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海辺のブックレット[写真と文字]


日曜日。
海に出かけた。
車で浜まで行ける海だ。
でも車は防砂林の手前に停めて歩く。


海へ近づいてゆく道には、招かれるような感覚があって、
先へ、先へ、
つい気持ちを急がされる。

「5月の海」より

とは詩人・長田弘さんの一節だが、
海までの細い道を歩く、
それだけで、どうしてこうもそわそわするのか。


右手が海。ずーーーーーーーーっとまっすぐな道
左手は、見渡す限り痩せた松の荒野


空が広い。
目に入る人工物は、ゴミ処理場の煙突だけ。
山の中で育った僕は360度の空とまっすぐな地平に、少し不安になってしまう。
故郷ではいつもどこからでも山が見えたし、街に住めば人工物ばかりで空は小さい。


遊泳禁止のその浜には、何もない。
浜の周囲にも何もない。
人類の立ち入り禁止区域、みたいな風情だ。


防波堤を登る。
ただ海が光っている。

あ、海が見えた
海だ!
海だぁ!!!


浜を歩く。
ひたすら歩く。
ときどき海を見る。
波を浴びる。
風を体中でうける。
光をあおぐ。


風紋
凹んでるはずが凸に見える。だまし絵みたいな影のマジック




釣り人がふたり。
砂浜で立ち往生している四駆が一台。
近そうに見えて、歩いても距離が縮まらない。


この先に車。女の人が電話をしていた
男の人は砂を掘っていた



流木が点在してる。

ゲート
現代美術のアーティストの作品に違いない
ダリっぽい
絶妙
これは、もしや…
生々しい……曲線。動物かもしれない
未知の生物の死骸のようだ
新種の海綿?
浜に落ちてるものは、本来と違うものにみえる


浜に漂う終末感。
雲ひとつなく、明るすぎるのがかえって不安。

波消しブロックさえ、人類の遺構に見える。
『マンアフターマン』の世界。
未知の生き物の世紀に不時着したようだ。


海と川の交わるところ
遠く、海が誘う


トベラの実のかわいさ
目をひかれる、つやつやの粒々の赤


シックな実も


海、補充終了後帰宅。





「璦憑姫と渦蛇辜」第3部、
執筆に入りました。

海が好きです。


読んでくれてありがとうございます。