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620%達成、初めてのクラウドファンディング奮闘記(前)

気づけば今年もあと僅か。こまめにコツコツ更新していこうと思い始めたnoteですが、早くも残念な結果に・・・。

気を取り直して!

2020年夏に立ち上げた、福祉×デザインの協働チーム「想造楽工(そうぞうがっこう)」のこと。
福祉施設に通う、障害のある方々の描く絵を商業デザインに落とし込み、イラストレーターとして仕事を作っていこうという試みです。


(詳しいいきさつは、コチラ↓)

そんな想造楽工で10/17-11/30までの間、クラウドファンディング(以下CF)に挑戦し、209人の方々から、合計で3,102,000円の額をご支援していただき、なんとなんと目標の620%となる達成率で終わることができました。

この結果に一番びっくりしているのは当の私ですが、はじめてのチャレンジの中にたくさんの発見がありました。
怒涛のリターン発送もようやく終わり完全燃焼の今、今後当面こうした機会はないと思うので、記憶がホヤホヤのうちに文章でまとめたいと思います。これからCF実行を考えている方いらしたら、ちょろっとでも参考になれたら幸いです。

1.何を目的にするか

想造楽工は、福祉施設に通う方々をイラストレーターとして迎え、商業展開しようという事業です。このために立ち上げたのが株式会社ニューモア、認知は当然ゼロの状態です。
目指すところはデザインチームとして、色んなオーダーを受け制作していくこと。そのためにはこんな世界観が仕上がりますよ、と事例を示すほかありません。パッと見て理解してもらい、ステキだなと感じてもらえたら理想です。なのでまずはデザインの見本、プロダクトを自分で作って発表することだと考えました。

ただ難しいところは、仮にデザインに魅力を感じてくれたとしてもそれで終わりにはしたくない、という点です。この事業の目的は、障害を持つ方々に職業の選択肢を広げること、そして成果物に見合った対価を支払える仕組みをつくることです。事業の背景や趣旨に共感してくれる人が集まってこそ広がりを生むことができ、それにはCFという、メッセージを語る→共感して応援→返礼品の仕組みを使うことがベストだと判断しました。

そんなわけでCF実施の目的は、
1に想造楽工を知ってもらうこと、
2に事業内容に共感してもらうこと、
そして
3にデザインに魅力を感じてもらうこと、
と定めました。
一言で言えば、想造楽工のファンになってもらいたいな、ということです。

ちなみに私のCF経験値は、数年前に一度仲間内でのプロジェクトで使用したことと、仕事でページのデザインに関わったりしたことはあるもの、自分ひとりで主催として使用するのは初めてのことです。そして正直なところ「身内に集金袋を回すことになるよなあ…」と苦手意識を感じていました。


2.リターンにどの位こだわるか

CFはプロジェクトに応援→リターン(返礼品)を選んで、その額がプロジェクト支援金となる仕組みです。
想造楽工では、開発した自社プロダクトを返礼品にすることは決めていましたが、その作り方と価格設定にはギリギリまで悩みに悩みました。知らないブランドから高額な商品なんて誰も買いたくありません。当初は仕入れ値を極力抑えて、手に届き安い価格の商品にすべきかとも考えました。過去にオリジナルグッズを作ったことは何回かあって、低価格で作れる手段自体は少し知見がありました。

でも、それだと既存の枠組みを超えられない。

福祉施設さんの作っている商品のリサーチも自分なりに行い、とても素敵なグッズもたくさん見つけました。ただ目指したいのは福祉に関心があってもなくても、素敵な商品だなと感じてもらうプロダクトです。
それには価格優先ではなく質をできる限り高めるべきだと考え、同地域で活躍される職人さん方の力をお借りすることを決めました。幸いなことに今回絵を頼んだ福祉施設のある八王子市では、まちづくりのNPO法人AKITEN さんに兼ねてからお世話になっており、あらゆる職人さんのご紹介も瞬時にしていただきました。

