ヤクザと家族
両親を失って荒んだ生活をしていた19歳の山本は、ある日偶然、ヤクザの組長を襲撃から救う。
『ヤクザと家族』のあらすじ
1999年 出会い
山本賢治の父親は証券マンだったが、覚せい剤に手を出したせいで命を落とす。母親はすでに他界しているので山本は天涯孤独に。ある日、愛子の店で襲われた柴崎組組長・柴崎博を助けた縁で、山本は柴崎組の組員となる。
2005年 抗争
柴崎組と侠葉会との抗争がだんだん激しくなる。侠葉会の加藤の指示で柴崎が狙われ、代わりに大原が亡くなる。報復をするために向かった山本は侠葉会・若頭の川山を見つけて殺そうとするも、中村に先を越される。しかし、山本は中村の身代わりとなることを決意した。
山本は学費のためにキャバクラ(柴崎組の縄張り)で働いていた由香と出会い、彼女の前ではつかの間の幸せを感じていた。2人の関係が深まろうとしているときに、山本は逮捕されてしまった。
2019年 出所後の世界は激変
14年後、山本が出所。柴崎組はこじんまりとした事務所で数人の組員のみ。暴対法の影響で以前のような勢いはなくなっていた。しかも、柴崎はガンに侵されていた。
生きるために、夜の海で密漁する舎弟たち。義理人情を語っていた中村は柴崎のポリシーを破り、シノギとして覚せい剤の売買をしている。中村は使用してはいないと言うが、実は手を出していた。
山本の舎弟だった細野は組を抜け、結婚して一児の父親。ヤクザから一般人になるまでの苦労を口にする。仕事、口座、保険、家に至るまで、人間として扱ってもらうには5年かかる、と。
愛子の息子・翼は夜の街を仕切る青年になっていた。かつてあこがれていた山本の若かりしころのような金髪。もはやヤクザの時代ではないと、侠葉会の加藤の誘いもかわす。
山本は由香と再会し、14歳になる娘・彩がいたことを知る。ついに入院してしまった柴崎の勧めもあり、組を抜ける。彩には父親だということを隠しながらも3人で幸せな生活を送る。
仕事は細野のおかげで彼と同じ産廃業者で働くことになる。
『ヤクザと家族』の見どころ
1999年の出会いで、柴崎に優しく声をかけてもらった山本が、思わずおえつするシーンはグッときました。行き場を失った山本の心が、柴崎により救われたようでした。
2005年のヤクザの抗争は、派手なアクションや激しい銃撃戦ではありませんが、逆にこれがリアルに感じられる演出でした。
山本はとっさに中村の身代わりとなることを決断し、行動します。組のため、兄貴分のために、ここまでするなんて、義理堅いにもほどがある、と歯がゆくなりました。
テレビのニュースで山本の逮捕を知った由香の心中は穏やかではなかったでしょう。
2019年の激変した世界は切ないです。