見出し画像

版画が生み出す移ろいとはーー『没後70年 吉田博展』

こんにちは。おちらしさんスタッフのしみちゃんです。

今回は、先月行ってまいりました東京都美術館の『没後70年 吉田博展』についてご紹介したいと思います!

こちらの展示は、「おちらしさん美術」2月号にチラシを入れていただいておりました!ですので気になっていた方や、観に行かれた方も多いのではないでしょうか。私もチラシをきっかけに足を運んだ1人です。

画像1

吉田博さんは、1876年生まれの風景画家。日本国内のほか、アメリカ、ヨーロッパの各国、エジプト、インドなど数々の地を訪れては風景を切りとり、版画にされました。山登りにも造詣が深く、富士山をはじめ、山で見た景色を作品として残しているのも特徴です。

木版画というと、小中学生のころに美術の授業で並々ならぬ時間と労力をかけたものの、「これでいいのかな~」と不安に思うような絵が出来上がった思い出があります(笑)それがまさかこんなにも雄大で、豊かな世界が描けるものだったのかと感銘を受けました。描かれる世界は大きいのに、近くで目を凝らすと繊細で緻密なのもまたドキドキしてしまうんです。

何より、多いときには100回近く重ねていくという色と線。描いていくことでは絶対に得られないであろう、ふわっと柔らかな輪郭や混じり合うグラデーションは生まれて初めて目にするものでした。版画というものがいかに自然と相性が良いのか。この展示での水や空、木々を見て実感しました。

また、同じ風景でも、刷る色を変えることで時間経過による表情の移り変わりが表せるところも版画特有の面白さです。対になった、太陽が照りつけるスフィンクス像と、ひんやりとした夜の砂漠のスフィンクス像。朝日に照らされ輝くタージマハルと、夜の暗闇に紛れるタージマハル。どれも非常に印象的でしたが、6つの顔を持つ「瀬戸内海集 帆船」は特別圧巻でした。

館内の撮影できませんでしたが、こちらの公式HPで少しでも作品の魅力をお分かりいただければと思います。実際は写真で見るよりずっと鮮やかで、紫や黄色が強く、ミュシャの作品にも似た印象。おふたりは同年代を生きた画家ですから、何かつながりがあるのでしょうか?

美術初心者なりに今までちょこちょことかじってきた絵画展ですが、この『吉田博展』が一番好きです。文字通り、魅了されました。間違いなく自分の中にある「美しさ」の答えが増えます…!!

思わず息をのんでしまうような、柔らかくしっとりと、そして鮮やかに香るような版画の数々。やはり本物を目で見る素晴らしさには叶いませんが、少しでも手元に置きたくなりポストカードも購入しました。弊社からすぐの亀戸天神の藤棚、霊廟タージマハル、そして瀬戸内海に浮かぶ船。多くの中から悩みに悩んで選んだ3枚はとってもお気に入りです。

画像2


故ダイアナ妃も執務室に飾っていたという吉田博さんの版画。私もカードをお部屋に飾りたいところですが、メッセージを添えて友人に届けようと思います。この美しさは、不思議とほかの誰かにも見てほしくなる力がありましたよ!

東京都美術館を出た『吉田博展』は、現在、三重県にあるパラミタミュージアムで開催中です。会期は未定ですが、川越市立美術館での展示も予定されているとのことですので、ぜひ観に行かれてはいかがでしょうか。


『没後70年 吉田博展』

三重会場 パラミタミュージアム
(三重県三重郡菰野町大羽根園松ヶ枝町21-6)
2021年4月1日(木)~5月30日(日)

埼玉会場 川越市立美術館
開催見合わせ(会期未定)

16,600名の舞台・美術ファンにお届け中!「おちらしさん」への会員登録もお待ちしています! おちらしさんとは⇒https://note.com/nevula_prise/n/n4ed071575525