ラグビーポジション論 ブラインドウイング

ラグビーがセンター化してきてるなんて説明してきましたがその中でもともと同じTBつまりスリークウォーターバックスのウイングてポジションにも様々な役割を与えられるようになってきました。
チームによって振り分け方も変わるしどちらかの仕事だけをこなせば良いわけではありませんが増えてきているウイングのタスクについて今回は話して行きたいなと思います。

背番号は11。左ウイングとも言われます。なぜこちらがブラインドと言うかはこちらオープンサイドフランカーの記事も参考にしてください。→

ポリパレントやユーティリティなんて言葉があり様々なスキルセットを持った選手が重宝される時代ですが現代ラグビーでもっともその仕事が多岐にわたるポジションがウイング特にブラインド側のワーキングウイングなんて俺が勝手に呼んでる選手達はその象徴と言えるかもしれません。
チームのスペーシング。つまり選手同士の距離感を決める中でエッジで幅を決めるのも大きな役割になりますがそれ以外にもオープンアタックで順目に攻めてる時に空いた空間のフォローをしていくのなんかも求められていますね。

まずスクラム、ラインアウトのセットプレーから見ていきましょう。
スクラムはエリアやゾーンによって判断が変わりますがハーフから直接オープン、ブラインド問わずにハーフから直接ボールをもらってBDを作るて役割
また作くりにいった選手へのフォローをする場合があります。
ラインアウトでは特にクイックでボールが出てくる場合ブラインド側のスペースはあまりないのでオープン側に立つ場合のポジション等はかなり選択肢があります。
またモールを作った時はブラインド側のスペースをついていく選択肢もあるし押せるならモールに入る選択もあるのでFW的なスキルも必要とされます。

スクラムからのディフェンスではハーフ、フルバック等の味方の能力、相手の布陣によってポジショニングを細かく変えなければいけません。
実際スタンドオフとフルバックの2枚を後ろに下げてブラインド側のウイングをファーストレシーバーにぶつけるパターンもカテゴリ関係なく見られます。
それくらい対人能力も優れた選手がやることが多くなったポジションとも言えるでしょう。
キックオフもスピードを活かしてチェイスする役割を与えられることもあります。レシーブでも深くまで来たボールを処理したり下がってきたFWをフォローしたりと決めきれない役割は沢山ありますね。

さらに難易度が上がるフィールドプレーでは前述したエッジでのスペーシング。オープンアタックで偽10的にスタンドオフのフォロー、BDに巻き込まれたハーフのフォロー、ラインに入ったフルバックのフォローとオープン側の状況をブラインド側から判断して動いていくと言うチームによって必要なプレーは変わりますがバランサー的な役割をこなしやすいポジションです。ここでの仕事量でチームのアタックの厚みは大きく変わります。もちろん逆目になった時のアタックではエッジでトライチャンスももちろん来るのでそこではフィニッシャーとしてのタスクも当然与えられます。

ディフェンスではブラインド側の人数の管理をハーフやFWにまずスムーズに伝える。そしてキック処理です。また他のポジションの話も書いていきますが基本的にオープンサイド側が詰める判断をすればフルバックがオープン側に走りブラインドウイングが下がると言うサッカーのサイドバックで言われる釣瓶の動きの様な連動をしなければいけません。
また最初から下がってる時はハーフからのチェイスキックも多いので空中戦の負担も一番大きいかもしれません。カウンターアタックの判断ももちろんしなければいけない場面も多いので判断力含めた能力の高さも必要になるでしょう

基本だけ書いてもこれくらいでやろうと思えばいくらでも仕事は出てくるポジションだと思います。ここはからは様々なタイプ別の選手を見ながらこのポジションの変換等を見ていきたいと思います。

