギではなかったのかもしれない。
◆オイラン『コガミ』 (種別:モータル/オイラン)
カラテ       1  体力        1
ニューロン     2  精神力       2
ワザマエ      2  脚力        1
ジツ        ー  万札        2
◇装備や特記事項
 カルマ:善

マップ(ナンバリング)

◆8:ブッダルームC

スターン!縦格子の引き戸を開けた先は薄暗い瞑想室だった。中央の祭壇には小さな黄金ブッダ像が安置され、周囲のロウソクだけが細々とした明かりを放っている。その正面で念仏を唱えていたボンズは、突然のニンジャのエントリーにNRSを発症した。「ア、アイエエエ!?ニンジャ!?」

状況はここまでの「ブッダルーム」とほとんど変わらない。ただ1体のクローンヤクザボンズが隅に正座してネンブツを唱えるボンズを見張っている。またこの部屋のコモントレジャーは「ブディズムの絵カケジク」であり、シナリオ終了後に【万札】2で売却ができる。

マップ(ナンバリング)

◆9:ブッダルームB

スターン!縦格子の引き戸を開けた先は薄暗い瞑想室だった。中央の祭壇には小さな黄金ブッダ像が安置され、周囲のロウソクだけが細々とした明かりを放っている。「何処のテッポダマだっコラーッ!?」しかしそこに居たのはボンズではなく、法衣を着たヤクザボンズとクローンヤクザだった!

状況はここまでの「ブッダルーム」とほとんど変わらない。ただしここでネンブツを唱えているボンズはヤクザボンズ(頭は丸めていない)であり、ブッダ像の傍に控えるクローンヤクザと共に侵入者を待ち受けている。

◆ヤクザボンズ (種別:モータル/ヤクザ)
カラテ       2  体力        2
ニューロン     2  精神力       2
ワザマエ      3  脚力        2
ジツ        ー  万札        1

◇装備や特記事項
 聖職者カスタムチャカ・ガン:遠隔武器、連射2、ダメージ1

マップ(ナンバリング)

◆10:ヤクザキッチン

ここはボンズたちが用いる共用キッチンのようだ。簡素な調理設備が整えられており、部屋の隅には大型冷蔵庫が置かれている。

この場所コモントレジャーは「大型冷蔵庫」であり、中には持ち運び不可の「オーガニック・スシ」と「トロ粉末」が1つずつ入っている。既にPCがジツを惜しみなく行使している場合、代わりに全員分の「トロ粉末」があるとしても構わない。

マップ(ナンバリング)

◆11:仮眠室

引き戸の先は畳にフートンが敷かれた部屋であり、疲れ果てたひとりのヤクザボンズが熟睡していた。恐らくは仮眠室なのだろう。部屋の隅にはタンスがあり、その上にはダルマが置かれている

この部屋のコモントレジャーは「桐製のタンス」である。疲れ果てたヤクザボンズは何をしても目を覚まさず、殺せば【万札】1をドロップする。

ヤクザボンズを殺さない状態でトレジャー回収を行う場合、彼はうわ言でマキモノ倉庫のロックパスコードをつぶやく。

「うう……オヤブン……正気に戻ってくだせぇ……。マキモノ……パスコードは7、6、3……」

マップ(ナンバリング)

◆12:マキモノ保管庫

ここはマキモノを収めた保管倉庫だ。棚には様々なブディズム関連のマキモノが置かれている。もしかすると貴重な品が見つかるかもしれない。

この部屋に入るには難易度:HARDのハッキングでロックを破るか、仮眠室でパスコードを入手している必要がある。ハッキングに失敗した場合、ファイアウォールの防衛機構が反応し、侵入者の【精神力】に回避不可の1ダメージを与える。

この部屋のコモントレジャーは「謎のマキモノ」である。

◇イベントアイテム:『謎のマキモノ』
『黄金ブッダ小像』の中に仕込まれた物と同じマキモノ。エンシェント・カンジらしき謎の文字が羅列している。NMはこのマキモノから不吉な予感がする、吸い込まれるような気配がするなどとPLに警告を促す。

