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クーデターでも暴動でもない、日系企業に最も打撃を与えたのは空港封鎖

 パンタミットが2008年11月25日、一国の玄関口であるスワンナプーム空港をとうとう封鎖した。タクシンの傀儡(かいらい)と呼ばれたサマック政権が空中分解したものの、その後に立ち上がった義弟のソムチャーイによる政権はなかなか倒れなかった。その風貌から、在タイ日本人にはサマックはガマガエル、ソムチャーイはダメおやじと呼ばれていたが、ソムチャーイは意外にもしぶとかった。パンタミットは、首相府や官公庁が集中するラーチャダムヌン・ノーク通りでの座り込みでは埒が明かないと判断。スワンナプーム空港を封鎖するという暴挙に打って出た。
 
 パンタミットは空港に着くと、出発ロビー前にお決まりのトラックを横付けにして、その荷台を仮設舞台に。何百人というデモ参加者はゴザやビニールシートを敷いて、早々に座り込みを始めた。建物内への侵入は初日こそ遠慮気味だったが、2日目からは堂々としたもの。搭乗手続きカウンター周辺に雑魚寝し、手のひらの形をしたパタパタや国旗色をあしらった商品など、いわゆる「パンタミット・グッズ」を売り始めた。その辺りのコンセントを勝手に使用、携帯電話端末を何台も繋げられる充電セットも設置している。

チェックインカウンター前で雑魚寝

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