物事につまずいた時こそ、環境を見直すチャンス


現在いろいろな団体において、社会を明るくするための運動が行われています。しかしこれらの社会運動が盛んになったとしても、個々の家庭が明るくならなければ、見せかけだけの表面変化といえるかもしれません。
それは「生活環境」という基盤の上に「社会環境」が存在していると考えられるからです。すなわち家庭が善くならなければ、本当に明るい社会を築くことはできないといえるでしょう。
昔から、「他者を変えることは非常に難しい」と言われるように、人が集う環境においても同様のことがいえるのではないでしょうか。他者が介入して生活環境を改善しようとしても、なかなか難しいことが多いようです。
そこで今回は“生活環境”をテーマに上げ、いくつかの側面から提案していきます。読み進めていく中で、何か浮かんできたことがあれば、行動に移してみてください。その取り組みは、自分自身の心境を磨くと同時に、生活環境までも改善されていくことを実感できることでしょう。
生活環境の改善には、長い時間がかかります。しかし、起こした行動が個々人の生活だけでなくいつしか「社会環境」までをよりよくしていく行動であることを、体感していただけたら幸いです。


目次

1、住んでいる環境を整える
  1)挨拶を交わす
  2)部屋の清掃
  3)周囲のものを磨く
  4)空間を輝かせる工夫
  5)区切りをもって、完結

2、動くことで変化は訪れる

3、最後に



1、住んでいる環境を整える


住んでいる住環境を整えることから始めていくことが、一番確実で効果を得られることは、多くの方々が実感していることかもしれません。
二世代、三世代、多世代家族で住んでいる方も、兄弟夫婦や親類夫婦がまとまった大家族で住んでいる方も、お父さん、お母さん、子供からなる核家族で住んでいる家族や、父子家庭・母子家庭といった家族もありますし、一人暮らしをしている方もいることでしょう。このように家庭や家族のありかたは多種多様といえます。その中で共通しているのは“住環境”です。
その住環境には、代々受け継がれてきた住宅に住む家族もいますし、新築を建てる家族もいるでしょう。また賃貸物件で生活をしている家族もいることを考えると、それぞれに違うとの認識を持つ方もいるかもしれませんが、ここで取り上げたい内容は「暮らし始める時に感じた心境」に注目します。
代々受け継がれてきた住宅については「刻まれてきた想いを継承していく心境」も含まれると考えられますが、新築や賃貸などの新天地で生活を始めた家族にも共通することは、多くの夢や希望とともに生活を始めたことです。さらに、就職や結婚、仕事の関係等により、新たな住環境で決意固めたり目標設定をしたりした方もいるかと思います。
つまり、私たちの住環境には「夢」や「希望」、「新たな決意」や「目標設定」をするなど、今後の成功を掴み取るための拠点としての働きを担う場所となります。
そしてその拠点は私たちの心を癒し、体を休める場所としての役割を持ちますので、将来的な成果にも影響を及ぼしてくると考えられます。
すると、住環境を“より善い状態”に保つということは、私たちが掲げた「夢」や「希望」を掴むための行動として取り上げる意味合いが見えてくるのではないでしょうか。
また、住環境だけでなく敷地内に庭がある家庭においては、花に、葉に、木に、土に、常に気を配って水をやり、肥料をやり、日光が当たるようにしたり、時には日を当てすぎないようにしたりして環境を整えていくことにも視野を向けることが大切になってきます。
では反対に住環境が荒れてくるとどのようなことが起こるでしょうか。先に上げた「夢」や「希望」の実現には程遠くなるどころか、私たちの心の中も荒んでいくものなのです。

例えば、住宅の内も外も全く掃除をせずに、障子もあちらこちらが破れ、床の間やテーブルなどホコリだらけで、玄関には履物が脱ぎ捨てられ散乱している状態であるとどうなるでしょうか。おそらく、そのような環境に住んでいるだけで心が尖り、潤いをなくし、笑いと喜びを失った生活に陥る傾向が強くなることでしょう。
職場環境においても同様のことが当てはまります。例えば、床屋さんがハサミやカミソリ、バリカンなどの道具の手入れを怠ると、すぐに錆が出て切れ味が悪くなり、クレームがでるだけでなく店は衰退してしまいます。
商品を販売するような店舗では、店主が陳列棚の管理を怠れば、パッケージは色あせて、売れないどころか手にとってもらえなくなるかもしれません。たとえ、商品の管理が完璧でも、外から店内が見える窓ガラスが曇っていれば、せっかくの商品の良さは伝わらないものになってしまうことでしょう。
これらは例え話ですが、実際に陥るかもしれない状況をイメージすると、私たちの周りにある環境は、私たちにより良いものをあたえてくれる場合もあれば、悪い影響を与えることもあると捉えることができます。
社会や地域の活性化はとても素晴らしい働きかけです。しかし私たちを支える家庭や職場環境が乱れていれば、社会環境の改善など夢のまた夢として遠い空想と化してしまいそうです。
まずは、私たちを支えてくれている「生活環境」の改善から、取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。小さなことや、当たり前のことばかりかもしれませんが、意識的に取り組むことが重要です。その結果、見えてきたり、気がついたりすることが増えてくることでしょう。