不注意にもこのマキモノを開いて調べるなら、難易度:U-HARDで【ニューロン】判定を行う。判定に失敗するとそのPCはニューロンの裏側を引っ掻くような不吉な囁きに【ジツ】値を1奪われ、永久に失う。このアイテムはシナリオクリア時、証拠品として提出することでボーナスを得られる。

マップ(ナンバリング)

◆13:大門

「「ドッソイオラー!」」中庭に繋がる大門の前には、黒瑪瑙の数珠を首から掛けた2人のスモトリヤクザが待ち受けている。

ボスエリアに侵入するには、2人の門番を始末しなくてはならない。この場所のコモントレジャーは「ブディズムの絵カケジク」であり、シナリオ終了後に【万札】2で売却ができる。

◆スモトリヤクザ (種別:モータル/ヤクザ/スモトリ)
カラテ       3  体力        4
ニューロン     1  精神力       2
ワザマエ      2  脚力        2
ジツ        ー  万札        1
◇装備や特記事項			
スキル:『突撃』

マップ(ナンバリング)

◆14:中庭(ボスエリア)

君たちが大門を押し開けると、巨大な黄金ブッダ像を前にネンブツを唱えていた黒いボンズ装束のヤクザ2人は聖職者拳銃を引き抜く。「ニ、ニンジャ!?まずいぞオヤブン!」「ザッケンナコラーッ!?ニンジャが何だコラーッ!」啖呵を切るグレーターヤクザ、ケンウェイの片腕は黄金のテッコに置換され、その表情は黄金のサイバーサングラスに覆い隠されている。

PCがボスエリアに侵入したとき、ここにはケンウェイとリアルヤクザ/チャカ・ガン以外の敵は存在しない。しかし一行がアイサツを終えたとき、ケンウェイの叫びに合わせて更に「モーターブッダ」がPOPする。

◆グレーターヤクザ『ケンウェイ』 (種別:モータル/ヤクザ)
カラテ       3  体力        3
ニューロン     3  精神力       3
ワザマエ      3  脚力        3
ジツ        ー  万札        5
近接攻撃D:4、射撃D:7	
◇装備や特記事項
 聖職者拳銃:遠隔武器、連射2、ダメージ1
 黄金テッコ:近接攻撃D+1、回避D+1
 黄金サイバーサングラス:あらゆる【ワザマエ】判定D+3、遠隔攻撃D+1、回避D+1
「ブッダの威光に震えやがれ!ヒカエオラー!」ケンウェイが数珠めいた黒瑪瑙の埋め込まれた黄金テッコを掲げるやいなや、中庭を地揺れが襲う。そして……おお、ブッダ!中央に据えられた黄金ブッダ像が……立ち上がろうと言うのか!?

否!懸命なるプレイヤー諸君であれば、既にお気づきのことであろう。地中から巨大な黄金ブッダ像を押し上げ、身をもたげようとしているのは他でもない、オムラ社のモーターヤブである!地中に収納されたロボ・ニンジャと黄金ブッダ像は一体化しているのだ!何たる冒涜的ブッダ概念存在か!

「ドーモ、モーターブッダです。仏敵を、排除、します」

モーターブッダはマップ上に存在していた「黄金ブッダ像」そのものである。POPと同時に「黄金ブッダ像」をモーター・ブッダと置き換える。「射撃専念」は適用されないがモーター・ブッダは基本的に移動せず、ヘイロー・ミサイルとホーリー・マシンガンを交互に使用する。

モーターブッダが破壊されたとき、「黄金ブッダ像」としてその場に残る。すべての「黄金ブッダ小像」を破壊していた場合、おそらくは1~2ターンの間にスクラップにされる運命だろう

◆モーターブッダ (種別:戦闘兵器)
カラテ       6  体力        12
ニューロン     3  精神力       ー
ワザマエ      6  脚力        3
ジツ        ー  万札        5
◇装備やスキル
 ホーリー・マシンガン:遠隔武器、連射3、ダメージ1
 シャク・スティック:近接武器、ダメージ2

 ヘイロー・ミサイル:遠隔武器、連射3、マルチターゲット、ダメージ1(十字に爆風)、重火器
 ブッダレーザー:遠隔武器、シナリオ中1度まで、ブッダ像の両眼から「ヒカリ・ジツLv3」を放つ。