そんなわけで八王子市でご活動される職人さん9社さんにオーダーをし、衣食住に落とし込んだプロダクト6種類を開発しました。

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主役となるイラストレーションは、就労継続支援B型事業所「しあわせのたね」に通う利用者さんたちにたくさん描いてもらった絵の中から絞り込んで、3名の方の絵を使用させてもらいました。

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衣セット:帆布11号で作られた大きなトートバッグと、綿100%の手ぬぐい
国内外数々の有名ブランドのテキスタイルを手がける「奥田染工場」さんに構想段階からご相談し、こだわり抜いた生地・手法で仕上げていただきました。たっぷり容量のバッグは持ち手も長めの65cm。男女問わず使いやすさとファッション性を追求しました。

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奥田染工場さん

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食セット:八王子市の実力店舗・職人さん達の逸品を詰め合わせ、陶器の小皿も付いたお茶菓子ギフトセット
コーヒー・クッキー・ケーキの洋セット、緑茶・甘納豆・梅干しの和セットどちらかをお選びいただけます。小皿は陶芸家の上島かな子さんに、想造楽工の絵を入れて制作していただきました。地域で愛される名店の看板商品を注文し、特別版としてパッケージをこちらでデザインしました。

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陶芸家の上島かな子さん

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カザーナコーヒーさん(左)、パンとおかし グルヌイユさん(中央)、ブーランジェリーサルドゥバンさん(右)

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香味老舗 網代園さん(左)、甘露納豆 みツ橋さん(中央)、梅干し専門店 うめ八さん(右)

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住セット:インテリアとして飾ってお楽しみいただく額装ポスター
多摩産材の無垢のヒノキを使用して、完全オーダーメイドでの額を「木工房三澤」さんに制作していただきました。多摩産材は東京・多摩地区で生産・管理される木材で、収益は次の森林を育てる費用にあてられます。

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木工房三澤さん

素材・内容・見た目にとことん追求した衣食住セットが仕上がりました。こだわり具合は自分の中のMAXです。当然価格は上がり、在庫リスクもありますが、ここから先は賭けです。
どこかで手を抜いたら、そこまでの応援しか受け取ることはできないだろうと感じたことも大きいです。

セットによって原価は変わりますが、均等に選べる楽しさ重視で価格は全て一律6,000円にしました。ちなみに実は原価割れギリギリです。商売としては崩壊しますが、認知と信頼を得ることがこのCFの目的なのでそこは致し方なし、ただいずれにせよ6,000円は決して安い価格ではないぞ。果たして世間からどう受け取られるか、決めたあとも内心ビクビクでした。

そのほか複数組み合わせでお得になるセット、お気持ちとしてのポストカードセット、あと事業の本筋である「受注制作コース」なるものも設定しました。

目標額については建物を作る等明確な必要額があるわけではなかったので、これはもう自分の中の自信と気合いのバランスでした。低めにしたわけではなく、むしろやや背伸びをして、50万円!と設定しました。


3.どのクラウドファンディングサイトにするか

いまやひとつのツールとして広く世に普及してきたクラウドファンディング。そのサイトの種類もめちゃくちゃたくさんあって、ちょっと検索しただけで100なんてもんじゃないとかなんとか。引越し業者さんを選ぶような途方もない感覚になりました。
最終的に決めたのは「READYFOR」という会社さんです。

CFサイトを比較する記事もたくさんあるでしょうし、私の主観でしか無いのですが、終わった今こちらにお願いしてよかったなあと心から感じています。
想造楽工にとっての決めては以下の点でした。

・社会課題に向けてのプロジェクトが多い評判がある点
→知らない人の目にも止めてもらう可能性を考えた時、プラットフォームがその分野に関心がある層のアンテナになり得ること。
・手数料が12%と相場の中では低い方な点
(シンプルプランの場合。フルサポートプランは17%)
→原価ギリギリの今回は、1%でも低いところを選びたいのが本音。大手は20%も普通の中、良心的だなあと感じました。
・リターン画像を載せられる点

