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【エッセイ】俳句の動画『佐竹健のYouTube奮闘記(85)』

 2年前の灼熱のある日、私は自分の作ったものを動画にしたいと思った。

 自作を動画にしたいという思いは、昔からあった。できれば小説やエッセイを原作にして何か作りたいと思っていた。が、それは予算や人手、スキルの問題で難しそうなので、無理な話であるのだが。特に時代物関係は。

 手始めに過去に撮った写真を現像してみた動画を撮った。が、再生数はろくに振るわなかった。

 次に、俳句の動画を作ろうかと思った。これなら、予算やスキルという意味でも実現可能だと判断した。

 本題について話す前に、俳句がどういうものなのか話しておく必要がある。

 俳句というのは、基本的に5・7・5の17音で構成されている日本の伝統的な詩、特に季節に関する語が入ったものを言う。無いものは川柳になってくる。例外として、5・7・5の17音で構成されていなく、季語も無い自由律俳句なるものが近代に出てくるが、この辺について話すと長くなるので、各自で調べてもらえるとうれしい。

 たまに私は俳句を詠む。といっても、小説と同じで、人様に胸を張って自慢できるほどの腕前ではないが。いや、それ以前にかなり稚拙なものであるとすら言っていい。

 それでも、自分の作ったものを動画にできるならいいかと思ったので、私は俳句の動画を作ることにした。

 俳句は百均で買ってきた半紙に、同じく百均で買ってきた筆ペンで書いた。半紙と筆ペンにしたのは、この方が風情出るかなと思ったからだ。百均なのは、単に予算の都合である。

 これを同じく、百均で買ってきたホワイトボードと買ってきたマグネットで貼り付けて撮った。

 撮影時の衣装に関しては、狐のお面に作務衣の姿で出た。作務衣にしたのは、なんとなくこの方が風流な雰囲気が出るかな? という軽い気持ちである。狐のお面は素顔を衆目に晒したくないからである。薄化粧もしないで表舞台に出る勇気は、私にはない。それ以前に顔すら出したくない。だから、お面を被っていることにした。

 肝心の俳句については、「秋」をテーマに詠んだ。一応九月は旧暦でも新暦でも秋なので。その中から4つ、出来がいいなと思ったものをピックアップした。

 再生数は予想通り、20回行ったかどうかであった。だから、動画を消した。この一部を切り取ったショート動画を残して。


 2年後。どういうわけか知らないが、前に消した俳句の動画の切り抜きが伸びた。一応世間では9月は秋という認識だからなのか。

(これは本動画を再投稿したら伸びるのではないか?)

 そんなことを考えた私は、再びこの動画をYoutubeに投稿した。案の定伸びた。心なしか、投稿したときよりも伸びがいい気がする。


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