習近平が馬雲に切れた本当の理由 死角なし!?TSMCも米国不動産業も絶好調 サッカー「スーパーリーグ」たった2日の命

🔸江沢民の孫もCITICも使う
  リクコスになったアント株

 あの事件以来、ジャック・マー(馬雲)がかき消えた。自ら設立したビジネススクールでも彼の姿を見た者はいない。マーが主宰する浙江省の起業家協会の年次総会は延期されたまま、いつ開催されるとも知れない。

 公衆の前に姿を見せたのは、今年1月、杭州の片田舎の小学校をごく短時間、訪問した時の1回きり。マーは先生たちの話にただ耳を傾けるだけ。マーとのセルフィー(自撮り)をねだる先生たちを退け、あたふたと学校を後にした。素っ気ない訪問のビデオは「マー、現れる」とのタイトルとともに配信される。少なくとも、マーは幽閉されてはいない、ということを世界に告知するための演出だった。マーは逮捕されてはいないが、厳格な国家監視下にある、ということだ(フィナンシャルタイムズ=FT紙4月15日付)。

 中国政府がアリババの金融子会社アント(蟻蚊科技集団)の「史上最大のIPO」を土壇場で差し止めた、あの事件。本誌のこの欄では、仮に「金融規制を批判したことが金融当局の逆鱗に触れた」と解説しておいた。そうには違いないが、コトは政策レベルの問題ではない。マーと国家、マーと習近平との権力と威信をめぐる頂上決戦だった。

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