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ボイストレーニングから学ぶ

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ボイトレの現場からお送りする、沢山の教えを書き留めます。
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カミソリの使い方から学ぶ、プロと素人の違い

ひげ剃り後のお肌がつるつるになると評判の理髪店があるのをご存知ですか? 評判が評判を呼び、男性だけでなく女性のお客さんも顔剃りに訪れるらしいです。 私はこの理髪店の存在をテレビで知り、あることに衝撃を受けました。 その衝撃と理解を皆さんと共有したく、今日は記事を書こうと思います。 1. プロのヒゲの剃り方 この理髪店が評判である理由、それは「構造を活かした正しい剃り方」をしているからとのこと。 そこの理髪店の方が言うには、大概の方が間違った剃り方をしているというので

「難しいですね(苦笑)」と言う前に

私のレッスンでは「難しいですね」をNGワードにしています。 このワードは、成長から遠ざける逆・魔法の言葉だからです。 こちらに詳細を記しています▼ それでも「難しいなぁ…」と言ってしまう方に、代わりに使ってもらいたい言葉があります。 『ドクターX 』で米倉涼子さん演じる大門未知子の放つパワフルワード、 「私、失敗しないので。」です。 もし、「私、失敗しないので。」が言いにくければ、緊急取調室の真壁有希子さんがいう、 「面白くなってきたじゃない」と言ってみてくださ

失敗を極めた先に見えるもの

私のレッスンでは、メソッドがうまく出来ない生徒さんに「悪い例」をよくやってもらいます。 面白いことに、「悪い方をやってみて」と言って、「どうやるんですか?」と聞き返されたことはこれまで1度たりともありませんし、皆さん不思議なくらい簡単に上手に「悪い方」をやってくださいます。 これこそ、「できる」ようになるために必要な「間違い」なのです。 「間違い」が理解できれば、「正解」にたどり着くことができます。 まさに「失敗は成功のもと」ですね。 1. 間違いの完成を目指す

「私が習っていたことは、間違いだったのでしょうか」

以前にボイトレを習われていて、自分の声や歌がわからなくなってしまったといった悩みを持たれて、私のレッスンに来られた方からよく聞かれる言葉です。 そんな方々の中には、以前のボイストレーナーの先生の事を悪く言われる方も少なくないのですが、私は、他のボイストレーナーを否定しません。 「その先生は恐らくこういう事を伝えたかったのだと思う」とフォロー、補足や通訳をしていきます。 なぜなら、その先生や先生の指導法を否定することは、そのレッスンを受講されていた生徒さんの時間や労力を否定

「できる」に繋がる意外な3つの事

プロの現場において「今、出来ない」ことを「すぐにできるように」することは非常に大切です。 以前の私の仕事は、デビュー前のアーティストを預かり、プロの能力を身につける為のボイトレ、そしてレコーディングでボーカルディレクションでした。 特に、レコーディングの現場においては、プロには迅速な修正能力が求められます。 「今、出来ない」ことを「すぐにできるように」しなければ、プロ失格というレッテルを貼られかねないのです。 それだけに、問題点を「できない」ままにしておくことは、レッ

ボイトレが生んだ思わぬ副産物

はじまりましたね、2022年。今年もよろしくお願いします。 今年もボイストレーナーとして、経営者として、最高に楽しめるような1年にしていきたいと思っています。 いつも記事を読んでくださっている方にも、そんな私の人生を切り取った稚拙な文章ではありますが、なにかお役に立てることがあれば嬉しいです。 さて、お正月休みも終わり、仕事がはじまり、 「はぁ〜、あの人がいないと掃除がはかどるわ!」と掃除機をかける奥様や、 「ああ、仕事行ってるほうが気が楽だなぁ…」とパソコンに向か

滑舌を気にする必要はありません

そもそも「滑舌」とは、元は「ことばを仕事にする人びとの間で使われていた専門用語」だそうです。 いつからか、その「滑舌」という言葉はまるで「合否」を示すかのように、人々の舌回りの良さ・悪さを評価する言葉として浸透していますが、 私は、ことばを仕事にする人ではない方は「滑舌をそこまで気にする必要はない」と思います。 なぜなら、滑舌は「噛まないためのもの」ではなく「最低限相手に伝えるため」に必要なものだからです。 要は「伝わるくらいの滑舌があればOK」ということです。 1

成長する生徒さんがしていたこと

人の成長の速度はそれぞれです。人と比べて焦る必要もありませんし、鼻を高くするのも違います。 約30年のボイストレーナー人生の中で感じるのは「人には急激に伸びる瞬間がある」ということです。 しかし、その瞬間を迎えられる人は、常に極小のアップデートを重ねている人に限られると感じています。 1.  先生、リコーダー買ってみました。 ある日、とある生徒さんがバッグの中から取り出したのはリコーダーでした。 最近、私のレッスンではリコーダーを用いていました。 リコーダーは

ボイトレで意外な職種の生徒さんが増える理由

1. 生徒さんの職種が面白い 普段私が教えているレッスンの生徒さんには、歌手、俳優声優、アナウンサーなど声を使う職業をされている方はもちろん、 医師、弁護士、税理士、企業経営者、プロスポーツ選手など、直接は声とは結びつきにくい職業の方も多数いらっしゃいます。 私自身ボイトレを指導しはじめた当初はまさかそういった方々をお教えするとは思っておらず、ビジネスでボイトレを必要とされる方が受講されたときに衝撃を受けたことを覚えています。(実際、ビジネス目的の方がかなり多くいらっ

伸び悩んでいる時に無意識にやってしまっていること

沢山の生徒さんをお教えしてきましたが、成長期の方も、伸び悩む時期の方も当然いらっしゃいます。 そして、どんな方も両方経験されているように感じます。 特に困るのは、伸び悩んでいる時期をなかなか抜け出せない時だと思います。 未来永劫このままなのではないだろうか。 自分にはセンスがないんだ。 と、練習をやめてしまう方もいらっしゃるのでは無いでしょうか。 私は、それはそれで良いのではないかと思います。 とりあえず、練習もせずボイトレの事も考えず、メンテナンスだと思って週に1回