 戦闘兵器:このルールを持つキャラに「カナシバリ・ジツ」などの精神攻撃は作用しない。

この場所のアンコモントレジャーは「黄金灯籠」である。

◆アンコモントレジャー表(1D6)
出目1−2:【万札:3】 出目3−4:【万札:5】 出目5−6:下表
 1:サイバネアイ
 2:ウイルス入りフロッピー
 3:ZBRアドレナリン注射器
 4:*キーボード・オブ・ゴールデン・エイジ*
 5:*マキモノ・オブ・シークレット・ニンジャアーツ*
 6:**ボンサイ・オブ・ダークネス**

また「◆4:電算室」のオプションを採用する場合、アンコモントレジャーとマップ上の灰色マスのうち任意のマスを「黄金灯籠マシンガン」に置き換えても構わない。

◆黄金灯籠マシンガン (種別:戦闘兵器)	
カラテ       ー  体力        1
ニューロン     1  精神力       ー
ワザマエ      4  脚力        ー
ジツ        ー  万札        0

◇装備やスキル
 ホーリー・マシンガン:遠隔武器、連射3、ダメージ1
『仏敵を排除、ドスエ』カコーン!カコーン!中庭の四隅から合成マイコ音声が響くと同時に、音を立てて黄金灯籠が変形する。そこから突き出し現れたのは、オムラ・インダストリ製の重機関砲の銃口である!

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◇パワー・オブ・ダークブッダ

「アバーッ!アババーッ!ハハハ!まだだ、俺は…!セイエ=サン!俺は…!アバッ!ニンジャに!」ケンウェイは全身から血を吹き出し、崩れ落ちた。

ケンウェイは重サイバネではないためニンジャの攻撃に回避が行えず、大抵の場合はカトン・ジツなど範囲攻撃に巻き込まれて直ぐに死んでしまうだろう。しかし彼は死んでから1D3ターン後、もしくはモーター・ブッダが破壊されたとき、憑依ニンジャとして蘇る(このターン設定はNMの任意で調整して構わない)。

「ナァグ……ナァグ……」その時!地に伏していたケンウェイの死体が、人ならざる動きで起き上がった。黒化したテッコが暗黒の腕と化し、溶融したサイバーサングラスが顔を飲み込み無貌の暗黒メンポを生成する。これは……ニンジャ!「0ーオ0ー…オブザー0ヴァー……」
◆オブザーヴァー (種別:ニンジャ)	
カラテ       5  体力        5
ニューロン     4  精神力       7
ワザマエ      4  脚力        3
ジツ        3  万札        5
回避D:4、近接攻撃D:6、射撃D:4
◇装備や特記事項
 『暗黒の腕』:近接攻撃D+1、回避D+1
 『暗黒メンポ』:【精神力】+3、回避D-2

 『ノロイ・ジツ』:
  『マインドブラスト・ジツ』と同じ効果を持つ。ただし射程は5マス、対象は敵1体となる。
  このジツにダメージを受けた相手は、次のターンに獲得できる「回避ダイス」が-1される。

 『墓暴きの虫』:
  難易度HARDでジツ判定を行う。判定に成功した場合、成功したダイスの数と等しい数だけ
  シナリオ中に死亡したNPCに『影のカビ』特性を付与し、視線の通る任意の場所に蘇らせる。
  ただし一度に蘇生できるNPCの数は【ジツ】値-3が上限となる。

 『シユチユロ』:???
『影のカビ』:付与されたNPCの【体力】を+1(戦闘兵器の場合、元の値を半減。端数切り上げ)し、【脚力】を半減(端数切り上げ)させ、ズンビーめいて蘇らせる。この特性を持つNPCは術者が倒されるか、1ターンに現在の【体力】上限の倍のダメージを受けるまで、【体力】が0以下に陥っても単に『行動不能』となり、次ターンの終わりに自動的に蘇る。
『シユチユロ』:オブザーヴァーは爆発四散する状態になると『チュウチュウ』と鳴く影蟲の姿へ砕け散り、闇に逃れる。そして攻撃者の手番が終了すると、すべてのステータスを回復させた状態で任意の場所へと再POPし、自動的に『墓暴きの虫』を発動させる。