→リターン説明が文字のみのサイトも案外多く、想造楽工の場合はモノの魅力に賭けていたので、画像可は必須でした。

想造楽工はシンプルプラン一択でしたが、質問メールもすぐにご返答もらえ、TwitterとFacebookでもプロジェクト紹介をしてくれるなど大満足のサポートでした。
プロジェクト内容とサイトとの相性はかなり大きく影響すると聞くので、自分にとってのメリットはここだ!と見つけていくことだと思います。


4.メッセージをどう伝えるか

使うサイトもリターン内容も決まって一安心、でも一番肝心なのはコレです。見る人に何をどう伝えるか。
「応援してください」という望みはわかりきったことですが、好きなアイドル歌手や尊敬する著名人でもなく、私のようなただの一般人に「やりたいことがあるからお金出してケロ」と言われて誰がしたがるでしょうか。

READYFORのサイトで自己紹介→経緯など、大筋のマニュアルは掲載されているのですが、最終盤の原稿を提出するまで100回くらいは修正したでしょうか。構成はもちろん、「障害」「障がい」など言葉ひとつひとつのチョイスも何度見ても何だか妙で、ゴールに辿り着く気がしませんでした。

この解決法は、
己と向き合い続けるしか無い・・・。
本音じゃない言葉は、読む人の右耳から流れていくだけだからです。

卒論に近い感覚でひたすら書く→読み返す→違和感ある所を直す、の繰り返しで仕上げていきました。pcで読むのとスマホで読むのも感覚が変わります。
期限を決めてひとつひとつ違和感を消していき、自分の中で自然に読めるようになったら信頼する数人に見てもらい、完成させました。
(余談ですが想造楽工は、福祉施設の利用者さんのことを「障害のある人々」と書くことにしました。害/がいというより、障害「者」と言いたくないなという個人的感覚が大きいことからこう着地しましたが、考え方は人によりけりだと思います。)

あっでも根性論だけだとアレですが、人から教えてもらってとても助けになったことがあります。

クラウドファンディングは、実行者と支援者が「一緒に」成し遂げるものだということ。
つまり自分ができないことを代わりの人が実行する、それに支援の形で参加して共に達成するという考え方です。
CF実行者がとるべき姿勢は「やりたいことがあるので応援してください」ではなく、「一緒に実現させませんか」だということ。

お世話になっている会社の代表さんが話してくださったのですが、実行前にこれを聞けて本当によかったと思っています。

想造楽工を立ち上げる際、キャッチコピーを「枠を超える創造を一緒に」としました。障害のある方々の描く絵を見て「枠に捉われない線」と感じたことが生まれで、福祉・デザイン・商業、あらゆる枠組みを超えたものづくりをしていきたい、それには色んな立場の人が一緒に協働することだ、と思い決めました。

商品を作る以上お客さんが居なければ成り立たないわけですし、大袈裟でもなんでもなく、クラウドファンディングは実行者と支援者の協働です。このことを心に留め文章を作りました。
知らない方からご支援があって、いただいたメッセージに「この企画に参加できたこと、うれしく思います」と書いてもらって胸がいっぱいになりました。



はてさて、たった一度しかやってないくせに、なんだか偉そうにベラベラと書いてしまいましたが・・・。
兎にも角にもそんな感じで想造楽工のクラウドファンディングを開催しました!

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プロジェクト期間の42日間にもたくさんドラマがあって、色んな人に助けてもらい、620%という結果で終えることができました。
クラウドファンディング奮闘記、後半にツヅク!
(年内に完結させてスッキリしたい・・・。)



ありがとうございます!!
「多世代・多業種の協働」をモットーにデザイン・アートプロジェクトを実施する会社です。 障害を持つイラストレーターとのデザインチーム「想造楽工」を主催しています。 ニューモア→https://newmor.net 想造楽工→https://sozogakko.com