1)挨拶を交わす


同居する人や家族がいる場合、挨拶を交わすことは当たり前のことと考えるでしょう。しかし中には、家族であるから気恥ずかしいと感じたり、面倒と感じたりしてしまう人も多くいるようです。
また、朝は忙しいからと顔も洗わずにキッチンで調理をし始めたり、テーブルで新聞を読み始めたり、テレビと睨めっこしたりする人も中にはいるそうです。
朝はサッと起きて、顔を洗ってさっぱりしたら、爽やかな挨拶を家族間で交わしたいものです。お互いにとって素晴らしい1日になるように願いつつ、顔を合わせて笑顔で挨拶をするところに、家族の絆が深まっていくことでしょう。
もし一人暮らしで挨拶をする相手がいない場合は、顔を洗ってさっぱりした後に、鏡に映る自分に向かって挨拶をしてみてはいかがでしょうか。また就寝前に「お疲れ様でした。おやすみなさい」と自分自身を労う言葉をかけてあげることで、ぐっすりと眠れると同時に自信をつけることに繋がります。

2)部屋の清掃 


部屋の掃除を喜んでする。ホウキを持って、または掃除機を持って隅々まで綺麗にしましょう。そして固く絞った雑巾で綺麗に拭きあげましょう。
共働きで家を朝から空けている家庭が増える中で、毎日の清掃は難しいと考えている方もいらっしゃると思います。そんな場合は、場所を決めて清掃に取り組んでみてはいかがでしょうか。玄関の掃き掃除、階段手摺の雑巾掛け、トイレの清掃、床の間の雑巾掛け、テーブルの雑巾掛け、食器洗いや拭き上げ等々あげられます。日常のほんの些細なことかもしれませんが、毎日場所を決めて少しずつ取り組んでみてはいかがでしょうか。
家の中を綺麗に清掃することは、心の清掃をすることと同じです。昨日までの心配事や腹立ちなども綺麗にはきだして、拭きあげてしましましょう。

3)周囲の物を磨く


部屋の清掃を進めていくと、周囲にある家具や備品が気になり出します。部屋が綺麗に保たれると、その空間にある物の汚れが際立ってくるものです。
各々に清掃方法の違いがあったとしても、細かなところまでホコリを落として乾拭きをすることで、家具のひとつひとつが輝きを増してくる感覚を感じられます。
私たちの生活を豊かにし、便利な生活を助けてくれる家具や備品は、生活の中で生み出されたひとつひとつの商品です。作り手の生命が注ぎ込まれた物を、私たちのパートナーとして大切に磨き上げていきましょう。

4)空間を輝かせる工夫


空間が清浄に保たれると、とても清々しい気持ちになることでしょう。そしてその空間に、工夫をひとつ加えることで、心に豊かさや潤いが訪れます。
例えば、床の間や玄関に生け花を添えてみたり、リビングのテーブルに一輪の花を飾ってみたりと、日常生活に少し色彩を加えてみてはいかがでしょう。
同居人がいる場合は、人が集まるエリアに彩りを添えるのもひとつの方法です。飾り付けを行う人は色彩を考え、選択することの楽しみを持つことができます。また、そのものをみた人は、心に豊かさを感じることができるかもしれません。

5)区切りをもって、完結


私たちは少なからず、やり始めたら止まることができずに「もう少し」という思いが出てくるようです。先ほど提案した“清掃”についても注意すべき点です。
これは “やめられなくなる”といった現象で、私たちの心の中には、清掃をすることで周囲が綺麗になっていくと快感を覚え、その快感をもっともっとと追い求めてしまう傾向があります。そうなると、次々に行動範囲を広げすぎて収拾がつかなくなってしまうといった現象も引き起こす原因ともなります。これが要注意です。
過去に区切りを決めなかったが為に、清掃エリアを徐々に広げて収拾をつけることが出来なった経験をしたことのある方も少なくないのではないでしょうか。
だからこそ注意しなければならないのが“区切り”なのです。やりすぎてしまったがために、次に決めていたことが出来ないとなっては本末転倒です。あらかじめ清掃する場所や、内容を決めてから行動するように意識してみてはいかがでしょう。

2、動くことで変化は訪れる


今回は5種類の取り組みを取り上げてきましたが、細分化するとこによってもっと多くの取り組みが考えられそうです。身近にある当たり前のことと感じられるようなことほど動いてみるといいと思います。
取り組み続けた先には、新しいことに気がつく自分があらわれるでしょう。その気づきを逃さずに、次の行動に加えてみてはいかがでしょうか。少しの取り組みで“住環境”が整い、清浄化されていきます。そして目に見える現象が起き始めることを感じていただけることでしょう。
長期的なものになるかもしれませんが、互いに励まし合い、労わりあうような心遣いが自然に現れてきます。さらに、豊かな潤いのある心が作られると同時に、明るい声を掛け合う姿や笑い溢れる“和”を感じさせる繋がりが、家庭内をはじめとした人間関係に作られてくることでしょう。

3、最後に


今回は“環境”ということを取り上げてきました。動き続けることによって自分の視野が広がってくることに気がつかれることでしょう。これまで気がつかなかったことであったり、新たな閃きであったり、アイディアが湧いてきやすくなる現象が、延いては「職場環境の改善」にも繋がっていくことでしょう。
そうした現象のひとつとして、自宅で行なっていた清掃を、職場内でもやってみようかという意識が働くことが考えられます。以前から職場の清掃をしているという方においては、これまで意識の向かなかった場所が気になりはじめたり、他者のためにと考えて動くようになっていたりしているようです。
そうした変化を自分自身で認識ができない場合は、1日の終わりに“自らの行動を振り返って観る”時間を設けてみてはいかがでしょうか。必ずこれまでにない自分に出会えるでしょう。または、家族や周囲の同僚や社員の言葉に耳を傾けることでも、何らかの変化や反応を感じることができるかもしれません。
目標を大きく持ち、視野を広げようとすることはとても素晴らしいことです。しかし私たちの住む環境が散乱していては、力が発揮されないばかりか悪影響さえ与えかねません。まずは明るい生活環境の創造から始めてみてはいかがでしょうか。


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