オブザーヴァーは作為的なディセンションを成し遂げた歪んだ存在である。自我は崩壊し、言語能力も喪失しているこのニンジャは欠損したソウルを補うため、あらゆるニンジャに見境なく襲いかかる。(欠損したソウルでは「サヨナラ!」も言えず、死ねばただ肉体が粉々に砕け散る)

また当然ながらオブザーヴァーも『ソウル阻害』関連のルール適用対象であり、「黄金ブッダ小像」を破壊してPCが強くなっているほど、オブザーヴァーも【ジツ】値が上昇して強くなる(最大【ジツ】値は7)。

◇サマリー:『影のカビ』を操る
この特殊なエネミーは際限なく増える厄介な存在であると同時に、薙ぎ払う爽快感のある”ザコ敵”であることが望ましい。したがってNMは細かい整合性は気にせず、クローンヤクザを複数体一箇所に固めて出現させたり、黄金灯籠マシンガンを優先して傀儡化したりと、なるべく倒しやすい敵を倒しやすい位置に出現させると良い。そして基本的な攻撃は射撃に限定し、同一種類のザコ敵からの攻撃は全て「まとめて回避」が可能とすることで事故のリスクを低減しよう。

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◇暗黒ブッダ像

ブッダ……!おおブッダよ!慈悲はないのですか……?ソウカイニンジャたちは黒煙をあげるモーターヤブを見る、巨大なブッダ像を見る。ニンジャのジツを無数に浴びたブッダ像の黄金はいつの間にか黒化し、その顔はイクサの余波により無貌と化していた。抉り取られた暗黒ブッダ像の顔の中心部には、何らかのレリックと思わしき黒瑪瑙が怪しげに光る……。

オブザーヴァーがPOPするタイミングで、「黄金ブッダ像」は顔のない「暗黒ブッダ神像」に入れ替わる。その顔面に埋め込まれた黒瑪瑙こそ、オブザーヴァーとPCに注がれている強力な【ジツ】の源だ。燃えるマキモノ(いわば逆「マキモノ・オブ・シークレット・ニンジャアーツ」)でバイパスし"横領"したオヒガンの力を黒瑪瑙から豊受する。ここで行われていたのはそうした邪悪なニンジャ儀式だった。

◆ギミックオブジェクト『暗黒ブッダ神像』
レリックが破壊されない限り、オブザーヴァーは『シユチユロ』によって無限に再生し続ける。NMは任意のタイミング(目安はニンジャの出現から1ターン経過程度)で描写を行い、黒瑪瑙の存在と効果の仄めかしをPLに伝えて構わない。PCが「暗黒ブッダ神像」を攻撃し黒瑪瑙を破壊したとき、次のことが起きる。

1:『ソウル阻害』によるデバフが消滅する。
2:「黄金ブッダ小像」の破壊による【ジツ】の一時的なバフが消滅する。
3:オブザーヴァーの『シユチユロ』の効果が恒久的に消滅する。
4:(オプション)何処からともなく『グワーッ!』という悲鳴が聞こえる。この忌むべき企みの背後には、何らかのニンジャ存在が居た!
5:(オプション)オブザーヴァーに不利な効果が発生する。発動中のジツの効果が全て消滅する、回避ダイスが一時的に回復しなくなる、など状況に応じて演出上適切と思われる任意の効果を発生させる。

黒瑪瑙が砕け散ると「黄金ブッダ小像」に内包されるマキモノも力を失い燃え尽きてしまう。

『黒瑪瑙が弱点である』ことを開示すれば、以降はイベント戦闘のような形態になることが予想される。NMはPCが行使できるジツの種類や行動宣言に応じて、適時描写や『影のカビ』の行動パターンを変化させると良い。

◇描写、イベントの例
・レリックを守ろうと『影のカビ』やオブザーヴァーがブッダ像の周囲に出現・集合し壁となる。しかし強力な範囲攻撃が彼らごとレリックを一網打尽に吹き飛ばす。

・上限値を超えた大量の『影のカビ』がPCの周囲に出現し、一斉に襲いかかる。PCはそれを飛び越え(もしくは無力化し)、レリックへと鋭い一撃を叩き込む(カラテチョップ、スリケンなど何でも構わない)。

