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【ネット歯科大】減った歯ぐきを外科的に回復する方法

 歯周病などで歯ぐき(歯肉)が下がっているように感じている方は、意外と多いです。今回は、減った歯肉を回復する方法についてご紹介します。
 
 下がった歯肉を回復するためには、外科手術を行う方法があります。
 
 大きくわけて2種類あり、ひとつは上あごから歯肉を移植する方法、もうひとつは歯肉の位置をずらす方法です。
 
 歯肉を移植する方法では、上あごの内側、前から5番目の歯があるあたりの歯肉を切り取ります。歯肉が下がっている部位も切開しておき、取ってきた歯肉を貼りつけるようにします。
 
 この方法の問題点としては、手術するのが口の中の2か所となること、また治る途中で痛みも出やすいことが挙げられます。
 
 移植するのではなく歯肉をずらす方法では、歯肉が下がっている部分を切開し、歯肉を全体的に上に持ち上げるようにしたり、あるいは横にずらしたりして、露出した歯の面を覆うようにします。この方法は、上記の移植と合わせて行うこともあります。
 
 この方法では、うまく覆えるだけの周囲の歯肉があることが条件です。また、技術的に難しい処置を要することも挙げられます。
 
 さて、歯肉が減っているすべてのケースでこのような外科処置による回復が可能かというと、そうではありません。実施できるための条件があります
 
 その条件としてまず考えるべきことは、歯肉の下がっている部分が限定されているか、それともかなり広がっているのかという点です。
 
 たとえば歯の表面が一部だけ露出しているような、限局的な歯肉の減少であれば、外科処置による回復が見込めます。
 
 一方で、歯と歯の間の歯肉もだいぶ減っていて、明らかにすきまが見えるようなケースでは、外科処置をしても回復を期待することはきびしくなります。
 
 どのようなケースで処置が可能かの判断は専門的でむずかしいので、くわしくは歯科医院にて直接診てもらう方がいいでしょう。
 
 そもそも歯肉が下がる原因として、いくつかの事項が挙げられます。
 
 歯周病の進行に伴うものが一般的ですが、ブラッシングの力が強すぎたり、かむ力が過度にかかっている歯だったり、歯の位置がよくなかったり、さらには矯正治療の結果として歯肉が下がることもあります。
 
 外科処置によって歯肉を回復させる場合でも、その前にどのような原因で歯肉が減少したかをよく検討し、原因をできるだけ取り除いておくことが大切です。
 
神奈川歯科大学 青山典生

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