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【セカイは今】まだ工事…?リオ五輪の“遺産”は

地球の裏側、リオデジャネイロからの企画です。
メイン会場となった、オリンピック公園では大会直前、まさに1年前のこの時期まで競技施設の建設が続いていたのですが、今回取材に訪れてみると、やはり目立つのは改修や設営を行う人たちの姿でした。
オリンピック公園には運動場や遊具なども整備されたのですが、散歩している人たちの姿もありません。というのも、公園は一般に開放されているのは休日だけで、平日は閉鎖されているのです。大会からまもなく1年、リオのその後について取材しました。
(TBS NEWS23 17年7月20日オンエア)

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会場近くに住む男性はこう嘆きます。

●リオ市民
「膨大な建設費用がかかったのに、全く利用されていない。」

日本中に感動を与えたリオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックから1年。大会中、柔道などが行われた会場のなかに入ってみると…

本来、トレーニングセンターとして生まれ変わる予定でしたが、電気コードなどが無造作に置かれています。

また、競泳会場は解体され、建設用資材として再利用されるはずでしたが未だに解体工事は終わっていません。

閉会式で、東京への引継ぎが行われたマラカナン競技場。

大会後、運営会社が多額の負債を抱え、一時、管理者不在の状態に。ガラスが割れ、モニターが持ち去られるなど荒れてしまいました。

また、アスリートたちが生活した選手村は、分譲マンションとして売り出されていますが、3600戸あまりの部屋はほとんど売れていません。

今も改修工事中で、入居者はゼロだといいます。

さらに、7人制ラグビーの会場は…
改修工事待ちですが、荒れ放題です。

●平田記者
「グラウンドに入ってみると、芝生は荒れ放題。地面もかなりデコボコ。白いのは、アリ塚です」

高さ20センチほどのアリ塚は、グラウンド一面に数メートルの間隔をあけて
広がっています。

専門家によると、このアリは、日本で相次いで発見されているヒアリに近い種類で、やはり毒を持つといいます。

リオ・オリンピックで競技施設の建設にかかった費用は日本円にして約2550億円。

大金をかけた競技施設が放置されている状況に、リオ市議会のミッシェル議員は危機感を募らせています。

●リオ市議会 ミッシェル議員
「利用されていない。ゴミに変わってしまった。本当にゴミですよね。全く使えないものになってしまいました」

ミッシェル市議が提言を重ねた結果、施設の活用が徐々に始まったということですが…

カピバラなど野生動物が棲みつくゴルフ会場など、ごく一部が活用されているだけで、利用計画は大きな変更を余儀なくされています。

長引く不況による、国や自治体の財政悪化も大きく影響していますが、ミッシェル議員はこう指摘します。


●リオ市議会 ミッシェル議員
「計画不足だと、大会後、すべてがコストとして降りかかってくる。ここを平日に開放するための電気・水道代、警備費用も、予算に含まれていなかった。オリンピックの遺産となるインフラや施設を建設するのは難しいことです」

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<平田記者 現地からの中継>
東京大会では、会場関連予算は8350億円で、リオの3倍以上となります。巨額の予算が使われるわけで、一時の盛り上がりで終わるのではなく、将来を見据えた活用方法を模索するべきだと思います。

財政負担の大きさから、オリンピックの開催を希望する都市が減っていく中、東京大会は、オリンピックの未来を占う大会としても注目が集まっています。

リオでは大会準備の遅れや治安の悪化、ジカ熱への不安など、負の要素ばかりが世界に発信され、オリンピック後の観光にも打撃を受けたとも言われています。

東京はリオの轍を踏まず、東京の魅力、そして東日本大震災からの復興をしっかりと世界にアピールすること。そして、観光の経済効果やスポーツの文化といった、目に見えないオリンピックの恩恵を含めて社会全体に広めることが重要だと思います。