・影蟲がPCたちの足元から湧き出し、その体を乗っ取ろうとする。PCは強化されたカラテやジツでそれを振り切り、レリックへと向かう。

◆終幕

『ヒヨッコ共が随分と派手にやってるじゃねぇか。一体どういうわけだ?後始末のためのソウカイヤクザを送った。テメエらはとっとと帰ってこい。聞きてぇことが色々あるからなぁ……モタモタしてたらブッ飛ばすぞ』

ボスをすべて倒した時点で、このシナリオは終了となる。「ヤクザの事務所」のようにIRCで引き上げ命令をくだされる、場合によっては遠くから近づいてくるニンジャ存在(ニンジャスレイヤーだ!)を察知して自主的に撤収するといった具合だ。

最後に部屋14のトレジャーを回収することはできるが、無慈悲なNMはその直前に『Wasshoi!判定』を行っても構わない(ボンズ殺しでかなりのDKKが蓄積されている可能性がある)。

◇報酬

このシナリオでは基本報酬に【万札】が含まれておらず、もしPCたちが探索を疎かにしていた場合はかなり実入りの少ない任務となってしまう。

NMは状況に応じてボーナスを基本報酬に読み替えたり、トレジャーの回収状況を見ながら金額を調整し、(プラグイン環境を前提として)おおよそ平均的な収益が【万札】20~30程度に収まるようにすると良い。

もちろん、PC達が想像以上にドラマチックな活躍をした場合はこの限りではない。

基本報酬:余暇4日
ボーナス:『謎のマキモノ』を回収していた場合、全員に【万札】10~20

◆難易度調整オプション

PCの人数や個々の強さ、選択したジツの種類によってはボスとの相性が悪く非常に苦戦してしまう可能性も考えられる(例えば、全員がカナシバリ・ジツを選択しておりロボと相性が悪いなどだ)。そんな場合はボス戦の直前にでもパーティーの状態を確認したうえで、次のようなオプションを任意で導入すると良いだろう。

◇ヤクザの人数を削減する
「PCが少ない」、「ステータスが平均して低い」という場合は要所でクローンヤクザやリアルヤクザの人数を間引きする。(例:応接室のクローンヤクザを4体にする。スモトリヤクザを1体にする。リアルヤクザとクローンヤクザが同時に参戦するケースではどちらか片方をマップから消す。)
◇モーターブッダの弱体化、ダメージソースの用意
対ロボニンジャの火力が不足している場合、【体力】を半減する。あるいは「黄金灯籠マシンガン」をその場でハッキング可能にする、固定砲台としてジャックしその場で射撃武器扱いとできるようにする、など何らかの手段でダメージソースが確保できるようにする。

PCが「カナシバリ・ジツ」を持っている場合、ケンウェイを操り人形として攻撃させるようPLに助言しても良いだろう。この場合、操り人形で同士討ちを仕向けられた対象をモーターブッダの攻撃対象(ランダム選定)としても構わない。
◇ボス戦の簡略化
モーターブッダとの戦闘でPCが酷く消耗している場合、後半のオブザーヴァー戦をカットする。代わりにモーターブッダの【体力】が1~2まで低下した段階で、ロボ・ニンジャが『墓暴きの虫』を使い始めたかのような描写を行う。そしてその超常の力の流れを追うPCは、その原因(弱点)が本体ではなく黒瑪瑙のレリックであることに気がつくのだ。これが破壊されたとき、ケンウェイのニンジャ化は阻止され戦闘は終了する。

「ピッ……ピガッ!仏敵、排除、ハイジョ、ハイ……ジョ……ナァグ……ナァグ……」火花を散らすロボ・ニンジャが奇妙に痙攣すると、全身の開口部からぞわぞわと影のような、蟲のような存在が無数に這い出始める……。
◇オブザーヴァーの強さを調整する
オブザーヴァーにはデフォルトで『暗黒メンポ』により【精神力】にバフが、「回避ダイス」にデバフが与えられている(これは彼が盲目であることのデータ上の表現だ)。PCの人数やジツの組み合わせによってはこの数値を調整し、精神力ダメージで倒しやすくしたり、攻撃を命中しやすくしたりすると良いだろう。勿論その逆を行うこともできる。
◇『墓暴きの虫』の効果を調整する
【精神力】や範囲攻撃できるPCが限られていて大群への対処が難しいような場合、パーティーが戦いやすく『墓暴きの虫』の効果に手を加えてみても良いだろう。以下は組み合わせを想定した幾つかのアイデアだ。