まずは対人に強いフェノーメノ型とも言いましょうかカーワン、ロムーあたりから来る大型の選手なんかが与えられる役割ですね。
カーワンはオープンで待つタイプなので厳密に言えばこれも2つに別れます。今回はブラインドでディフェンスを引き付けるタイプとして元祖とも言えるロムーをその後様々な選手が登場しますが時代やインパクト的には彼に叶わないでしょう。
95での衝撃的なデビューから99のカレン、ウマンガ、ウィリアムスとオープンサイドに強烈なスピードアタッカーを揃えてさらにブラインドにはロムーが居るて状況を作っていました。
ただ彼はそれ以外の仕事はあまり出来なかったのでウマンガの方がワーキングウイングと言えた部分もあるのでこのポジションわけはチームによって変わるのでワーキングウイングてタスクによって呼び名が変わると考えた方が良いかもしれない部分ですね。
日本だとワールドカップではレメキなんかはこの役割を背負ってた選手ですね。
サイズは大きくないもののボールを持った時の推進力を活かしたプレーをオープンで待つよりは色んなところでボールをもらいたいタイプには感じました。
またアタアタもこのタイプですがよりオープンで待ちすぎてるのが勿体ない気がします。
神戸ではかなり色んな所に顔を出すようになっては来ましたがもっとボールに絡むプレーをするような選手になって良いかもしれません。
ヨーロッパだとストックデールなんかはこのタイプに近い存在ですね。
ブラインドサイドをつくのが特にうまい印象があります。またFWだらけのディフェンスの所に仕掛けたりと判断力も高いですね。

もっとゲームをコントロールするタイプの選手を入れる事も多いです。日本だと廣瀬選手なんかは有名ですが得意なのはワラビーズのイメージですね。
ジョーロフあたりが最初でしょうか?リーグ出身のようなテクニックも兼ね備えた選手を起用してるイメージですね。
マッド・ロジャースなんかもやってましたし
アダム・アシュリークーパー、リース・ホッジ・ハイレッドペティとウイングながら様々な局面に顔を出すセンターなんともポジションを入れ換えながら積極的にゲームに関わっていく選手が多いですね。
ニュージーランドもフルバックの選手を起用したりソニービルもこの役割をこなしてた時もありましたね。今回もベン・スミスやジョーディ・バレットにやらせてたりもしましたね。

ウェールズもおもしろく今回ジョシュ・アダムスがこの様々なこなしながらトライ王になりました。彼はゲームメイクに積極的に関わる方ではないですがしっかりサポート役等の仕事をきっちりこなしますね。
レジェンドで日本でもプレーしたシェーン・ウィリアムスもブラインドからしっかり仕事をしながらスコアする選手。さらにこのポジションに多いハーフの経験者と言うことでオープンにハーフがいった場合のハーフ役をこなせるメリットもありますね。ウェールズは実際ハーフのトモス・ウィリアムスをハーフで使ってましたし
ベストトライにもあげられたペレナラもハーフの選手がウイングで使われて居た時間でした。日本でも近年の東海大の橋本、山菅やちょっと前のヤマハの矢富、佐藤なんかもそんな使われ方をしていたりと成功例と言えるかわかりませんがチャレンジするチームは多いです。完全にウイングの役割として専念する場合が多いですが。

日本だと神戸製鋼の増保なんかが往年のプレーヤーではあげられるでしょうが日本だとやはり福岡が居ないとどうなる?て言うのが一番このポジションの現代での重要さを理解するのに早いんじゃないでしょうか?
彼がいない試合機能不全をおこすシーンは見たことあると思います。
彼はオープンアタックのフィニッシャーにもなれるタイプなのでフルバックの松島をオープンウイングで使ったのはバランス的にも最高だったかもしれませんね。
またFWの選手のバックス起用も考えられるポジションで緊急事態とは言えサンウルブズで徳永がこなしてくれたのも記憶にある方も多いでしょう。

ラグビーオープン化以降急速な進化を遂げてきたラグビーの戦術の中でもこのポジション程難易度や重要性がはねあがったポジションはないと思います。
この選手が実際どこにいるかを試合中探すことでチームアタックの意図が見れる事が多かったり実際のディフェンスの意思決定を発信してる事も多いです。イングランドは痛んでたファレルをブラインドサイドで意思決定を中心にやらせることで負担を軽減しながらチーム全体の機能を失わないような工夫をしていたのを見てもこのポジションがどれだけゲームコントロールに大きな影響を与えてるか理解できるかと思います。

トライをとることもラグビーの大きな魅力で最も重要な事でしょうがそれ以外にも大きな役割を担うようになったウイングのポジションをもう一度見直してもらえたらなと思います。

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