No.68 大海原を泳いで行こう
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No.68 大海原を泳いで行こう

ネバギバランド

東京の新富町にあった広告プロダクションに就職した日のこと。コウちゃんの上司だった敏三さんが、コウちゃんに言いました。

新聞の全面広告なんだけどね。図案と文案をクライアントに提案しなきゃいけないんだけど。担当してくれる?

その企画は、大手出版社の新大辞典を、新聞の1ページ(15段)に掲載するものだったそーです。

コーちゃんは、もともと堅い記事ばかり書いていたので、広告のポジティブな表現には不慣れ。かたーい文章しか出てこなかったんだって。

「この言葉の氾濫する時代に、この大辞典は……」みたいな案ばかり。

結局その日は、カンテツ(完全に徹夜)して、何十案も書いたけど、いい企画と文章はできませんでした。
就職したその日から徹夜なんて、今じゃ、ブラック企業って言われちゃう。

眠い目をこすりながら、翌朝、上司の敏三さんに見せると、敏三さんは言いました。

「まあ、いいじゃないかー。でも何案か、出した方がクライアントも選択肢が広がるからね」

そういって敏三さんはわずか、10分
企画書とコピーの案をつくりあげました。

そこには、大きなクジラとイルカのビジュアルが描かれていて。キャッチやボディコピーには、

限りなく広がる言葉の海を、縦横無尽に泳いで行こう。
この一冊が、君の羅針盤だ。

みたいなことが書かれていました。

コウちゃんのつくった案は、何案もあって、それと一緒に
敏三さんの案を加えて、クライアントに提案。

もちろん、採用されたのは、大海原を自在に泳ぐクジラの案でした。

何週間後には、全国新聞の1ページに、青い海を泳ぐクジラの写真と共に、いいデザインにそえられたキャッチフレーズが目に飛び込んできました。

敏三さんは、決して有名なコピーライターではなかったけれど。
コウちゃんは、感動したんだってさー。

その日から、コウちゃんは、
この小さな会社と仕事が大好きになったんだって。






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ネバギバランド
ネバギバランドの長老「コウちゃん」と同志「ヒグちゃん」と永遠の20歳「せんちゃん」と20代・30代の仲間たちが繰り広げるチャレンジやトーク動画もアップするYouTube連動エッセイ。合言葉は「ビビらずネバギバ」。たまには学校とか職場を離れて真剣に遊ぼうよ。