・『墓暴きの虫』の発動時に、出現数と同じ数だけ回避ダイスを減らす。

・『影のカビ』は出現したターンには行動できないものとする。

・『影のカビ』はジツから2倍のダメージを受けるものとする。

・本体がジツにダメージを受けたとき、存在する全ての『影のカビ』も連鎖して1ダメージを受ける。

・『シユチウロ』が発動したターンには、移動と『墓暴きの虫』以外の能動的な行動ができないものとする。

・任意の数の『影のカビ』の【体力】を0にする代わりに、等しい値だけオブザーヴァーの【体力】が上限を越えて増加する使用法を追加する。

・『墓暴きの虫』の効果を次のように変更する:発動時、術者と『影のカビ』を除くマップ上の全てのキャラクターに影蟲が自動的にダメージを与える(ダメージ1、回避ダイスダメージ1、回避難易度:NORMAL)。影蟲に殺されたキャラクターは『影のカビ』として復活し、術者に操られる。

◆シナリオフック

このシナリオは(この手のお決まりだが)幾つかの謎を残したまま終了する。これは単に物語の雰囲気作りのためだけに用意されたものであったり、PCが特に知る必要のない情報であったりするが、その後のキャンペイグンシナリオへのフックとしても利用することができる。


怪僧セイエ:ケンウェイに接触した謎のボンズ。彼の正体がニンジャかどうかは分からない。黒瑪瑙のアーティファクトを介し、ニンジャソウルに注ぎ込む超常の力の"蛇口"を調整する方法を模索していた。彼は再び同じような実験を繰り返すか、次のステップに進もうとする。もしくはPCに興味を持って、実験材料にしようと密かに干渉してくるかもしれない。

オブザーヴァーのニンジャソウル:ケンウェイは作為的なディセンションによりニンジャと化したが、憑依したニンジャソウルは不完全だった。分かたれたソウルの片割れは何処に向かったのか?また、オブザーヴァーの歪んだニンジャソウルはおとなしくキンカク・テンプルへと戻っていったのか?酷似したジツを行使しニンジャソウルを貪り食う、恐ろしいニンジャ事件が発生するかもしれない。

黒瑪瑙の欠片:砕け散ったレリックが必ずしも完全に力を失っているとは限らない。回収したソウカイヤクザのニューロンへ忍び込むバックドアとなっていたり、分析を命じられたリー先生のラボでズンビーニンジャたちに予想だにしない影響を及ぼしたりするかもしれない。

謎のマキモノ:回収されたマキモノは超常の力が込められておらず不完全だが、学問的に読み解くことはできる。そしてソウカイヤにおけるその適任者はダークニンジャだろう。今後、彼が暴いた邪悪ニンジャ儀式に関する調査を命じられることがあるかもしれない。あるいは酷似したマキモノが既に市場に流通しており、バンディットなど斥候ニンジャがその出処を突き止めようとしているかもしれない。

(一例として、別のファンメイドシナリオとは意図的にシナリオフックで関連性を持たせており、少し改変すれば地続きでプレイすることもできる。)



◆忍◆ ニンジャRPG名鑑#XXX 【ケンウェイ】 ◆殺◆
ゴールデンブッダ・ヤクザクラン(その実、ダークブッダ・ヤクザクラン)のグレーターヤクザ。彼が執り行っていた暗黒ニンジャ儀式の背後では、怪僧セイエが糸を引いていた。
◆忍◆ ニンジャRPG名鑑#XXX 【オブザーヴァー】 ◆殺◆
暗黒に魅入られたヤクザボンズ、ケンウェイに歪んだニンジャソウルが憑依。憑依ソウルに由来しない影蟲のジツを行使し、欠損したソウルを補おうと無差別に襲いかかる危険な自我喪失ニンジャ。
◆忍◆ ニンジャRPG名鑑#XXX 【モーターブッダ】 ◆殺◆
顔のない巨大な暗黒ブッダ神像とモーターヤブが融合した反ブッダ的冒涜デーモン存在。神像のレリックからオヒガンの力を引き出し、超常のニンジャアーツを放つなど、ロボ・ニンジャとして謎が多い。

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