ラグビーの歴史⑤

ラグビーのオープン化によって、いきなりラグビー自体に大きな変化があるみたいなことにはなりませんでした

が、当然選手の身体能力なんかが上がり技術がより洗練されました。
その中で情報戦の部分での分析なんかも進み出してきます。

特に北半球よりも南半球のオーストラリア。80年代の終わりくらいからはじめていた選手の育成プログラムみたいなものが
91年の優勝等の経験が加わりより完成に近づいてきます。

そもそもトライネーションズの中で身体的なアドバンテージがないオーストラリアは常に工夫をして戦っていました。

さらにリーグラグビー、オージー系フットボールと近いルールの競技との交流が戦術的には有利に働いたりするのですが、戦力の保有と言う意味では不利でした。

そんな環境でラグビーの技術を発展させていく中で、オーストラリアの中でもかなり進んだ育成システムをもっていたのが新設チームであるブランビーズ。

このブランビーズが『シークエンスラグビー』という新しい形のラグビーを作り上げていきます。

この時代ニュージーランドの二強として
今のイメージ通りに手堅いラグビーをするクルセイダーズと、派手なブルーズという対称的とも言えるチームがありました。
(それはまた別のお話でまとめます。)

ブランビーズをを率いていたのが、日本でもお馴染みのエディ・ジョーンズです。
(ちなみにブランビーズでもワラビーズでも、前任はマックイーン。ので2人の共作と言えます)

マックイーンがブランビーズでの手腕が認められてワラビーズのHCになると日本で指導者の道を歩み始めたばかりとも言えるエディに白羽の矢が立ちます。

エディの監督としての凄さは
分析→修正→対策
と言うサイクルの中で練度を限界まで高める事かな?と。

日本やイングランドでも常に練度の部分に気を配ってるようには見えます。

これがシークエンスラグビーと言われる様々なシステムをパターン化して使い分けるラグビーには非常に重要な能力だったかな?と思います。

特に
分析→修正→対策
の分析部分を細かく追求する姿勢はその後のラグビーに大きな影響を与えたことは間違いないでしょう。

そしてその差が北半球のラグビーと南半球のラグビーの差がこの後出てしまう要因になったんだろうなと思います。

ラグビーがオープン化して、技術も洗練されていくことで必要になってきたのが、言語化と言われる作業ですね。

実際、この時期あたりから現代では当たり前に使われるラグビー用語がどんどん作られていきます。

それを分析して具現化していったのがシークエンスラグビーとも言えるでしょう。

初期には10次攻撃を超えても手順が決まっていたとも言われる、シークエンスと呼ばれる決め事。

なぜそれが必要だったかはエディがもっとも重視する練度を上げるためなんじゃないかな?と思います。

実際、日本代表の時や現代のイングランドでも、手法はほぼ変わらず、試合と言う実践の場でも練度をあげている感じがします。練度をあげるのに使いやすかったのがシークエンスラグビーなのかな?とも言えますね。

まず決め事を守りきる能力をつけること。これがエディが求めてることなんだろうなと思います。

一方でNZでも現代に繋がるポジションラグビーからの脱却を、まずブルーズがはかります。

特にフィッツパトリックとジンザンブルックの2人をFWの中心に。ポジションにこだわらず個人の判断でより良い位置でボールを貰おうとするラグビーをはじめます。

そこにアイランダー達のエッセンスと、天才スペンサーと怪物ロムーが加わります。彼らが高い能力をポジションの攻略ではなく、スペースの攻略に使うラグビーへと成長させていきます。

クルセイダーズでは、以前書いた2人→
https://ameblo.jp/dt9rugbyexplorer/entry-12426874807.html
を中心に、現代ラグビーの基礎となるシステムラグビーを築きあげていきます。

起承転結のはっきりしたラグビー

シークエンスラグビーはちょっとキックの比重が低くその分ラックで試合を一度切っていきそこでリズムを作りシステムを作るようなラグビーです。

それにたいしてしっかり蹴るときは蹴りエリアによってラグビーのシステムを決めるよりフットボールに近いスタイルがクルセイダーズだったと考えてくれればいいかな?と思います。

その中でシステムを理解するために複数のポジションを経験させる。またプレー出来る選手を優先的に起用すると言うやり方を現在のパナのコーチロビー・ディーンズが確立していますし、現代でも好んでいますね。

そんな風に、徐々に今までの1対1の連続から、構造やシステムがぶつかり合う戦いになっていく中、世界のトップグループの縁から叩き落とされた日本。

早くもと言うか、それしかなかったというか、あの男に日本ラグビーの全てを託さないといけなくなります。

現代のラグビー構造のベースになる部分をかいてたんですね(笑)このあたりからラグビーがゲームになってきたのがラグビーのプロ化と言えるかもしれません。

ここからプロラグビー界として様々なことが起こるし現在でも解決されてない問題は多いです。今回はゲーム面にフォーカスされてましたがそれ以外の部分でもしっかり見ていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?