見出し画像

子どもと観劇をした「マームとジプシー『めにみえない みみにしたい』」

こんにちは、伊藤です。
先日子どもとマームとジプシー『めにみえない みみにしたい』を観に行きました。
普段であれば行くのを躊躇ってしまうのですが、住んでいるところからほど近い場所で上演されていたので、子と妻と3人で観に行きました。
最近は、なかなか3人で出かけることができなくなっています。子どもの成長を考えると外に出て、いろんなものを見て触って感じて体験してもらいたいのですが、なかなか難しいのが現状です。

公演は11時と早めの上演だったせいか、乗った電車も空いていて子は妻に抱っこをされながら、流れていく景色を目で追っていました。その黒目が左右に動くのを見て、家の中だけの景色より外の景色が新鮮なんだと思い、やはり演劇を観てもらいたいという気持ちが強くなりました。

会場に到着しアルコールで消毒と検温後、チケットに書かれた整理番号順に入場をするのですが、入場するときは一組ずつの入場となり、だいぶ距離をあけての入場でした。
客席の前は芝生のシートが敷いてあり、その後ろにはだいぶ間隔があいた状態で椅子が置かれていました。初めて会場の中に入った子は薄暗く広いいつもの家とは違う空気に周囲をきょろきょろ見ていました。
芝生のシートの上に座り、子も座らせてみると、芝生のさわり心地が初めてで痛かったらしく、少し泣き顔を見せたのですぐに抱っこをして妻があやしていました。芝生シートを敷くと、子どもがその場所に来なくなるらしいと聞いたことがあったのですが、その効果を実感しました。

初めて来る場所、そして見慣れない景色のせいか落ち着きのない子の姿を見て、これはきっと上演中も泣いてしまうだろうなと、妻と無言で頷き合いました。
大泣きしてしまうと他の観ているお客さんに迷惑がかかるかもしれないと思い、場内案内をしている方に、どこから外に出られるのか、どこで子をあやして良いかを確認しました。子はその間、妻の膝の上に座り家から持ってきたおもちゃ(怪獣ブースカの人形)を一心不乱にしゃぶっていました。自らを落ち着かせようとしているのかもしれません。少しずつ家にいる時とあまり変わりのない様子に戻っていき、少し安心していると演劇が始まりました。

ふっと、照明が薄暗くなったのですぐに子の表情を見ます。特に暗くなったことには気にせず、おもちゃをしゃぶっていました。
役者さんが出てきて声を出します。その声に驚いた子は少し顔をしかめていました。普段大きな声を出さない僕と妻なので、初めて聞く良く通る大きな声だったのかもしれません。しかし驚いただけで泣くことはなく動く役者さんを目で追っていました。その時はあんなに大好きだったおもちゃをしゃぶるのを止めていました。首を少し動かして役者さんを視線で追いかける子を見て、僕も目の前の演劇に少し集中できました。

そこからずっと子は泣くことなく、演劇を観ていました。
ある演出に両手を大きく広げ喜んだり、きょとんとしたり、ただ役者さんの問いかけにはまだ答えることができないので、じっとしているだけでした。喜んだ姿は照明も相まって本当に印象的でした。子どもと演劇を観に行っている。1年前には想像もしていないことを、今自分が体験していると思うと演劇の内容と合わさって泣きそうになりました。

上演が終わり、泣かなくてよかったと思いつつ順番に距離を取って会場から出ながら、どう思っただろうと、子の表情を見ますが、いつもとあまり変わりません。なんかやってたなあという感じなのかもしれません。ただ、目の前で起きたことを体験して楽しかったのか、帰り道にはすぐ寝てしまいました。
またいつか、安心して子どもと演劇を観れたらよいなと思った一日でした。
その日は夜に起きることなく子どもはぐっすりしていました。もしかしたら、演劇の夢でも見ていたのかもしれません。

iOS の画像 (7)


17,100名の舞台・美術ファンにお届け中!「おちらしさん」への会員登録もお待ちしています! おちらしさんとは⇒https://note.com/nevula_prise/n/n4ed071575525